ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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監禁された勇者。
痛い目に合わされるそうですが…?


勇者の覚醒(その3)

「私、あの女とは違って、性欲はそんなに強くはないけど、あなただったら、いくらでも食べられるよ」

何かを準備して、縛られた俺に声をかける。

 

何が起きているのか。

昨日ニコラに挑発と反抗しまくった結果、痛い目、とやらに遭わされるらしい。

「おい、やるならさっさとしろ」

「怒らないで、もう準備できたから」

ニコラがゆっくりと長身をこちらへ運んでくる。

手には注射器。

中には何かの液体がたっぷり入っている。

「…何だよ、それ」

「ん…、自白剤、みたいな、心を曝け出させるお薬、ちょっと魔力で改良した、けど」

自白剤。

その言葉に身体が震える。

「それを打ったって、俺はエメ一筋だぞ」

「何かを自白させるわけじゃない、あなたの深層に、私を刷り込むだけだから」

腕に針が刺さって、たっぷりと注射される。

「おやすみ」

「誰が…眠るか…」

 

しばらく後、俺の意識は段々と薄れる。

目の前がボヤけ、頭が痛くなる。

喉が乾く。

そんなことより、眠い。

いいや、怖い。

 

感情すらもよく分からなくなり、俺は、人形になった。

 

「ユーリィ?聞こえるかな?」

「…?なんだ、ニコラか、エメかと思った…」

魔王に会いたい。

意識はピンボケしたようなものだが、それでも魔王に会いたい、その気持ちは残っていた。

「…」

胸が蹴られる。

それも、息ができなくなるほどの強さで。

「ごぼッ…!げほっ、がはッ!」

「あの女の名前を、出すな、わかった?」

「ニコラの言うことを聞く必要がどこに…」

顔を殴られる。

これもかなりの強さで。

「ぐっ…!?」

「あなたの名前は?」

「ゆ、ユーリィ・グレイ、昔は勇者って言われてたけど、今はエメの夫で」

首を絞められる。

「学習、しないね…?」

「かッ…はっ…ぐ、るし…イっ…」

このままでは死ぬ。

が、俺の意思に反して、体は鉛のようだ。

「…あなたの、想い人を聞かれたなら、エメとは答えないと誓えるかな?」

「わッ、が…った…からっ…!」

手が離される。

「よしよし、よく言えました」

頭をなでられた。俺はいいことをしたのか?

「私もね、こんなことしたくないの」

「…じゃあ、しなきゃいいだろ」

「生意気だね…でも、それでもあの女のことを言わなくなれば、私はそれで満足できる、今のところは」

「…ニコラ、悪いけど、エメのことは忘れない」

つい、口が滑った。

さっき誓ったのは嘘だ。こう言わなければ殺されてしまうから。

だから俺は、魔王のことを心にいつも留めようと、ただ思っていただけなのに、自白剤のせいだ。

「あのね、あなた、まだ私が何を望んでいるか分からないかな?」

余計なことは言わない。

そう思っているのに。

「エメのこと、忘れろってんだろ?できるわけない」

その言葉に、ニコラは。

「…チッ」

心底憎々しそうに、舌打ちした。

 

そして、次に気づいた時。

俺はただひたすら謝っていた。

「ごめんなさい…殴らないでください…もう言いません…」

「…ホントにわかってるのかな?」

体がズキズキ痛む。

殴られ、蹴られしたのだろう。

「もう、彼女の話はしません…お願いします」

怖い。

さっきまであんなに反抗していたのに、それが俺の中で打って変わって、恐怖に変わった。

そして、抱きしめられる。

柔らかい胸に顔を埋める。

「それでこそ、あなた、あなたには私しか救いはいないよ?外に出られない、ここであなたが私を拒絶したら、傷が増えるだけだよ?わかった?」

「ごめんなさい…これからはニコラだけを見てます…」

こんなの嘘だ。

けれど、口に出ない。

出せない。

自白剤が切れたのか。

それとも、もしも、本当に心を屈服させられてしまったなら。

もしそうなら、どうやって生きていけばいい?

「あなたには、私しかいない、私を頼れば、どんな物でもプレゼントしてあげるから」

蕩けた顔で、唇が近づく。

キスを求められる。

 

それが拒絶できない。

そして、その日、初めて俺はニコラとキスをした。

不思議と、安心感が湧いていた。

「いい子…」

 

何回も唇を甘噛みされ、ベッドの上で、もつれる男女。

先ほどからキスしかしていない。

けれど、気持ちがいい。

ニコラがキスを求めるたび、俺は使命感にかられる。

恐怖からか、それとも…?

「私だけ、ずっと頼ればいいんだよ…?愛を、無限の愛を君にあげるからさ…」




洗脳…。
魔王早く助けに来ないと、廃人になってしまう…(廃人にするつもりないけど)。
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