ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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ハザラの街で探検します。
この調子で旅は無事に続くのだろうか…?


新婚旅行(その3)

「ユーリ!ここに入りましょう!」

「ん?どれどれ…」

魔王に腕を引っ張られて連れてこられた店の名前を見る。

魔法道具屋「クイン」

うむ、なんかいかにも胡散臭い所だなあ。建物もやけに古臭いし…。

「…なんでここに入りたいわけ?」

「お土産ですよ!素敵な魔法道具を見つけるのです!」

というか、魔王城の倉庫には街一つ吹き飛ばすくらいの武器とか、国が一つ買えるくらいの値段の道具、たくさんあるけどね。

「じゃあ、入るか?」

「はい!」

 

中に入ると、ホコリの匂いが鼻を突いた。

棚にたくさんの魔法道具が並べられている。どれもこれも珍しいが、逆に言えば旅の途中、こんなの見たことがない。

とか思ってたら、魔女の帽子をかぶった小さな女の子が足をつんつんつついてきた。

「お気に召したもの、ありますかー?」

「…誰?君」

「店主のクインです!」

こんな小さな女の子が?

「お嬢ちゃん、迷い込んだの?」

魔王がしゃがんでクインちゃん?の頭を撫でる。

「ち、違いますー、私はここの店主で…」

「ほら、俺達と街に戻ろう、な?」

俺が提案すると、その子はなんだか俯いてふるふると震えている。まずい。怖がらせたか?

「クインちゃん?おーい」

「私たち怖い人じゃないよ?ね、ユーリ」

そう言うとクインちゃんは顔を上げ、キッと睨んできた。

全然怖くない。

「見ててください!私は子供なんかじゃないですから!」

そう言うとクインちゃんは小さな銀時計をポケットから取り出し、何かを詠唱した。

次の瞬間、クインちゃんの体は色々と大きくなり、ビリビリと小さな服を裂いて、魔王より一回りお姉さんの体つきと顔になった。

「!?」

「ユーリ、見ちゃダメです!」

魔王に思いっきり吹き飛ばされる。痛い。

「あ、あわわ!服!服!」

クインちゃんはカーテンにくるまって体をギリギリ隠している。

「あなた何者ですか!?ユーリを誘惑しないでください!」

「私はクインですってばぁ!」

待てよ?クイン?

「クイン・テンプレス?」

「え?なんで私の名前を?」

「ユーリ、知り合いなんですか?」

「えーと、クイン・テンプレスってのは…」

 

そう、王宮をうろついていた時に風の噂で聞いたことがある。

340年前、ある勇者が魔王(恐らく今の魔王ではない)と激闘を繰り広げた後に、封印に成功したらしい。ただし、その封印は戦闘中に唱えられたものなので、不完全だった。

本来はすぐに魔を封じることができたはずのそれが、効力を発揮するわずか数秒前、その勇者達のパーティは魔王の最後のあがきで壊滅的な被害を受けたらしい。

その攻撃と、手下の追撃から逃げ延び、生還した人間が一人だけいたそうだ。

その名が、クイン・テンプレス。

 

「340年前から生きてる人間!?」

言うと、クインちゃんは顔を赤らめて。

「えへへ、お恥ずかしい…」

魔王もさすがに驚いたようだ。

「いえ、褒めてはないんですが…」

「あ、性格には今366歳ですねー、この銀時計をよくわからない魔術師の方からもらったら、変に長生きになっちゃいまして」

「…」

もう、どう反応していいのやら。

「あ、怖がらないでください!ここの品物は300年前の掘り出し物ですから、質の良い物ばっかりです!」

道理で見たことがない形の物ばかりなわけだ。

しかし魔王はまた興味が出てきたらしい。ヨダレを垂らして何かつぶやいている。

「むふふ…ユーリを銀時計でショタにして虐めて…赤ちゃんプレイで優しく優しく出させて…」

「おーい、魔王さーん」

「はっ!なんでもないです!えへへ、お気になさらず」

丸聞こえだけどね。

変なムードを壊すようにクインちゃんが入ってくる。

「で、何か欲しいものありますか?」

今欲しい物といえば、旅に役立つものがいいかな。

「そうだなあ、素性を隠せるようなものあるか?」

「あー…確かにその衣はあんまり状態がよくないので、気配が私にも感じられますね…」

「え!知ってたんですか!?」

魔王が動転している。

「あはは、普通にそちらの方が魔王って呼んでますし、私は仮にも魔法使いですしね…」

「何かありますか?ユーリと私を隠せる道具」

「うーん…どちらかといえばここは呪いの道具とか取り扱ってますからねえ…」

やっぱりそう上手くはいかないか。仕方ないし、帰るか。

「なら、なにか恋の道具ありますか?」

「!?」

ストレートな質問してる!魔王、何も恥じらってない?

「ふふふ、そうくると思いましたよー」

ごそごそと麻袋の中から、クインちゃんが首輪を取り出した。

まさか、マリンちゃんとかの同志?

「…え?あの、これ」

魔王は目をキラキラさせている。

「これ、どうやって使うんですか!?」

クインちゃんもノリノリで。

「これを付けられた人は、意識と思考はそのままで、付けた人間の言うことに絶対服従になります!」

「もらいます!」

「毎度あり!」

「おい待て待て!」

首輪を買う手続きを邪魔しようとしたら、魔王に首輪をはめられて、取り押さえられました。

 

「また来てくださいねー!」

クインちゃんが小さな姿に戻って手を振って見送ってくれた。

俺は、魔王が楽しそうに抱きしめている首輪を付けられる今晩のことが気がかりで、振り返すことはとてもできなかった。

 

宿「グラムテル」

宿に着いた。さすが魔王の財力といったところか。とても綺麗で広い宿だ。

着くなりふかふかのベッドに倒れこむ。

「ふぃー、疲れたー」

「ですね、でも、楽しかったからよかったです!」

魔王が魔法道具の鏡でマリンちゃんとなにか会話し始めた。その間に俺は寝て今晩のアレを回避しようとする。

しかし。

「え?マリン、こっちに来るんですか?いや、今日はユーリと二人でランデブーなんです!」

「…お姉ちゃんばっかりズルい、魔法道具で今すぐ行くから、じゃ」

魔王が鏡をしまう。その次の瞬間に、窓からマリンちゃんが部屋に入ってきた。

「マリン!?独り占めはさせませんからね!」

「…ふふ、今日は最高の夜になりそう」

ここは回避せねば、死んでしまう!

「あ、あの、疲れたからそろそろ寝たいなー」

そう言うと、二人は悪魔のような笑みを浮かべ。

「「ダ・メ♡」」

次の瞬間、俺の体はマリンちゃんにホールドされて、魔王に首輪を付けられていた。

「ユーリ、マリンがひとしきり出し終えたら、今度は私に首輪付けて可愛がってください♪」

「お兄ちゃん、今日はお腹が膨らむくらいシようね♡」

長い夜になりそうだ。もう、諦めよう。

 

その夜、久々に最上級部屋に客が来て喜んでいた宿の女主人は、上の階からの止まないベッドの軋み音に悩まされたようだ。




新たな登場人物のクイン・テンプレス!これからの話には出てこないかもですが…。
そしてきちんとヤることヤってる勇者。羨まし(ry。
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