「帰りましたー!」
魔王が俺を抱っこしたまま城に入る。
使用人はかなりギョッとしたようだ。
「お、おかえりなさいませ」
そのまま食卓へ向かう。
「…お兄ちゃん!おかえり!」
マリンちゃんが飛びついてくる。が、魔王はさっと後ろを向いて俺を隠す。
「…お姉ちゃん、また喧嘩したいの?」
「望むところです」
「…馬車の中で散々シたみたいだからいいじゃん」
「な、何故それを!?」
「…ウルスラがさっき不機嫌オーラ全開で掃除してた」
「え、えへへ、ユーリ、私、お腹痛くなってきたのでウルスラに謝ってきてください」
「!?」
「…お兄ちゃん、かわいそう」
「ふぅ…これでシミも取れましたね」
謎のシミを掃除し終えたウルスラがごくごく豪快に水を飲んでいる。
怖いので背後から近づいて声をかける。
「あ、あのぅ…ウルスラさん?」
そう言うと飛び上がって水筒を放り投げた。
「ひゃ!?…あ、ああ、なんですか?」
「ウルスラさんって案外怖がr」
「黙ってください、そもそもこんなに疲れたのはあなたが何発も出すから」
「す、すみません」
「マリン様でもあんなに出しませんから、以後ほどほどに!」
「はい、ごめんなさい」
「で?何の用ですか?」
「怖がりウルスラさんを驚かそうと思っt」
ぶん殴られた。
カンカンに怒って去っていくウルスラから逃げるように城に戻った。
6時間後
「いただきます!」
みんなでご飯を食べ始める。
「おいしぃです!」
クインちゃんががっつく。なぜ今も付いてきてるのかは疲れて誰も問いかけない。
「ふぅ…これはうまいな、ぜひ後で教えてくれ!」
「料理を任せるほど信用してはいません」
エレナをウルスラが軽くあしらう。
「ユーリ、あーんです!あーん!」
「はいはい、あーん」
「んっ、ちゅ…♡」
「ん!?んんー!」
あーんしたのに口移し!?
なんかどんどんエスカレートしてる。
なんとか舌を押し返して口を離す。
なんとも言えない視線が突き刺さってくる。
「…」
「…」
「…」
「ユーリ、あーんです!今度はユーリから口移ししてください!」
「もうしないからな!」
「え、えっちぃですよぅ…」
温度差がすごいです。
3時間後
勇者の部屋
「ユーリ、新婚旅行失敗でしたね」
俺の部屋で魔王がしなだれかかってくる。
「仕方ない、また行こう」
「そのときはもっとたくさんシましょうね!」
「…やっぱ行かないかも」
「ふーん?久々にお仕置きですね」
「お、おい、待て待て!そのお香なんだよ!?」
「細かいですねぇ、ユーリ♡」
「ぅっ…魔王…」
「お薬を使わないと思いを出さないユーリもかわいいですよ♡あッ、ま、待って、いきなりそんなっ…!」
そのころ
ウルスラの部屋
エレナは呆然としていた。
ウルスラは何でもできるスーパーメイドだ。個人情報書類の偽造、戦闘、料理、無愛想なのを除けば理想の女性である。
しかし、見てしまったのだ。
部屋が汚い。
ウルスラは色んなものが散乱したベッドの上で、下着一丁でエレナを睨みつける。
「…見ましたね」
「だ、だって、私の荷物運んで来いって」
「ノックくらいしてください!このことは、絶対に誰にも言わないでください」
「…あの、掃除、手伝おうか?」
「…いいでしょう、これも使用人になるための修行として用意した汚い部屋ですからね」
「はいはい」
「…お願いします」
そのあと、ウルスラの部屋から未使用のコンドー◯とか大人のオモチャとか「男性を魅了する秘訣」とかいう本が出てくるのだが、それを知る者は一人だけ。
そのころ
廊下
「ふぇぇ…広くて道に迷ってしまいましたよぅ…」
クインちゃんは一人で廊下をうろうろしていた。確かに広いのは広いが、さっきから焦りすぎて同じところをずっと回っている。
「…仕方ないです、ここは誰かに聞きましょう」
扉を開ける。
「ユーリ♡そんなとこ舐めてもっ♡仕方ないんですよッ♡もう、だ、ダメっ!んぅっ!♡」
「エメっ!可愛いぞ、エメ!」
扉を閉める。
「はわわ…えっちぃとこに出くわしちゃいました…、次の扉なら少しはマシな人に…」
扉を開ける。
「あの…これ捨てていいですか?」
「ダメです、思い入れのあるオモチャなんです」
「モーターが劣化してますし、買い換えた方が…」
「これでも気持ちいいですから!なんなら使って見せましょうか?」
「ふぅん?そこまで見栄張るなら見せてくださいよ、使えなかったら捨てますからね」
「え!?い、いえあの…」
「捨てますか」
「し、します!しますから捨てないで!」
扉を閉める。
「つ、次です!」
扉を開ける。
「はっはっ♡お兄ちゃん…!お姉ちゃんばっかり相手して…!私も性欲いっぱいなのに!」
扉を閉める。
「ぅぅ…変態さんばっかりですよぅ…」
顔を真っ赤にして失神したクインちゃんが発見されたのは、6時間ほど後のこと。
コメディ回?
取り残されたクインちゃんw。
にしても勇者は過労死が心配…。