ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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勇者は土石流に巻き込まれ、怪我を負います。
それを見たアシンは…?


勇者の留守番(その4)

「いてて…アシンさん…?」

目を覚ますと、アシンさんがベッドの隣の床で寝ている。

目元に涙の跡。

俺のせいで泣いてしまったのだろうか。

「…ごめんなさい」

痛む体を動かしてベッドから降りて、アシンさんをベッドに抱え上げる。

「おはようユーリ君…目、覚めたんだ」

「起こしちゃいました?ごめんなさ」

謝罪し終える前に、抱きつかれる。

今までよりも、もっと強く。

「痛っ!」

「ごめんなさい…本当にごめんなさい」

そのままベッドに引きずり込まれる。

傷口が痛む。

顔に胸が当たって気持ちいい。

いやいや、何を考えてるんだ俺。

「アシンさんのせいじゃないですよ、あの時無理やり坂を降りてたらこんなことには…」

「いいえ…連れて行ったのは私」

「まあ、確かにそうですけど、俺を喜ばせようとしてくれてたんでしょう?なら、謝ることじゃないです」

笑いかけると、ぐっと胸を押さえている。

「う…その笑顔はずるい」

「とりあえず、もう動けますし、家事とか手伝います」

「ダメ…寝ておいて」

「でも」

「お願い…エメちゃんに合わせる顔がないよ」

どうも俺は、女の子の懇願に弱いようだ。

 

「ご飯…栄養たっぷりにしたから」

美味しそうに頬張るアシンさん。

やはり皿もフォークも一つらしい。

「なんかいつもより多めですね」

するとフォークを口の中でもごもごして、ご飯を刺して俺に近づけてきた。

「ん…はい、あーん」

「今舐めませんでした?」

「乙女に…そういう冗談はよくない」

完全に舐めたように見えた。フォーク光ってるし。

が、ここまで言うなら本当に舐めていないのだろう。

気を悪くされると困るのでおとなしく食べる。

「あーん、あの、これ必要ですか?」

「うん…今日から交互に食べようね」

「傷が治ればいつも通りでいいです」

結局交互に食べさせられた。

気のせいか毎回フォークがぬるぬるしてた。

まあ、いつもあんな感じか。

 

「怪我してるから…体、濡れタオルで拭く」

「それは分かります、分かるんですけど」

腕、首、顔、と濡れタオルで拭いてもらう。

「なんでアシンさんまで下着姿なんですか!?」

アシンさんはショーツとブラだけ着て俺の体を拭いている。

まずい。こんなの続けられたら色々とまずい。

「私も…これ終わったらシャワー入る」

「服着てください!面倒かもしれませんけど!」

「え…面倒なら脱げ?」

「言ってません!痛っ!」

ブラを取ろうとするアシンさんを止めたら、めちゃ痛かった。

「あ…ごめん」

「はぁ…」

胸、脇腹、腰、ぬるいタオルが気持ちいい。

「ズボン…下ろす」

「うう、お願いします」

恥ずかしいことこの上ないが、足も拭いてもらわないといけない。

パンツ一丁をアシンさんに見られるとか、イジられること必須でしかないだろう。

「ついでに…下着も」

「大丈夫です!」

下着に手をかけるアシンさんを懸命に引き剥がす。

「臭ってきたら…どうするの?」

「う…それは…」

「現に今も臭う…かも」

パンツを嗅いでいる。

怪我だらけの男のパンツを嗅ぐ女性。

絵面的に変態以外の何者でもない。

「こら!」

頭を小突く。

「痛い…ぐすっ」

涙目だ。まずい。

泣かれたら面倒くさいであろうことは容易にわかる。

「まあまあ、少し恥ずかしくて…」

「ううう…隙あり」

パンツが一気に下ろされる。

「こらァァァ!」

「おお…ちょっと大きくて可愛い」

触ろうとするのを必死に止め、痛いのを我慢して風呂場にタオルと一緒に放り込んだ。

気のせいか出てくるのが遅かった。

タオルを洗うのに手間取ったのか。

 

「ユーリ?昨日は寝てたみたいですね」

「ああ、ごめんな、エメが心配でおととい寝不足だったんだ」

アシンさんに頼まれて、俺が土石流に呑まれたことは秘密にしておくことにした。

魔王なら帰ってくるなんて言いだしかねないので、こう伝えておいた方がいいだろう。

「ユーリ…!私もユーリと会いたいです…」

「今どの辺だ?」

「神世界に着きました、明後日には神の国に着くはずです」

「そうか…気をつけてな」

「ええ!そちらも!アシちゃんに気をつけて!」

「エメちゃん…帰ってきたらお話しようね」

「ふふふ、怒らないでください、アシちゃん」

「エメラル様、お食事ができました」

「それじゃ!おやすみなさい!」

「ああ、怪我ないようにな」

 

ベッドで、なぜかいつも以上に近い。

なんだかんだ心配してくれているのだろうか。

「…ここまでしてもらって、ごめんなさい」

「気にしなくて…いい、なんなら、いつまでもここにいたっていいんだよ?」

「あはは、勘弁してください」

笑ってごまかしたつもりだったが、なぜか頰をつねられた。

「痛っ!」

「勘弁…どういう意味?」

覗き込んでくる目は笑っていない。

「ご、ごめんなさい、冗談です、いいお家だし、アシンさんも魅力的だと思います」

「ふーん…じゃあ、一生居ていいよ」

「考えておきます」

キレるポイントが謎だ。

この殺風景なインテリアがこだわりだったりするのだろうか。

何にせよ、怒らせてしまって悪いことをした。

 

 

アシンの日記

 

ユーリ君が目を覚ました。

怪我をしている彼は私を頼ってくれてとても可愛い。

彼は、昨晩キスしたのに気づいていないみたい。

今日はご飯で唾液を交換した。

お風呂代わりの身体拭きで彼の大切なものを見れた。

しかも匂いも嗅いだ。

汗のいい匂いだった。

でも、エメちゃんと話してる彼は嫌だった。楽しそうに夫婦の会話に興じていて、目の前の私を見てくれない。

今日は寝ている間に唾液を飲ませてあげた。

大切なところも、きちんと拭いてあげた。

ちょっと触りすぎたかな。

起きなくてよかった。

彼が好き。

エメちゃんには申し訳ないけど、もう少しだけ、彼の体と心を私に楽しませてほしい。

終わったら返す。

エメちゃんが帰ってきたら、返さないと。

可愛い私のユーリ君を。




積極的になってきたアシンたん。
積もった想いはいつ爆発してしまうのだろうか…。
勇者の鈍感さもまあ、酷いものですが。
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