基本的にはBADENDしか存在しないifルート。
「ユーリ君、日記を見た君が…悪いんだよ?」
黒い鎖を胸に付けられ、ぐったりとしている俺の額をアシンさんが撫でる。
アシンさんに監禁されて何日が経っただろう。
逃げることなどできない。
アシンさんは、繋がれている俺を見て安心した顔をしてはいるが、まだ不満気だ。
「アシンさん、今ならエメには言いません、だからここから解放してください」
「ダメだよ…あの日記を見て君も私に幻滅したでしょう?」
アシンさんは優しい。
優しすぎるが故に、自分の恋と友情との板挟みに遭っているのだろう。
机の上の指輪が、ちかちかと光る。
「…エメだ!」
しかし、鎖のせいで机に近づけない。
「アシンさん!」
「君は…エメちゃんと連絡取る気なの?」
「当たり前です!それに俺から応答が無ければ、すぐに怪しまれますよ!」
なんとか説得を試みる。
しかし、無駄だった。
「嫌だ…そんなの」
「とにかく指輪を」
「君は私のものになった…誰にも邪魔させない!」
その時のアシンさんは、とても落ち着いているようには見えなかった。
「アシンさん!」
指輪の光が消えた。
そして声が流れ出す。
「ユーリ?寝てしまったのですか?もう少しでそちらに着きますから、帰る支度をお願いしますね?あ、あと持って行ったユーリのパンツより、ユーリの生のが欲しいです…」
そして声はぷつり、と消えた。
「アシンさん!」
アシンさんは、笑っていた。
不安定に、何かを迷い過ぎて、周りが見えなくなった人の目だった。
「ユーリ君…ごめんね」
「え?」
「私は死神だから…手加減もできないかもしれない」
アシンさんは鎌を持ち、帽子をかぶり、黒い上着を羽織った。
「手加減って…エメと戦う気ですか!?」
「仕方ないよ…そう、仕方ないの」
自分に言い聞かせるように彼女は呟き、俺の頭を撫でた。
「じゃあ…行ってきます」
「アシンさ…!」
彼女は振り返らなかった。
「あ、アシちゃん!ただいま」
「おかえりなさい…エメちゃん」
「今からお仕事ですか?それと、ユーリは家にいますよね?」
「あのさ…もう少しくらい、ユーリ君はうちに預けておかない?」
「…?すみません、どういうことですか?」
空気が帯電したようにぴりぴりとする。
「そのままだよ…ユーリ君は渡せない」
「初めての冗談にしては、下手過ぎません?」
死神は鎌を振りかぶる。
魔王は飛びのいて距離を取る。
「本気なんですか!?アシちゃん!?」
「エメちゃん…ごめんね」
そして、分の悪すぎる攻防が始まった。
地響きが家を揺らす。
「うお…?なんだ?」
しかし動けない。
鎖を外そうと、幾度となくチャレンジした。
色々な波数の魔力を流す。
ありったけの魔力でシステムを壊す。
時を止めてダメージを与え、動き出した時に一気に衝撃が押し寄せるようにする。
とにかく引っ張る。
しかし、どれもこれも無駄だ。
「エメ…!」
と、扉が開いた。
「ユーリ君…ただいま」
彼女は人を担いでいた。
俺の嫁を。
「エメ!」
「平気…死んでないから」
エメをベッドに置く。
まるで眠っているようだった。
「死んでない?エメをどうするんです?」
アシンさんは笑った。
「今日から…三人で暮らすの」
「え?」
「エメちゃんは、さっきの戦いで…神に刃向かうことがどれだけ馬鹿馬鹿しいか分かったと思う」
「…でも!」
「ユーリ…」
か細い声が聞こえる。
魔王だ。
「エメ!」
「ユーリ…負けてしまいました…」
「いいんだ!生きていたら、それだけで!」
「だから、今日からは三人の生活になってしまいます」
「大丈夫、俺がそばにいるから…」
「…はい」
「さて…ご飯にしよっか」
こうして俺たちの生活は始まった。
けれど、魔王はアシンさんに怯えていた。
どれだけの力を見せつけられたのか、それはわからない。
ただ、俺は三人で暮らせるだけで幸せだ。
たとえ、魔王が前ほど俺を求めてこなかったとしても。
たとえ…魔王から避けられるとしても。
深夜3時
「エメちゃん…今日、彼に何回触った?」
「…8回」
「嘘はダメ…12回でしょ?」
「…」
「じゃあ嘘つきボーナス10回で…22回殺すね?」
「殺して蘇らせて…こんなことに何の意味があるんですか?私たちは友達だったのに…こんな…苦痛を…!」
「苦しいからやるんだよ、エメちゃん」
「ユーリ…助けて…」
「無駄だよ?ユーリ君はエメちゃんに避けられてるって思ってるからね」
魔王は、294回目の死を迎え、295回目の生を受ける。
その数は減らない。
二人が、少しでも愛し合うかぎり。
その結果、愛する人が苦しむとも知らず。
魔王の方が洗脳される感じですね。
優しいゆえに壊れたアシンさん…。恐ろしや。
次の登場人物案として、こんな感じです。
・ヤンデレ崇拝ストーカー鬼
・ヤンデレ追っかけお嬢様吸血鬼
・ヤンデレ独占狂気シスター
え?ヤンデレしかいない?気のせいじゃないでしょうか。
種族や属性に何かご意見がある方は、ぜひ感想にお寄せください。
多分少し魔王とのイチャイチャ書いてから、新章入ります。