魔王城だけだと尺が足りないので…?
魔王デラルス・エメラルの見た食卓
「「「「「「いただきます」」」」」」
一斉に声をあげる。
食卓にいるのは、私、ウルスラ、マリン、母、クインちゃん、愛するユーリの六人。
いつもはエレナもいるのだけれど、今はまだ仕事中らしい。
そういえばいつまでクインちゃんはここにいるのだろうか…?店舗を見つけるまで、とか言ってたけど。
まあ、とりあえず食べよう。
「はーい♪ユーリィ君、あーんして、あーん♪」
「ちょ、ちょっとお義母さん…」
ユーリがお母さんにあーんされている。あんなケダモノに襲われる前に助けなければ!
「ほらほら♪あーん…ッ!」
「うわっ!え、エメ!?」
「ごめんなさい、手が滑ってフォークがすっぽ抜けてしまいました」
ユーリは女の子にすぐ付いて行ってしまうから、きちんと見ておかないと。
「思いっきり私の手を狙った気がするのだけど?」
「気のせいですよ?」
「ふーん?ならもう一度…」
「…」
次は目を狙う。が、止められた。
「お二人とも、今は食事中です」
「あら、私まで注意?」
「当たり前です、エメラル様をあまりからかわないでください」
さすがウルスラ。
「ふふふ、わかりましたか?お母さん、ユーリは私のものなんです」
「エメラル様も、簡単に乗せられ過ぎです」
「だ、だってユーリが鼻の下伸ばして…」
「あーん♪」
「喰らえッ!」
「やめてください!」
三人で睨み合う。
その他の二人は呑気な会話をしていた。
「ねえねえ、クインちゃん、ちょっとHなこととか興味ないかな?」
「ふぇ?べ、別にそういうのは…」
「まあまあ、今度私とお兄ちゃんと3人でシない?」
「ふぇぇ…押し切られそうですよぅ…」
「ね?ね?気持ちいいからさ」
3人…私も混ざりたい…というか独占したい…。
「エメラル様、涎が垂れています」
「あらあら♪ユーリィ君となにかするのを妄想でもしていたのかしらね♪」
「そ、そんなわけないです!」
「…ごちそうさま」
ユーリが食べ終えてしまった。
「ユーリ!私にあーんしてください!あーん!」
「いや、あのな、毎朝してあげてるし夜くらい…」
照れている。可愛い。
「口移しでも大歓迎ですから、早く!」
「…」
俯いてしまった。照れ隠しも可愛いユーリ!
結局食べ終えたのは、いただきますを言って2時間ほど後でしたとさ。
騎士ヘイジ・カドマツの見た食卓
今日はネミル殿とハルカ殿と食事会。
正直に言えばとても行きたくなかった。
最近の二人はとても不気味な雰囲気がある。おそらくは拙者に隠している暗殺作戦のことがあるからであろう。
そして案の定、空気は重い。
「…なんでこんなに黙ってるの?話そうよ!」
ネミル殿が話を振る。
「そ、そうでござるな、なら、なにか昔の話でも…」
「昔の話?勇者様の話ですか?」
「ヘイジ…あんたね…」
小声でネミル殿に呆れられる。確かに話題の選択は間違えたと拙者も思う。
「い、いや…やはり…」
「勇者様の好きなタイプとか、話さなかったんですか?」
ハルカ殿が尋ねてくる。
これが俗にいう「こいばな」だろう。
「そ、そうでござるな…こう、お姉さん的な立ち位置が好きだと言っていた気が…」
ネミル殿に足を軽く蹴られる。
しまった。
「…ふうん?なるほど?道理であの魔王に洗脳されてしまうわけですね」
かちゃかちゃと、食器の立てる音だけが響く。
「ヘイジさん、そういえばここ最近、ハザラの街の方へ行っているとか?」
まずい。
拙者が勇者殿と会っていることは、絶対に悟られてはいけない。
「まぁ…少し剣の新調を考えているのでござる」
「勇者様の情報とかは聞きませんか?」
「いや…何も聞いては…」
「わかりました、ごちそうさま」
ハルカ殿は食べ終え、杖の手入れを始めてしまった。
いっそ勇者殿が帰ってきてもらえば、このような雰囲気は味わずに済んだろうか。
辛い。
かちゃかちゃ、かちゃかちゃ。
その後の食事はほとんど会話も交わさず、とてもよろしくないムードでしたとさ。
お食事でした。
ヘイジかあいそう…。
そしてお義母さんと娘に取り合いされるって羨まし(ry。