ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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あけましておめでとうございます!
今年もパ〜ム油をよろしくお願いします。

次第に勇者に心惹かれるアシンたん。
ピクニックに出かけますが…。


勇者の留守番(その3)

「んん…あったかい」

朝目を覚ますと、アシンさんに抱きつかれている。

「朝ですよ、起きてください」

「家主は…私」

「ダメです」

無理やりひっぺがす。体の柔らかかったりの主張がいろんな意味で辛い。

「ねえ…今日から予定あったりする?」

「え?いや、特に予定といった予定はないですけど」

少し笑ったような気がした。

「じゃあ…ずっと一緒」

ぴったりくっついてくる。

「あの、お仕事ないんですか?」

「私はたくさんの下っ端を束ねてる…魂の運搬とかちまちました仕事は他の子に任せてる」

「ちまちまって、大切な仕事でしょう?サボって何するつもりなんですか」

「もうすぐ近くの火山が噴火すると思う…お散歩行かない?」

前後の文が全く繋がらない。

「噴火って、まずいでしょう」

「平気…ついてきて」

いきなり服を脱ぎ出す。

「ぶっ!?着替えるなら言ってください!」

「ふーん…意識するんだ?」

「ぜ、全然」

「見てても…いいよ」

なんかたゆんたゆん揺れている。

いやいや、ここは見ないのが紳士な勇者の対応だ。

「ねえ…ホック止めて」

背中を向けてブラのホックを見せてきている。

「そ、そんなの一人でやってください!」

「エメちゃんに…襲われたって言う」

「言わないで!完全に嘘だし!」

「君は色々…細かいなあ」

 

ガラルド火山

「いい眺め…どしたの?」

「いい眺めですけど!危険ですよ!隣の山がぐつぐつ言ってるじゃないですか!」

家の裏手の火山を登ったはいいものの、頂上に着くとなんか暑いし隣の火山は噴火しそうだし、地響き聞こえるし。

「か、帰りましょう?ね?」

「平気…今まで巻き込まれたことない」

自慢気に語っている。

「あのですね、そもそも灰とか降ったら」

「あ…見て」

ドン!と大きな音がして、噴煙が出ているのが見える。

「噴火しちゃったじゃないですか!避難です避難」

「うーん…山が少しおかしい?」

ぼーっとマグマを眺めている。

もこもこ立ち上る噴煙から灰が降り出すまでにもうあまり時間はないだろう。

「俺は先に帰ります!」

「待って…急がないと危ないかも」

ドッ!と石が山肌に突き刺さる音が響く。わずか数m先、噴煙で飛ばされた石が飛んできたのだろう。

「あ…急ごう」

「だから言ったでしょ!」

アシンさんの手を掴み、ひたすらに走る。

 

「待って…足が痛い」

「悠長なこと言わないでください」

「そっちは…危険」

「近道でしょう!滑り降りますよ!」

骨と灰と砂利で敷き詰められた山道を見下ろす。

「ここ…危ないよ」

「でも、これ以外方法がないです」

「ダメだよ…あなたに怪我はさせられない」

「しょっちゅう怪我はしてます、俺が前に抱きかかえますから、しっかり掴まって」

しかし、俺の話は冷たいトーンの言葉で遮られた。

「ダメ…許さない」

「許すとか許さないじゃなくて、そうしないと二人ともここで死ぬんですよ!」

アシンさんも一歩も譲らない。

「君はエメちゃんから私に預けられたの…それに、それにあなたは殺させない」

「どうやって…!」

その時、後ろから石が飛んできた。

ゆっくりと振り返る。

波。

横に広い土石流が、圧倒的なスピードで落ちてきている。

「こんなの…見たことない」

俺の手を握る力が強くなる。手も少し震えているようだ。

「…ごめんなさい、後で、なんでもしますから」

「え…何言ってるの?」

固まったアシンさんを、お尻から地面に付くように突き飛ばす。

「待ってよ…君は!?」

初めて彼女の叫ぶ声を聞いた。

大きく息を吸う。

「頼むぞ、勇者の魔力とやら」

あの緑色の魔力なら、時を止めるなり、土砂を吹き飛ばすなりできるはずだ。

力を込める。

 

周囲の空気が緑色に光る。

 

「止まった…!」

土石流が止まった。

こちらに向かって猛突進してきていた土石流は、うねったままピタリと止まっている。

 

が、10秒くらいで動き出してしまった。

 

「聞いてないぞニコラ!?」

 

迫る土石流。

俺は、それを前に、ほぼ何もできなかった。

 

意識はそこで途切れる。

 

 

アシンの日記

 

今日は私のせいでユーリ君を傷つけてしまった。

指輪に連絡してきたエメちゃんにも眠っていると嘘を付いてしまった。

私は何をしているのだろう。

今日、二人も騙して、傷を付けてしまった。

ごめんなさい。

ユーリ君の体は傷だらけ。

動けず、眠っている彼が愛おしくなって、つい血を舐めてしまった。

美味しかった。

肌も、血も、魂も美味しそうに見える。

殺しはしない。

彼の生き生きした体が、言葉が、私は好きになってしまった。

エメちゃんはずるい。

こんな彼を独り占めしている。

私のものにしたい。

私だけのものになれば、彼は魂が抜けることなく、いつまでも生きていられる。

彼もきっと喜ぶだろう。

言ってたよね。

人生を楽しむべきだって。

可愛いあなたを手に入れる。

それが私の人生。

誰にも口出しはさせない。

 

ごめんね、エメちゃん。

帰ってきたら、きちんと話し合おう。




ついにヤンデレ覚醒…。
友情と恋と魂が交われば、危なくなるのは必然…?

やっぱり年明け特別編とか書いた方がいいのかな…。
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