ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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勇者と周辺の山以外は無事に仲直り!


勇者の留守番(その後)

ガールズトークというのは、いろんな種類がある。

俺の目の前の女の子達は微笑ましい、昔話というガールズトーク(?)をしていて、とても魔王と死神には見えない。

楽しそうだなあ。

もっと近くで聞きたいなあ。

 

待てよ?

俺、なんで加われないんだ。

昔話には入れなくても、せめてもう少しまともな体勢で聞きたいものだ。

 

「エメ!アシンさん!」

 

そう呼ぶと、二人とも1秒かからないくらいのスピードで飛んできた。

「なんですか?ユーリ!ムラムラしてきましたか!?」

「私もしたいな…一応泊めてあげたし」

「は?まだ懲りてないんですか?ババァ死神」

「クソガキ…魂刈り取るよ?」

「いいでしょう、外で決着つk」

帰りたい。

「二人とも!」

大きな声で言うと、少しは反省したのだろう。

「お、怒らないでください…」

「うん…ごめんね」

「そろそろ帰ろう、頭も痛くなくなった」

ぱぁっと顔が輝く魔王。

目を見開いて固まるアシンさん。

「やった!帰りましょう!こんな狭いところ嫌ですよね!しかも死神の血の匂いの付いたベッドより広いベッドで愛し合った方がずっと気持ちいi」

「や…やだ!」

アシンさんが珍しく声を荒らげる。

「アシンさん、でも一応俺はエメの旦那で…」

「で、でも…私まだ君のこと好きで…」

「ふん、少しの時間愛人になれただけよかったと思ったらどうですか?」

アシンさんにはかなり毒舌になる魔王。

昔からこんな感じなのだろうか。

「アシンさん、また来ますから、ね?」

頭を撫でる。

魔王ならチョロ…純粋だから、これでどうにかなるが、アシンさんはどうだろう?

「また来るって…いつ?教えて?」

淀んだ目で服を掴んでくる。

「え、えーと…」

「嘘だって言ったら…首落とす」

怖い。

「ユーリから手を離してください!」

魔王が割って入る。

「エメちゃん…先に出逢ったくらいで威張らないで」

「ユーリは私のものなんですから、アシちゃんにこの後会わせる義理はありません」

「そうやって独占しようとするの…異常」

うん、確かに魔王の独占は異常だ。

でもね。

アンタもだよ?アシンさん。

「独占じゃありません!ね?ユーリ?」

こっちを見てくる。

「…あのさ、提案があるんだ」

「Hしたいですか?」

「一緒に…いてくれるの?」

この言葉を言うのは、二人の喧嘩に割って入る時より勇気がいることだった。

「月に…いや、年に一回でもいい、アシンさんに一日だけ会いに行く、これじゃダメか?」

 

 

帰りの馬車

 

馬車の中では、魔王が俺にぴったりくっついて、しかしただ温もりをお互いに感じるだけの接触で、俺と手を繋いでいた。

「ユーリ、あそこ、どうでした?」

「あそこ?」

「アシちゃんと暮らした日々ですよ」

「…疲れたなぁ」

そう返すと、魔王はじっと黙り込んだ。

「エメ?」

「なんで、あんなことを言ったんですか?」

 

冷たい声だった。

あんなこと。

 

一年に一回だけ、アシンさんに会いに行く。

 

俺はアシンさんと過ごし、彼女が俺に求めるものを感じた。

 

彼女は孤独だった。

 

ずっと、ずっとあんな所で一人だったのだ、無理もない。

 

俺は彼女を救ってあげたかった。

でも、無理だ。

魔王と結婚していて、魔王もアシンさんのことを知らせても動きはしないだろう。

そして、アシンさんもきっと他の男の人を受け入れられない。

彼女の男嫌い、いや、側に人を置くことを嫌う性質は日記から子供時代からのものだとわかった。

 

俺しか、できないのだ。

 

仮にも勇者。

救ってみせる。

 

「なんでって…それはアシンさんが」

「彼女は孤独ですよ」

魔王が冷たい調子のまま、言った。

「…なら、なおさら救ってあげるべきだろ」

「ユーリでなくてはいけないのですか?」

「…ああ」

「なぜ?」

「アシンさんは一緒に過ごした俺に、二人で居てほしいって求めてきたんだ」

「でも他の男でだっていいでしょう?相談してくれたなら、あんなことを言わせずに済みました」

「他の男を斡旋する気だったのか?」

「ええ、仮にも神ですからね、魔族なら誰でも喜んで婿に行くでしょうし」

薄く笑う魔王。

 

俺は、彼女に言いようのない怒りを覚えた。

 

「本気でそんなこと言ってるのか?」

「ええ、どうせユーリを奪おうとした時点で、アシちゃんなんてどうだっていいんです」

「エメ、昔から一緒にいて分からないのか?」

「分からない?」

「アシンさんが男を、友達を、あまり好んで持っていなかったことだよ」

 

「アシちゃんは、私の友達なんかじゃありません」

 

馬車が揺れた。

 

「エメ…お前ッ…!」

思わず胸ぐらを掴んでしまった。

しかし、エメは抵抗しない。

すると、打って変わって優しげな顔になって、言った。

 

「ただ一人の、親友ですよ」

 

「…」

手を離し、顔を伏せる。

 

最後まで聞くこともせず、もったいぶった言い方をされたとはいえ、エメに手をあげた。

最低だ。

 

「それでこそ、ユーリです」

そう言った彼女は、俺が顔をあげた時には外を見ていた。

 

満足気で、幸せそうな、俺の大好きな顔で。

 

 

アシンの日記

 

ユーリ君とお別れ。

でも、悲しくない。

ユーリ君は私に、いっぱい思い出をくれた。

ありがとう。

この思い出があれば、ユーリ君にたとえ会えなくても、誰も側に来なくても、私は生きていける。

エメちゃんは、お別れの前に、私に言ってくれた。

 

寂しくなったら、いつでも私たちを呼んでください。

 

だって。

昔から優しい。

それに、一番のニュース。

ユーリ君が月に一回、私のお家に来てくれる。

私は幸せ者。

友達も、愛する人もできた。

もう一人じゃない。

ありがとう。

本当に、ありがとう。




ハッピーエンド!
死神編はこれで終わり。
無理やりで、少し雑な所もあったかもしれませんが、喜んでいただけたでしょうか。

アシンたんもこれからたまに出てくるかも?
次回からはifルートを書いてみます!
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