ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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ウルスラたんが苦労しまくってるので、今回はウルスラ回です。休日はどう過ごすのかな?
ウルスラ視点です。


メイドの休日

「…はぁ」

思わずため息が出る。

ここはハザラの街。といっても、いつものような食料や日用品の買い出しに来たわけではない。

今朝、急にエメラル様から告げられたのだ。

 

「おはようございます、エメラル様」

「おはよ…あー…激しかったぁ」

「…ユーリィ様はどうされたのですか?」

「えーと、そっとしておいてあげてください」

エメラル様の部屋からゾンビのようなうめき声が聞こえる。さすがに少しかわいそうだ。

「…あの、程々になさらないt」

「聞こえませんねー!あ、そうだ!ちょっとお出かけしてきたらどうですか!?」

無理矢理な方向転換。エメラル様の愛は私から見ても重い。ユーリィ様も気の毒に。

ま、砂糖吐きそうなくらい甘々だから愛し合ってはいるようだ。

「ですが、私には特に予定もn」

「ささ、さささ!そうと決まれば出て行ってください!私はユーリと甘々セッk…看病しなくてはいけません!」

魔法の光を浴び、次の瞬間にはメイド服のまま城外に放り出されてしまった。

 

そして今はメイド服から買った青い服に着替え、カフェでコーヒーを飲んでいる。

「お待たせしました、クロマツキノコのオムレツです」

目の前にオムレツの乗ったお皿が置かれる。

真っ黄色の魔界鶏の卵に、死体の養分を吸って美味しさを蓄えたクロマツキノコが入ったオムレツ。

私の母は、ほとんどオムレツは作ってくれなかった。しかし、その昔に一回だけ作ってくれたことがある。

それが魔界鶏卵とクロマツキノコ入りのオムレツだった。

「いただきます」

口の中にオムレツを入れる。次の瞬間にふわり、とろりとした食感が広がった。

おいしい。

私は一気にものも言わずに食べた(元から食事中には喋らないが)。

食べ終えたところで、背後から何者かに話しかけられた。

「そこのお姉さん、ちょっと遊び行かない?」

「…?」

振り向くと、そこには吸血鬼らしき男が二人。

「何をしに行くんですか?」

男だと分かると声が震えてしまう。私の男性への緊張は全く収まらない。

「まぁまぁ、怯えないでよ」

「そそそ、飲みに行くだけだからさ」

肩に手を回してくる。馴れ馴れしいので振り払う。

「…暇ですし、構いませんよ」

挙動は不審だが、どうせ暇なのだ。遊びに行くというなら付いて行ってもいいだろう。

「よし!いいねぇ!」

「そんじゃあドライブと行きますか!」

「…?」

急にハイテンション。全くわけが分からない。マジカルマッシュルームでもキメているのだろうか。

「ささ、乗って乗って!」

馬車の中に招かれる。随分ボロい馬車だ。

 

走ること1時間。

「ここだよ、さ、出て」

「…何もありませんよ」

「何もなくたって男と女が一緒の所に居るんだぜ?」

嫌な予感。

「さ、始めようぜ!」

男の手が私の服に伸びる。

「…はぁ、発情した豚と同じですね」

とりあえず服に触れられる前に腕を蹴り上げる。

ゴキッと音がした。

「…ひ、ひぃぃぃぃ!」

「お、おい!大丈夫か!?」

曲がってはいけない方向に腕がぶらりと垂れている。

「あ、折るつもりは無かったんですけど」

「この野郎…いい女捕まえたと思えば…!」

腕を折られた方は悶絶してうずくまっている。

もう一人は使い慣れないようなナイフを振り回している。

「というか、私野郎じゃないですし」

「黙れ!俺はやっとDTを捨てられると思って舞い上がってたのによォ!」

阿呆らしい。

「こうなりゃ実力行使だ!」

じりじり近づいてくる。

あまりに下らないので、とりあえずナイフをへし折る。

「…え?」

「下衆ですね」

 

30分後

ウルスラが二人の馬車を分捕って帰って行った場所には、二人の血みどろの吸血鬼の瀕死体が落ちていましたとさ(全治四ヶ月)。

 

「やれやれ…」

下らないことに時間を費やしてしまった。

もう夕暮れ時になっている。

「…帰りますか」

ゆっくりと魔王城に向けて歩き出す。

そこで、鎧を着た人間に声をかけられた。

「失礼、そこのご婦人」

「…何ですか?」

「ここからハザラの街へはどのように行けばよいのでござるか?」

「今私が来た道を行けばたどり着きます」

「む、かたじけない」

その兵士はゆっくりとした足取りで去って行った。

なぜ人間がこんな片田舎へ?

まあ、気にするほどのことではないだろう。

 

「戻りました」

「お帰りなさいませ、メイド長」

「エメラル様とユーリィ様は?」

「そ、それが部屋からその…声が…」

「…わかりました」

メイド服に着替え、扉をノックする。

「もしもし?ユーリィ様?エメラル様?」

「んッ…ぁ…♡」

「まおっ…もう、むり…っ!」

少し強めにノックする。

「よろしいですか?」

「ユーリ…かわいいですぅ…」

「ぐッ!?首輪引っ張るな!」

扉を蹴る。

「もしもし!」

「あれ?イヌの言葉は何でしたっけ?」

「わ、わんっわんっ!」

ドアを開ける。

「よ・ろ・し・い・で・す・か?」

「そうそう、いい子にはなでなで…あ」

「うぅ、わん、わん…え?」

凍りつく空気。

ユーリィ様に足を舐めさせているらしきエメラル様。

首輪を付けられたユーリィ様。

床の謎の白いシミ。

いくつか玉の繋がったような形の(大人の)おもちゃ。

べちゃっと何かで濡れたエメラル様の下着。

「う、ウルスラ、まあ怒らないでください」

「俺が掃除するから、な?」

体が震える。

「お二人とも、とりあえず、お風呂に入って下着を洗ってきてくださいね?」

笑ったつもりだったが、それを見た二人は一目散に逃げて行った。

 

部屋を掃除していると、ベッドの下に小さな箱が。

「…?」

箱には「ウルスラへ」と書いてある。

 

その中には、新しいメイド服と薄い青色の服が入っていた。

「んふふ〜ウルスラ、どうですか?」

背後にエメラル様が。

「エメラル様、これは…」

「プレゼントです!私とユーリとで選んだんですよ」

「プレゼント?あ、ありがたいですけど」

「いつも迷惑ばっかりかけてますからね、掃除とかお料理とか、ありがとうございます」

にっこり笑ってお礼を言われる。

なぜか、自分でも理由が分からないのだが、その言葉に目が潤んでしまった。

「え!?なんで泣くんですか!?あ、あの!サイズ合わなかったですか?デザインですか?」

「い、いえ!ありがとうございます!大事に…使います…」

急いで部屋に持って帰る。

その日の掃除は、いつもより楽しかった。

 

「ふふふ…」

鏡台の前でくるくると回る。

ぴったりのその服は、色鮮やかな水色だ。

母の魔法を思い出す。

急のプレゼントも嬉しいものだ。出来たら仕事を減らしてくれた方がプレゼントになった気もするが。

 

その夜は、喘ぎ声もなく、ゆっくり眠れた。




もう400歳いってるのにナンパされるウルスラたん。
いいことあって良かったネ!
そしてヘイジとすれ違ったことに、今後何か関係は…?
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