ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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人間側からです。
ハルカとネミルはどんな作戦を練ったのでしょう?
ハルカ視点!


賢者の作戦

王立騎士演習場機密戦術室

 

そこにいるのは、私と、ネミルと、黒い装束で身体を隠した性別不明の者が4人。

忍び、殺すことに長けた選りすぐりの兵士だ。

勇者様の仲間であった私たち二人は、この暗殺部隊の監督を任せられた。

暗殺。

その言葉は、私のような賢者とはかけ離れているものであった。

 

私は勇者様と旅をする中で、次第に心惹かれていった。

勇者様への暗殺部隊の指揮。そんな恐ろしいことを引き受けたのには、理由がある。

王国からはっきりとは勇者様の暗殺の命令は受けていない。

つまり、勇者様を殺す必要は無いかもしれない。

 

私とネミルは話し合い、あることを決めた。

「私たちは、魔王の暗殺部隊であり、それと同時に勇者様の奪還部隊でもあります」

そのことを言った途端に、暗殺者たちがざわめいた。

「魔王の暗殺?我々はそのような訓練は受けていない」

「人間相手ならば殺そう、しかし、ハンターでない我々にどうして魔物を暗殺できよう」

ネミルが小突いてきた。

「ハルカ、やっぱりこうなるよ」

「ネミルも、皆さんも、これまで助けてもらった勇者様を殺すのに、抵抗が無いんですか?」

「与えられたならば仕事はする、そういう稼業だ」

「ふぇぇ…」

なんか一人暗殺者の中でやけに小柄で変な音を出した者がいた。

まあ、放っておこう。

「ですが、洗脳された可能性も否めないんですよ!」

「洗脳されていたとして、なんだ?魔王が勇者を取り返しに来た時の惨劇を忘れたか」

「…っ」

「ハルカ…」

150人を超える兵士や貴族が殺害された勇者裁判事件。

あんな血の海を見るのは、私もごめんだ。

「ですが、勇者様を殺せば私たちの希望は完全に無くなってしまうのですよ!」

「ふぇぇ…」

「どの道我々に希望などない」

冷たい声が響き、部屋に静寂が訪れる。

 

私は、最後の手段に出た。

王国からの委託書を広げてみせる。

「モチヅキ・ハルカとヴァン・ネミルは、王国よりあなたたちの監督と指揮を任せられた者です!異論は受け付けません!」

「ハルカ、そんな乱暴なこと…」

「勇者様のためなんです、勇者様の、ため」

私はもう限界だった。

 

勇者様は、恋を教えてくれた。

 

私たちが魔王に殺されそうな時に、割り込んでまで助けてくれた。

あの日、勇者様がいなくなってしまって、教会で泣くこともできないほど悲しくて、辛かった。

せめてこの気持ちだけ、それだけ伝えたならきっと、勇者様も振り向いてくれる。

目を覚ましてあげられる。

だから私は、こんなやり方を使わざるを得なかった。

「…いいだろう、ただし、そこまで言うならば我々としても喜んで命を懸けるといったわけにはいかない」

「分かっています、勇者様と会えたなら、あなたたちは解散しても構いません」

ネミルは驚いた様子で。

「ハルカ、そんなの…!」

「勇者様なら、私たちがどれだけ苦労したか伝えれば帰ってきてくれるはずです」

「よし、作戦を練るぞ」

「はい」

「ふぇぇ…」

 

こうして作られた作戦は、こうだ。

とてもシンプルではある。けれど失敗のリスクもない。

・魔王城の裏手から忍び込む

・1人は緊急事態を知らせる魔法道具の鈴を持ち、退路の確保をするために残る

・私たちは3:1:1に分かれて進む

・勇者様を見つけ次第私たちの3人グループに知らせる

・そこで説得、魔王がいれば話し合いを持ちかける

・作戦の失敗、あるいは命の危険があった場合には足抜けで脱出する

 

「それでは、作戦決行の日に再集合しよう」

「よろしくお願いします」

「ふぇぇ…」

「ハルカ、本当にやる気?」

「ネミルは勇者様を殺して構わないと言うのですか?」

「…違う、けど、やっぱり怖いよ」

「大丈夫、ネミルは死なせませんから」

もう誰も死なせはしない。

悪いのはあの魔王だ。勇者様を私たちから奪い、人々を絶望させた魔王。

今度は私が勇者になってみせる。

見ていてください。勇者様。




小柄な暗殺者って絶対あの人だよね…。
ハルカの覚悟も中々のものです。
勇者たちは無事でいられるのかな?
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