ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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メチャクチャ遅くなりましてすみません。
ほかのお気に入り作品の更新頻度下がると自分も釣られちゃうヨネ(白目。


王の苦難(その2)

一ヶ月ほど前のある日のこと、俺は魔物と人間の和解のための作戦として魔王にある提案をした。

「なあ…少し荒っぽくはなるけど…支配者を連れ出して説得するのが一番だと思わないか?」

すると魔王は俺のタンスを漁る手を止めて言った。

「珍しいですね…ユーリがそんなことを言うなんて」

「これまでみたいに旅をしてきても、関わることができるのはほんの少しの村人たちだけだ、国に関わるようなことを推し進めるにはインパクトが足りない」

「ユーリ?なにか焦っているんですか?」

「え?」

「そんな改革に急に身を乗り出してくるなんてユーリらしくありません、何か悩みがあるなら…」

「…なんでもない、とにかく国の重臣をなんとか説得するための機会を設けたいんだ!」

その時はそう言って押し切った。

 

 

実のところを言えば俺は焦っている。

この前ヘイジからある噂を聞いたのだ。

ヴァール国の圧政がピークに達している、と。

そもそものところ、ヴァール国は反魔物の態勢を意固地に固めている国だ。

あの国は非常に魔物に対する排他的な考えが浸透していて、しかし信じるべきと唱えた人間ですらも今は圧政を行なっている。

 

不謹慎ではあるが、人々がすがる物を失った今こそが一番の好機だと思ったのだ。

 

 

そして現在。

 

「ユーリ君、お姉さんとちゅーしよ…ね?ちょっと舐め舐めするだけだから…ちゅーしよ?」

「アシちゃん、ご褒美の時間はとっくに過ぎています、さっさと犬小屋みたいな家に帰りなさい」

「エメちゃん怖い…ユーリ君、私怖くて怖くてお手手が離せないよぉ…」

「封印してほしいみたいですね、魔王城の地下から出られなくしてあげましょう」

「あれ?別に命を奪ってもいいんだよ…なんならエメちゃんの魂をこの場で握りつぶすのも簡単だしね?」

 

王を攫ってきたアシンさんは俺にべったり、隙あらばキスやらそれ以上の行為を迫ってくる始末。

それを見た魔王はどデカイ魔法道具の砲台でアシンさんを撃とうとしたり、俺の部屋の前で恐ろしい威力のケンカをして結局仲良く抱き合って眠っていたりする。

 

「ユーリ!ぼーっとしてたらアシちゃんみたいなビッチに攫われちゃいますよ!」

「あははっ…達者なお口は躾けてあげる」

 

本当は朝8時に、魔王城の地下に囚われているヴァール国王に面会するつもりがもう午後1時過ぎ。

このままではラチがあかない。

 

「うるさい!このやり取りもう5時間も続けてるぞ!」

「ほら、アシちゃんがあんまりしつこいからユーリ怒っちゃいましたよ?」

「エメちゃんがベタベタしすぎるから…ユーリ君♪私の歯からカルシウムを直接分け与えてあげる♪」

そしてまたケンカが始まる。

今度はカーペットを丸焦げにしないといいけれど。

 

 

 

げっそりした顔のウルスラにケンカの後始末は任せるとして、俺はとりあえず王と面会することにした。

 

地下牢のベッドに座る小さな影。

俺がヴァール国に旅の途中で立ち寄った時は、ヴァール国王はまだ3歳だったと思う。

 

「このたびのまものとうばつ、大義であったぞ」

 

言わされている感丸出しで労いの言葉を言うヴァール国王の、どこか寂しげな顔を今でも覚えている。

 

 

その時の幼さを残した顔立ちでこちらに目を向けたヴァール国王に、俺はなんと声をかけるか一瞬迷った。

しかし、彼の方からこう言った。

 

「僕を殺すんですか?」

 

小さく笑ったその顔は、魔物に村を焼き払われた人の悲しそうな笑みと少しだけ似ていた。

 

 

「ヘルガ王様…勇者であった時の恩を忘れて道理に反したこのような無礼をお許しくだs」

「挨拶は必要ないです、ここはあの大広間などではない…あなたが一番強い存在だ」

「…なぜ、そんなことを?」

「僕は王家なんて地位はもう必要ない、そしていずれ王家としての力を失った僕は殺される…」

「…」

「数年前に会ったきりの君にはなにを言っているか分からないだろうね…しかし、君が僕に何を期待しても無駄に終わる、とそれだけ言っておこう」

「…お聞かせ願えませんか、そのお話について」

「話したところで何も変わらないだろうけどね…いいよ、話そう」

 

 

国王はすらすらと淡々とヴァール国がヴァール国で無くなるまでの話をしてくれた。

長い話を割愛してまとめてみるとこうだ。

 

・国王の一切の権限はまだ国王が幼いからという理由で摂政が取り持っている

・民衆が圧政に耐えかねてクーデターを起こしたとしても、摂政や貴族には国王に罪をなすりつけて処刑するだけの準備がある

・前国王は移動中の事故によって亡くなった(同席の騎士や貴族たちは運良く無傷)

・国はもはや貴族の持つ土地でしかない

 

あまりにひどい話だった。

しかし、何よりも恐ろしく感じたのは現国王であるヘルガが父親が殺害されたことも全く気にせずに喋っていたことだ。

少なくとも数年前に彼を見たときは、感情の色のあった顔は作り物に思えるほどだった。

 

 

「お分かりですか?僕にはなにも権限などない、ただ生きているだけが現時点での課題なのです」

「そんなの…」

「信じられなくても構わないし、それはある意味当たり前でもあります…ですから僕は殺されたとしてもなにも文句は言いません」

「それはおかしい!君がたとえそういう立ち位置であろうと、魔物も人間も等しく生きていくだけの権利は…」

 

「僕は彼らに人や魔物以下の存在だと見られている…ただそれだけです」

 

「…わかった、ならまた明日話そう」

「話すことはもうありません、真実は話し尽くしました」

「今度は俺が話す番だ」

「…?」

 

「失われた君の権利を取り戻すことができるかもしれない…君だって失われた時間が欲しいだろ?」

 

 

 

 

 

 

そのころ、魔王城内勇者の部屋。

 

「この黒服女!そんなファッションはユーリは嫌いです!この前そう言ってました!」

「ふん、ユーリ君の好きなベーコンパンの刺繍を内側に入れたし…それよりそんな子供っぽい性格はユーリ君に嫌われるよ」

「結婚しましたぁ〜!この負け犬!ユーリは私に惚れていて、アシちゃんは親戚のおばさんみたいなものですよ!」

「言ってくれるね…殺す」

「望むところです!」

 

 

8時間後、魔王城内勇者の部屋ベッド。

 

「んー♡ユーリの匂いに包まれて幸せですぅ…キスしましょう♡んん…」

「ユーリ君…やっと私の魅力に気づいたんだね…んっ♪キスしてくるなんて積極的…ぬぎぬぎしましょうねぇ♪」

「もうっ♡ユーリのえっち♡いきなり脱がせてくるなんて…今夜は寝かせませんよ…♡」

 

 

さらに7時間後、魔王城内勇者の部屋。

「Hした後の朝はキスですよぉ…んっ………ん?」

「激しかったね…ユーリ君♪………ん?」

 

「「は?」」

 

 

勇者の部屋は穴だらけ焦げ跡だらけになり使用不可能になりました。




ほんとにお久です…。
今度からは真面目にリハビリしますのでお願いします!
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