「ユーリ!あれ、あれ食べましょう!美味しそうです!」
「また食うのか…」
ベリ村。王宮からもハザラの街からも離れた田舎町だが、そのぶん都会とはまた違う風習や料理がある。
「むぅ、せっかく人間界に来たんですから」
「でもさ、あんまり食べたら太r」
「そ、それは…えへへ…も、もし太ってもユーリなら愛してくれますよね?」
「重いのに騎乗位されたら困r」
「黙れ」
魔王の目が光り、視界が一瞬ブレた。
気がつくと飯店の中にいた。
「あれ?俺何してたっけ?」
「なんだっていいじゃないですか、ささ、何食べましょうか?」
なんかデジャブだ。
ま、いっか。
魔王は楽しそうにメニューを見ている。
よくもここまで食べられるもんだ。
「俺はここまでの4軒でもう満足だし、魔王の好きなもの食べな」
魔王は少しだけ寂しそうな顔をした。
「でも私、一人で食べても…」
そして愚痴を言いだした。やれやれ、なんでも俺にベッタリだ。
可愛いからいいけど。
「ま、まあまあ、俺もちょっと食べるから、な?」
そう言った瞬間目が輝いた。
「うーん…なら、これとこれと、あと、これボトルで頼みますね!」
「好きにしてく…おい、待てよ?」
「注文しました!」
「ボトルってなんだボトルって!」
「これですよ?地酒ってなんか美味しそうじゃないですか!」
メニューを奪い取って魔王が指差したところを見る。
ベリ村地酒「びっぐばん」アルコール度数22%
22%!?
ていうかネーミングセンス無さすぎ!
魔王って結構酒乱だった気もするし。
「…お酒、飲みたかったわけ?」
「どうせ今日は移動しないわけですし、こんな時間からのお酒もいいかなーと思いまして」
「ほどほどに、な?ハメ外すなよ?」
「私ほどお上品にお酒を飲む魔王はいませんよ」
ご機嫌の魔王と、色々と先に不安を感じる俺は料理が来るのを待っていた。すると魔王が。
「ユーリ、ここ、「ざしき」ですよね?」
「ああ、区切られてるし、くつろげるだろ?」
そう言うともじもじして、爆弾発言を投下した。
「…シたくなってきたんですけど…」
「あのなぁ」
「言いたいことはわかってます!でも、ユーリといると興奮してくるんですよ!」
「とにかく、宿に帰るまでダメ」
「舐めるだけさせてくd」
「ダメ」
魔王が涙目になっている。しかし、ここで許せない理由があった。
これは躾だ。最近魔王は底知れない性欲が昼にも出てくるようになった。抑制できるようにしないと。
しばらく睨み合っていた。そこで扉が開き。
「お待たせしましたー」
ナイスタイミング!
「こちらのお料理と、本日はカップルデーなので、ザクリの実のお漬物をサービスいたします!」
ザクリの実?どっかで聞いたことある。
「では、ごゆっくり」
ぴしゃりと扉が閉まる。
「いただきましょうか」
「あ、ああ」
しかし、魔王は皿には手を伸ばさない。
仕方がないから俺が食べる。
「食べないのか?」
「食べますから、ほっといてください」
ハイペースでびっぐばんを飲んではザクリの実をつまんでいる。
「飲みすぎて足腰立たなくなっても知らないぞ」
「ひっく、関係ないです、ユーリには」
顔が真っ赤だ。
まずい。主に俺の股間が。
「おい、もうやめとけ!」
「さっきみたいに放っておいてください!」
酒を奪おうとする。その瞬間、魔王に顔を撫でられた。
「邪魔です」
俺の平衡感覚が狂って、倒れた。世界が回る。
「お、おい、まお…エメ、冗談もほどほどに」
「…帰りましょうかね」
「え?」
「運びます」
静かすぎる。恐ろしい。このまま殺されると言われても納得できそうなくらいだ。
魔王が俺を担ぐ。そのまま店を出た。
宿に着くと、俺を乱暴にベッドに降ろした。
「え、エメ、もっと優しく…」
魔王の顔は紅潮していた。
「ふー…ユーリ、お仕置きの時間ですよ」
!?
いくら何でも理不尽すぎる。
「お仕置きじゃないだろ!そもそも昼からシたいとか言う魔王がどうかしてる!」
「ふふ、ふふふ、それで言い訳は終わりですか?」
「え?」
「もう、我慢できないので♪」
8時間後
「あれ?きちんと出なくなりましたね?ユーリ?ちゃんとイってるはずなんですけどね?」
声が出ない。魔力で精気を無理やり回復させられて20発以上を出させられた。
「も、もう、むり…」
「やれやれ、これに懲りたら私に性欲を我慢させるなんて考えないことですね」
勝ち誇った顔だ。満足したらしいが、ここで頷いては思うつぼ。
「でも、魔王は性欲強すぎだから、少しは…」
「…まだ、分かりませんか?」
にじり寄ってくる。
「ま、待て!これ以上はホントに死ぬ!」
「私もお腹張るくらいシましたけど、ユーリがそんなこと言うなら仕方ないですね♪」
その次の日のベリ村滞在二日目は、寝込んだせいでろくに観光できなかった。
底知れない性欲…。
さすがに死ぬ寸前までされると恐ろしいですね。