ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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またまた間が空いてしまいました(´・ω・`)。
新ヒロインの構想が決まったので頑張って書いていきますよ〜。


王の苦難(その3)

ヴァール国内スラム

「…お兄さん、いい情報教えてやろうか」

「今は金がないんだよ、お前の情報の押し売りなんかいらねえ、殺すぞ」

「金取るなんざ言ってねえよボンクラ、黙って聞け…これに関しては金はいらねえ」

「後になってねだってきたら頭吹き飛ばしてやるからな、んで?少しは金のタネになるモンなのか?」

「生活が一変するかもしれん話さ…よく聞け」

 

「国王が行方不明になったらしい…魔物の仕業だとさ」

 

ヴァール国城内

「マザク様!黒魔道士の占術の結果が出たそうです!」

「して、王は何処に?神のお告げを伝えよ」

「そ、それが…黒魔道士がアーシン様のお言葉をはっきりとした手紙に書き取ったそうなのですが…」

「いい報告ではないか、いつも邪神アーシンが無言だと言い訳している黒魔道士が始めて役に立ったな」

「よ、読み上げますと…『王はちょっと入り用だから待て…あ、あとお告げは…え、ええと…たぶんこれから国が変わるから頑張って私の仕事を増やさないようにしたまえ、はぁはぁユーリ君のおぱんts』というところでお告げが途絶えた模様です!」

「…黒魔道士はひっ捕らえて尋問しておけ、しかしそのお告げが本当ならば…邪神は我々をどうするつもりなのか?」

「それは…」

「よい、全ては神のみぞ知ることだろう、しかし…嫌な予感がする、お告げの中のユーリ君とやらが勇者のユーリィ・グレイである可能性もなきにしもあらずだ、警備を強化しろ」

「はっ!」

 

「く…この国が滅びたならこの国の過去も明らかとなってしまう…それだけは避けねばならん…やっと見つけた地下の遺産を調べもしていないのに…」

 

魔界魔王城

俺とヘルガはヴァール国の今の態勢を挫くべく話をしていた…その過程で俺の部屋でゴソゴソしていた魔王や水晶に何か語りかけていたアシンさんにも聞いてもらおうと思って連れてきたのだが…。

「あ、エメちゃん…昨日は私の豊満なボディでお楽しみだったみたいだね…♪」

「悲しいですねぇ…ユーリと私の区別が付かないアシちゃんと添い寝しただなんて」

「あれ?エメちゃんは私の唇奪ったよね…ユーリ君専用の」

「そっちからやったんでしょう?それとアシちゃんの唇が使われることは二度とないでしょうね、諦めなさい」

「「ぐぬぬぬ…」」

「二人とも、話を聞いてくれ」

「「はーーい♡」」

作戦を立てるにも一苦労だ。

 

とにかく、俺が朝からヘルガと会談をして分かったことを二人に簡潔に説明した。

・ヘルガの要求は国を以前の(王権の確立している)状態に戻すこと

・こちらの要求は国を魔族と少なからず親交のある状態へと変えること

・双方の目的のために力を合わせること

・なるべく国民への負担を少なくすること

・戦争などの手段はなるべく使わないこと

 

「この5点を踏まえて俺たちだけであの国を変えるんだ、三人とも分かってくれたか?」

「私たちだけ?そんなの魔物の精鋭部隊で貴族やらを皆殺しにしてしまえばいいじゃないですか」

「そうそう…もっとも魔物じゃ心もとないもんね♪霊の軍勢で憑り殺してあげてもいいよ…見返りはユーリ君の体で♪」

「は?この年増、ユーリ誘惑してもイタいだけですよ」

「クソガキに何がわかるんだか…そんな貧相な体だから発想が貧困なんだよ」

「「むむむむむ…!」」

 

デジャヴでしかない。

 

「やめろ!」

「「はーい♡」」

「いいか、貴族たちを皆殺しになんてすれば必然的に政治的な力が弱まってしまう…だろ?」

「…はい、僕一人で国家会談などに出てはすぐに国に異常事態が起きた調べはついてしまうと思います」

「ただでさえ国力の低下している今だからこそ、貴族たちには形だけでもポストに付いていてもらう必要があるんだ、従って基本は無血開城を目指す」

「無血…それはさすがに無理だよ」

「私も反対ですね、ユーリがそうして無茶な目標を掲げた時はいつでも血が流れます」

「そんなことない!誰も傷つかない時だってあっただろ」

「誰も?これまで起こしてきたことでユーリが傷つかなかった時はなかったように思えますが」

「それは…仕方ないことじゃ…」

「ユーリの血の上に成り立つ無血なんて、そんなの無血じゃありませんよ…それを踏まえて私に物を言ってください」

「…ごめん」

謝って数分も沈黙した後、魔王は俺の頭を一撫ですると顔を上げさせ、冷たい目でヘルガを睨みつけていた。

俺に助けを求める人は、魔王にとっては「夫を傷つけるヤツ」のような扱いなのだろう。

「謝罪は求めていません、それで?あなたたちが練ったプランを説明してみせてください」

「あ、ああ…」

確かに魔王をないがしろにして戦ったりすることも多かったが、魔王本人にはっきりと指摘されると謝るしかなかった。

「エメちゃん…言い過ぎだよ」

「…どれだけ言ってもユーリは私の元では落ち着いていられません、なら私がついて行くまでですよ、作戦は?」

「…ありがとな」

「これを見てください」

 

ヘルガが取り出したのは王国周辺の地図と王国内の地図にいくつかペンで書き込んであるものだった。

 

「これがヴァール国の城ですか?狭いですね…」

「ここを攻め落とすつもりなの?けれど見たところ回廊なんかもあるし…警備の巡回頻度としてはかなり多そうだけど」

「いいや、俺たちがまず行くのはそこじゃない」

「はい、向かうのはスラムです」

 

ヴァール国のスラムは城下町内にありながら、国の領土の中では最も治安が悪いとされている。

なぜそれほどに治安が悪いのか…それは圧政によって給料は本来の2割しかもらえず、しかしそれでは一週間食いつなぐこともできないために失業者が溜まっているのだ。

 

スラムにいる彼らは王国に強い嫌悪感を抱いており、その昔に騎士が摂政の命令でスラムを取り潰しに来た時、騎士数十人を殺害したのち城の庭に遺体を投げ込む事件が起きたこともあった。

 

「彼らをうまく扇動すれば、スラムの方に警備が集中するだろ?その隙に俺たちは裏口から突破して、摂政の元を目指す」

「仮に摂政を捕まえたとして…その後の政治はうまくいくかな?」

「国民を扇動したのは俺たち…いいや、キーになるのはヘルガだ、ヘルガがそれだけのことをできたなら、彼らも王権の復古を宣言せざるを得ないだろうさ」

これまでよりは幾分か現実的な作戦のように思えるが、全てはヘルガの説得力に委ねられているようなものだ。

「私たちは何をすればいいんです?アシちゃんに至っては今回完全なる役立たz」

「それ以上言わなくていい、またケンカになるから」

むすっとした顔で座る魔王。

俺がまた無茶を言い出したからか、はたまた自分が作戦にいないからか、どちらにせよ魔王には魔王で大仕事を頼まなくてはならない。

「エメとアシンさんには重大な任務があるんだよ」

「「なんでもやります!」」

「…勇者様も大概モテモテですね」

「こほん、魔物に命令して使節を送って、その様子を尾行と魔法の両面で見てほしいんだ」

「なんでそんな手間なことを?」

「魔族が使節として派遣され、正式に挨拶すれば彼らはその後の襲撃などを警戒すると思うんです、チキン貴族のことですからね…魔族の言う通りにするかもしれません」

「魔物が殺されそうになった場合は?」

「その時は…悪いけどアシンさん、助けてやってください、なるべく殺さないようにお願いします」

「ん…ユーリ君のお頼みならそうする」

「私は?魔力でも測定するんですか?」

「その通りだ、ヴァール国側にも魔力を持つ敵がいないわけではないと思うんだよ」

「いたとしても神官くらいだと思うのですが…一人だけ怪しい人間がいます」

「…それは?」

 

「摂政、マザクですよ…彼はどうもきな臭い」

後にヘルガのその予感が別の形で当たるなどとは、お願いした俺は知る由もなかった。




今回は完全におしゃべり回ですね。
動きがあるのは2話ほど後かと思われます。
なお新ヒロインの登場はそれよりまだ先の予定…。
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