「…エメ」
横たわった俺を覗き込む目に、そう声をかける。
「ユーリ…よかった…!」
抱き寄せられる。
体に傷はないのか、それほど痛くはない。
「ごめんなさい…ユーリにこんな無理させて…守ってあげられなくて…!」
震えている魔王を撫でる。
「こっちこそ、ごめんな、心配かけさせちゃって」
と、自分の体を見ると、なんか赤い跡が無数にある。
「…殴られたところか?」
服の下にもある。
唇の形。
「エメ、このキスマーk」
「立てますか?お城に帰ってきたんですから、ゆっくり休んでくださいね?」
「休むっていうかキスm」
「休んでくださいね?」
ベッドに押し倒される。
まあ、襲われることもないだろう。
日々の疲れを癒すいいチャンスだ。
「はぁはぁ、ユーリかわいいです私を助けてくれた凛々しい顔とふにゃっとした顔があいまってもう我慢できないシましょうか」
「あのな…まだ病み上がりだからッ!服脱がすな!」
ベッドの上で二人で暴れる。
馬乗りになって服を脱がせてくる魔王は、目が完璧に獣のそれになっている。
「ユーリ、今日こそあの腐れサンタの跡を一つ残らず奪って取り戻しますからね!」
そこに、クインちゃんが入ってきた。
「おふたりさーん、魔力解析の結果…が…出まし…」
顔を真っ赤にして倒れてしまった。
「ノックくらいすべきです!」
「ふぇぇ…」
魔王が、目を覚ましたクインちゃんに説教している。
「まあまあ、いいじゃないか、な?」
「全く…ユーリはそうやって女の子に優しくするからあんなヤンデレに捕まるんです…」
「え?エメがそれ言う?」
「おふたりとも!私の話を聞いてくださいー!」
魔王がこちらに手を出そうとしたとき、クインちゃんがナイスタイミングな発言。
「う、うん、なんだ?」
「…あとで、じっくりお話しましょうね、ユーリ♡」
クインちゃんは、最初にこう告げた。
「ユーリィさんは、人からかなり乖離した存在になりつつあるのですよ」
「人から乖離?でも、俺は」
「確かに、この前神様に攫われるまでは人間の中でも優れた魔力を持つただの人にすぎませんでした」
「ユーリ、あの女に何かされたんですか?」
「特に、魔力をいじられはしなかったけど…」
「ユーリィさん、あなたは勇者の力を覚醒させて、神様をその体の内に飲み込んだんです」
「…あ、確かに、ニコラが俺の体の中に溶けたのは見たけど」
「え!?い、いいなぁ、私もユーリと一心同体…くふふ、うふふふふふふ」
よだれを垂らす魔王からクインちゃんは少し離れ。
「あなたは、神様の力を手に入れてしまいました」
「…まずいことなのか?」
「実際、神様を人の体に取り込もうとした人間はこれまでにいっぱいいるのです」
「結果は?」
「ことごとく失敗、思うに、人間にも魔族にも、生きとし生けるものには全て力のキャパシティがあるのです」
「受け入れる力に限界があるのか?」
「そうです、だから大抵のチャレンジャーは1000分の1も神様を取り込まない内に、発狂して死んでしまうんです」
正気に戻った魔王が声をあげる。
「でも、ユーリが取り込んだとして、ユーリだって人間ですよね?それがどうして」
「要は、素質なのです、ユーリィさんは勇者の力を未だ大量に体内に宿している、この前はおそらくそれを使って、自分の体に合うように時の魔力をニコラさんごと改造したのです」
「改造って…」
「なんでそんなことを?勇者の力なら、あの女もすぐに倒せたのではないですか?」
「でしょうね、ただ、ユーリィさんはそれを望まなかった」
「ユーリは優しすぎるんですよ、だいたいあんな頭がおかしいヤンデレ女、倒さずに捕らえようとするなんて」
くどくどお説教が始まる。
「違いますよ、それは」
クインちゃんがにっこり笑う。
「違う?」
「きっと…助けたいって思いが、勇者様の力を留めてくれたんでしょうね」
「なんでそんなこと…」
魔王は言い返そうと思ったようだが、すぐに口をつぐんだ。
クインちゃんは、昔、俺よりずっと前代の勇者のパーティの一人だったのだ。
「そういうことです、あまり使い過ぎないように、神様に目を付けられると厄介ですからね」
「神様?」
「あのサンタさんは、全能神に力を与えられたただの下っ端に過ぎません、もしかすると、神様に喧嘩を売りすぎると全能神に怒られるかもですからねー」
たたたーと走っていってしまった。
魔王に頭を撫でられる。
「ユーリ、今度こそ守りますから、もっともっと強くなって、神様でも何でも吹き飛ばせるくらいの魔王になってみせます」
「…ありがと、期待してる」
二人で、しばらく寄り添っていた。
が、何かを思い出した魔王。
「そういえば、さっき私がヤンデレとか言いました?」
「い、いや、だって本当だろ!一日中Hするとか普通じゃないし!」
「愛する人と繋がっていたいものです!さ、今からシましょうか!」
「おい待て!撤回する!魔王は可愛い超常識的な奥さんです!」
「なら一日くらいは大丈夫ですよねっ♡」
力があってもなくても、日常は変わらないようだ。
クリスマス編おしまいです。
さて、次回から何を書くかはっきり言えばネタ切れなので、何かリクエスト等お待ちしております。こんなキャラが好き、とかこんなシチュがいい、とか。
これまでリクエストしてくださった方も、この機会にまとめなおすので、お手数ですがもう一度教えてくださいー。
もしかすると採用されないかもしれないので、あしからず。