ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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魔界大戦。
それぞれの見た戦況は?


魔界大戦(その1)

魔王エメラル・デラルスの見た戦争

 

退屈。早く終わらせてユーリに会いたい。

ユーリは、相手が手を出してくる、あるいは死の危険を感じるまでは傷つけてはダメだといっていた。

優しい。優しすぎる。いや、甘い?そんなことだからユーリは他のハルカとか、ネミルとかの人間たちに近寄られるんだ。

たくさんの兵士たちが私のいるこの陣地に攻め入って来た。

他の兵は下がらせた。標的と間違ってはいけないから。

単純作業。

相手が武器を構える。

爆破する。

それだけだ。

「ユーリ…」

ユーリは今何してるのかな。

この戦争終わったら一晩…いや、一ヶ月繋がりっぱなしで…。

死ぬ寸前までずーっとしちゃおっと。

妄想してたらなんかムラムラしてきた…一人でシたいけど敵は数だけはあるし…。

あー!ユーリといちゃラブしたい!独り占めして貪りたい!キスしたい!抱きしめたい!今すぐ犯したい!

指輪を見る。ユーリに通信を送ってみようか。だめだ。よそ見した隙に殺されてしまったら…。

いっそのこと、敵陣を丸ごと消してもいいけれど、ユーリに嫌われてしまう。

「と、止まって!」

二人、手に持った杖を構えない女がいた。

「勇者様の洗脳を、解いてください!」

ハルカとネミルだ。邪魔臭い。というか殺したい。

「ユーリと私は、愛しあってるんですよ」

「ふざけないで!私たちといた頃は勇者はもう少しまともだった!」

弱い犬ほどよく吠える。

ま、ユーリはよく鳴いた方が可愛いんですけど、ベッドの中ではお薬で溜まったのを私に吐き出してくれる奴隷…。

あ、こんなこと考えてる場合じゃない。

「まとも?なんですか、それ」

「魔族を倒すって、私たち4人は誓ったの!」

「共存だなんて不可能です!」

ユーリを否定した?あ、殺そ。

「ユーリの邪魔するんですか?」

さすがにこんな下級の人間でも殺気は感じたみたい。

「っ…!」

「ゆ、勇者様の邪魔じゃないです!あなたの洗脳を解いて、もう一度あなた達と戦うんです!」

「言ってわからないなら、殺そっか♪」

両手に魔力を込める。

「ハルカ!こ、こいつには敵わないわ!」

「説得するんです!」

なにか喚いている。つまらない。あと3秒でこの二人は死ぬ。

「じゃ、さよなら、生まれ変わってもユーリに近づかないでね♪」

「くっ…!」

防御魔法を唱えている。無駄なことを。

しかし、魔法が発動する直前に、ユーリが割り込んだ。

「魔王!二人を…殺さないでくれ!」

「ゆ、ユーリ…!?」

そして、魔法は止めきれず、放たれた。

 

 

その数分前。

ダークエルフ族長ウルスラ・バードの見た戦争

 

ユーリィ様はことあるごとに私を止めようとしてくる。

「ユーリィ様!なぜ言うことがわからないのですか!?殺さなければ殺されるのです!」

「腕を折ったならそれでいいだろ!放っておけよ!」

「てっぽうは片手でも撃てるそうですので」

私がまた一人、首を斬ろうとした瞬間にユーリィ様は自分の剣で、私の剣を弾く。

「ユーリィ様、わがままが過ぎます」

「何とでも言えばいい、殺すのは間違ってる」

なぜここまで庇うのか。彼も魔族に殺されかけたことはあるだろう。なのに、なぜ自ら殺される確率を高めたがるのか。

「…ユーリィ様、お許しください」

「なに…する気だ?」

眠らせる。これしかない。課せられた任務はユーリィ様を守ること。眠らせた方が安全だ。

昏睡魔法を使おうとしたその前に、ユーリィ様の指輪が光った。

「っ!?」

「これ…魔王が呼んでる…?」

「急ぎましょう!」

転移魔法を唱える。

エメラル様になにかあったのだろうか。

この色の光は、エメラル様が意思をもって送った通信ではない。

魔力を咄嗟に込めることしかできないほどの窮地に陥っているのか。

辿り着いた場所で、エメラル様が二人の人間を消そうとしていた。

「…なんだ、そういうことでしたか」

手に魔力を込めた拍子に誤って信号を送ってしまったようだ。

「ユーリィ様、戻りまs」

振り返った瞬間。

「魔王!」

私が止める隙もなく、ユーリィ様が飛び出した。

「ユーリィ様!?」

「ユーリ…!?」

エメラル様は急いで魔力を散らした。けれど、そんなもので消せる魔法ではない。

魔法は容赦なくユーリィ様の体を弾く。

エメラル様が叫び、駆け寄る。

私は早くも任務失敗だ。エメラル様に殺されてしまうだろうか。

なんにせよ、私と人間の女2人は、死に物狂いで治療しようとしているエメラル様と、小さく笑ってエメラル様を安心させようとするユーリィ様を、見ることしかできなかった。

 

彼は半端に勇者としてのプライドを持ってしまった。

半端に魔族に共感してしまった。

辛いのは彼も同じだろう。

恋人と、昔の仲間の板挟みに合っている。

おまけに人の死を見たくないにも関わらず、自分の責任で戦争を起こしたと思っている。

馬鹿な人間だとは思う。けれど、嫌いではない。

彼の傷つきながらの笑い顔を見て。

彼の望む世界を、見てみたいと思った。




うーむ。感動させるのは容易じゃない。
そしていきなり怪我したユーリィ。
この調子じゃ、その3くらいで死んでまう!
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