ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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インフルエンザを3日で治すバカチャレンジをしておりまして、投稿遅れました(´・ω・`)(意味不明。


勇者の留守番(その8)

昔、私はそこにいた。

確かにそこにいたのだ。

 

魔王の、娘として。

 

「おいおい!デラルス!俺とデート行こうぜ!」

「…断る」

「あのな、武闘神の息子の俺にデート誘われて断るやつなんざお前くらいのもんだぜ?」

「知らない、あんたは好みじゃない」

「おまけにさ、お前は神でもなんでもない、ただの魔王ってぇポストだろ?許嫁いたって、俺とくっつくのが得だろうに」

「…」

 

男はいらなかった。

父はいない。

母の愛を受け取らず、逃げた。

だから信用できない。

きっとどこかで、野垂れ死にしたのだろう。

 

ずっとそう思っていた。

 

でも。

 

出会ってしまった。

 

ユーリと。

 

 

 

昔、私はそこにいた。

確かにそこにいたのだ。

 

死神の、後継者として。

 

「よいか…アシンよ…」

「師匠…具合は?」

「遺言、だ、心して聞け」

「師匠…わかりました」

「死神たるもの、いつ如何なる時も仕事に躊躇うな、死神として恥じぬ生き方をしろ、そして、同じ神族達を、友を、恋人を、裏切るな、何千年と生きる孤独を、一人で受け止めはできないのだから」

「はい…ですが、師匠はまだ…!」

「アシン、お前にとっての初仕事だ、私の魂を、アシン…そ、その…手で…たの…む…」

 

私は生物の命を奪う神。

愛し合う者ができたとして、一緒にいられる時間など一生の長さから見れば無きに等しい。

相手が神族ならば、共に過ごせる。

しかし、神の中でも異端の死神に、誰も見向きはしなかった。

神族会議にも顔を出さず、出す必要すら告げられず、私はずっと一人で生きた。

淡々と仕事をこなし、淡々とした毎日を送る。

 

ずっとそう思っていた。

 

でも。

 

出会ってしまった。

 

ユーリ君と。

 

 

 

「二人とも、やめてくれ!」

俺はそう叫んだ。

けれど、二人は止まらない。

「死神としてじゃない、一人の女として…エメちゃん、あなたに負けたくない!」

「人の旦那を寝取るところを止めたら逆ギレですか!?くだらないにも程がある!力は問題じゃない!想う力が、いつも私たちを守っているのです!アシちゃん!」

 

魔王は、渾身の力で魔力球を作り出している。

離れた場所にいる俺のところにも、ぴりぴりした空気が伝わるほどに高濃度の魔力球だ。

 

アシンさんは、鎌を赤く光らせて構えている。

モヤが出ているところをみると、鎌に溜めた魔力を振り抜いて魔王に当てるつもりだろう。

 

俺には、何もできない。

言葉は通じず、一方を押さえつけたなら、制御を失った力は俺たちを襲う。

 

ここからできる行動は一つだけ。

 

時を止める。

 

幸い、彼女達の攻撃は全て手の中で制御されている。

発射直前、全てを押し出す瞬間に魔力を空回りさせるなり吸収なりできれば、激突を避けられるだろう。

 

「いきますよ…」

「死んでも…蘇りはしないからね」

 

二人が、とても悲しい、凶悪な笑みを浮かべた。

 

そして、次の瞬間に緑色の魔力が世界を覆った。

 

即ち。

 

時が止まった。

 

「タイミングよし…!」

彼女達はこの一撃に全てを賭けるはずだ。

お互いが、お互いに対して殺すことを躊躇う様子が見て取れた。

これを凌げばよい。

 

まず、魔王を右に30度ほどずらす。

うまく魔力球ごとずれた。

 

次に、アシンさんを右に30度ほどずらす。

うまく鎌ごとずれた。

 

これなら、どちらにも当たることなく吹き飛ぶだろう。

周囲に人はいない。

素晴らしいアイディアだ。

 

緑色の魔力が薄まる。

 

次の瞬間。

俺は、二つの魔力の渦に飲まれ、錐揉み回転して宙を舞ったのだった。

魔王とアシンさんは、あらぬ方向へ飛んで行く魔力波と魔力球を眺め、十数m上空に高速回転して吹き飛ばされた俺を見て、見つめ合い、笑った。

 

何はともあれ。

 

俺のパーフェクトな策によって、二人は仲直りした。

 

しかし、俺は知らなかった。

 

俺の看病争奪戦により、さらにいくつか山が消えてしまうことを。




仲直り!

次回で死神編は締めます。
そして、if的なのを書いて、ネタ切れです。
リクエスト大募集!
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