ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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夫婦の営み(15日間ぶっ通し)をした後、物語はシリアスに…?
投稿頻度を上げるのが令和の課題なのでありまする。


降臨(その1)

「…ユーリ、今回ばかりはあまりに無謀です」

 

魔王城の会議室で、フカフカの椅子に腰かけて七人…魔王、ルビルさん、マリンちゃん、クインちゃん、ウルスラ、アシンさん、そして俺が話し合っていた。

 

話題は他でもない、ニコラとパストスとメデンの救出についてのことである。

 

アシンさんが口を開く。

「ユーリ君…全能神は指先一つで人を殺せるの…全てを見通す目とあらゆることを聞き分ける耳…何より世界を支配するその能力には、私たちの総力を挙げてもとても敵わない」

 

クインちゃんも小さな手を振って言った。

「ユーリィさんの気持ちもわかります…それでも失敗した時の代償はあまりに大きすぎるのですよ…?」

 

 

その心配したような呆れたような目を見ても諦めず、俺はもう一度作戦の内容を繰り返した。

 

「三人を救うにはこれしかない……神世界へ行って全能神へ直談判する、神と人との過剰干渉が良くないことだとは知らなかったと…そう言って謝るんだ!」

 

 

ウルスラが怜悧な目を向けて言った。

「それを知った上でのことです、全能神ともあろう者がたかが魔族や人間と話し合いなんてすると思いますか?」

 

「……」

 

ウルスラの言い分ももっともだ。

全能神はあらゆる物を統べる存在。

邪魔なものは消してしまえば良い話なのだから。

 

 

 

重い空気が漂う中、来訪のベルが鳴った。

 

「私が出て参ります」

 

ウルスラが小走りで出て行った数分後のことだった。

俺たち全員の耳…いや、頭の中に直接声が聞こえた。

 

 

『全員今すぐ玄関口に集合しなさい、命令を無視した場合はダークエルフを殺します』

 

 

全員が一斉に玄関に走る。

「ウルスラ!」

「皆さん…申し訳…ありません…!」

 

そこにいたのは、光る羽衣に身を包んだ女性達、そしてその足元に転がるウルスラだった。

女達は光るモリのような物を持っている。

 

「そこの人間、我々と同行を願います」

透き通った声で背の高い女が言う。

その蒼い目は俺のことを捉えていた。

 

俺が何か答える前に、アシンさんが目の前に出た。

「待ってください…あなたは大天使のエアリーでしょう?誰に遣わされてここに?それくらいは教えてもらいたいものです…おおかた血の気の多い火の神でしょうが」

 

 

クスリとも笑わないまま、大天使エアリーと呼ばれた女はそれに答えた。

「あなたは一次神であるから答えましょう…今宵の我々の任務は『その男を神世界まで同行させよ』と、全能神ピウラー様よりの使命を受けて参りました」

 

 

それを聞いた途端にアシンさんの顔色が変わった。

「…!いくらなんでも乱暴です…ユーリく…そこの人間を連行するのなら、近しい神である私に何か伝えがあって然るべきでしょう」

 

「ピウラー様のご意見は絶対です、それは貴女にもお分かりかと思っておりましたが」

 

「それでも…」

 

アシンさんが口を開いたその時、俺の頰をかすめて何かが飛んだ。

恐る恐る振り返る…飾られた鎧を貫通し、壁に深々と突き刺さるそれは、先ほどまで大天使エアリーの手に握られていた輝くモリだった。

 

「ご同行願えないのであれば、障害因子を排除します…それは貴女とて例外ではありませんよ?」

 

後ろに控えた3人の天使が、一斉にアシンさんの前にモリを突きつけた。

 

ピウラーの方から俺を召喚している。

それならば行かない道理は無い…と言いたいが、俺一人というのも妙ではある。

恐らく話し合いなどするつもりはないのだろう。

一歩前に出る、その寸前に魔王がアシンさんの隣に立った。

 

「貴女達が何様なのかは知らないけれど…ユーリを渡すつもりはありません」

「エメ!?」

「エメラル様!」

「エメちゃん…?」

「…お姉ちゃん」

「ふえぇ…」

 

そのスパっとした明快な発言に、天使達もやや戸惑ったような素振りを見せた。

 

「何を言っているのか分かっているのですか?これは命令です、聞かなければ神の裁きが降りかかります」

「喧嘩上等ですとも、魔界を舐めないでもらえる?」

「魔族の長ごときが全能神様に逆らうことは不可能です、諦めなさい」

「天使なんて仰々しい名前の割に、目上の者に対する口の聞き方がなっていないみたいね」

「…」

 

天使がモリを構える。

話をする気はもう無いのだろう。

 

「マリン!お母さん!ウルスラ!」

「…天使に喧嘩売るなんて、私は知らないよ」

「やれやれ…私の若い頃にそっくりね♪」

「後始末はしっかりとしていただきますからね」

 

 

その闘いはまさに異次元。

アシンさんの黒い魔法盾で俺とクインちゃんは護られた。

 

魔王の手から飛び出す真っ黒な矢は付近を通り抜けるだけで壁を焦がす。

ルビルさんが何事かを詠唱すると、天使の身体に風穴が空いた。

マリンちゃんの指から放たれた青い球は激しい音と共に炸裂し、周囲は穴だらけ。

ウルスラが手を振ると、見えないほどの速度を付けて投げ放たれたモリがへし折れた。

 

 

10分ほど後。

「くッ…!魔族…それに与する死神…!覚えておきなさい!貴女達には必ず天罰が下ることでしょう…」

 

大天使エアリーは背を向けて飛び立った。

後を追うように翼を広げた天使が背を向けた瞬間。

 

「逃すと思うのかな…ユーリ君を奪いに来たコソ泥を」

 

アシンさんが赤い鎌を光らせた。

 

 

次の瞬間、後を追っていた3人の天使達は地に堕ちた。

首を綺麗に切断されて。

 

エアリーの顔が驚きに歪む。

「…!」

 

「降りておいでよ…あなたも斬ってあげるから」

 

 

 

 

 

襲撃を退け、エアリーが飛び去って行くのを見送った後、魔王城はかつて無いほど騒々しかった。

 

「ウルスラ、緊急処置をします…G書類に記された重要人物を魔界に呼んでください」

「はい、神世界と人間界はどうするのですか?」

「マリンは神世界と繋がる道を封鎖してください、お母さんはハザラの街で人間界との門の封印をお願いします」

 

「ま、待てよ、何をする気だ?」

「全能神がその気になれば、私たちを触れることすらせずに消滅させることができます……それを防ぐために、ピウラーへの信仰心のない者のみを魔界に呼び、それ以外は逆に人間界に追放します」

「…それで防げるのか?」

「防げません、しかし影響力は大きく落ちます…その間に策を練らなくてはなりません」

「人間界に追放された人々はどうなる?」

「全能神がそう望まない限りは消滅しません、せいぜい私たちに対して凶暴になるくらいでしょうか」

「………」

「自体は一刻を争います、ユーリと一緒に寝るのもまた先のことになってしまいますね」

 

魔王達は慌ただしく部屋を出て行った。

 

 

その次の日の魔界では、魔王の演説が行われることとなる。

 

 

 

『神との戦争を始める』

それを告げる演説が。




ついに全能神相手です!
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