ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

69 / 129
久しぶりのほのぼの回…?


勇者と魔王のお買い物

こんこん、と扉がノックされた。

ちょうど起きたばっかりなのだが。

「どうぞー」

「失礼します」

ウルスラだった。

「ユーリィ様、お手紙が届いております」

「手紙?ああ、またか…」

ウルスラから上質な紙の手紙を受け取る。

ここ最近、俺の元には人間界の王国から手紙が送られてきている。

ほぼ毎日。

その内容は全て、戻ってこい、という命令とも取れる言葉だった。

もちろん無視し続けている。

「では」

「ありがとな」

イスに座って一応手紙に目を通す。

今日も同じようなことしか書いていないが。

「あーあ…」

イスの上でぐっと伸びる。

すると。

 

ばきっ

 

「…え?」

イスの足が折れ、背中から床にまっさかさま。

「痛っ!」

床に腰を思いっきり打ち付けた。

そして次の瞬間。

「ユーリ!どこか痛むんですか!?」

扉が開き、魔王がいた。

盗撮のたぐいの魔法道具は全部取り去っておいたはず。

「…エメ、盗聴したか?」

睨みつけると、ぴくっと肩を動かして、あからさまに目を逸らす。

「え?な、何言ってるんです?やだなぁもう、そんなことするわけないじゃナイデスカ」

「…」

「ごめんなさい盗聴しました盗聴機36個仕掛けてました」

土下座した。

「盗聴も禁止、いいな?」

「盗聴がダメなら、どうやってユーリのプライベート管理をしろと言うんですか!?」

「プライベート管理なんかいらないから!」

 

ぎゃあぎゃあ言い合うこと30分、扉がまた開く。

「お静かに」

ウルスラ…ごめん。

「朝食の支度ができました」

「ああ、わかった」

「…わかりました」

一時休戦。

 

「ウルスラ、変えのイスはありますか?」

「地下室にならあると思いますが…」

ルビルさんが口を挟む。

「あら、地下室のは蜘蛛の巣も埃も付き放題よ?たぶん座ったらまた割れるんじゃないかしら?」

「ウルスラ、家財の管理は?」

「…私が仰せつかったのは、家事ですので」

「昔みたいに使用人がたくさんいるわけじゃないからねぇ…」

魔王から聞くに、昔は使用人が100名近くいたそうだ。

しかし、何百年か前の戦争のゴタゴタで7割近くの使用人が辞めてしまい、半端な手入れは不要と魔王が何人かを辞めさせ、今となっては20人ほどだ。

「ユーリィ様、私が買ってまいr」

「ユーリ!買いに行きましょう!」

「「え?」」

同時に声を上げ、同時に顔を見合わせる二人。

 

またも大騒ぎすること30分、もうマリンちゃんとかも呆れて部屋に戻って行った。

「もしものことがあったらどうするのですか!」

「魔王に敵う者など魔界にはいません!」

「神にも目を付けられているのです、とにかく、おとなしくしていてください」

「主人に対してなんて口の聞き方ですか!」

 

掴みあうこと15分、服が破れたりテーブルとかイスを弾き飛ばしたりしている。

「ふぅ、ふぅ…」

「ぜぇ、はぁ…」

二人とも魔法を使わない取っ組み合いだと、ほぼ素人だ。

疲れたあたりで意見を差し挟む。

「まあまあ、イスはまた今度でいいから、な?」

「「ダメです」」

思わぬ反撃。

 

叫び合いになりつつある言い合いを続けること30分。

「…わかりました、では好きになさってくたさい」

「やった!ユーリ!行きましょう!」

壁の端に蹴飛ばされた机を戻すウルスラの背中は、なんだかやけに小さく見えた。

 

ハザラの街

「〜♪」

「上機嫌だな」

「二人でお出かけなんて、そうない機会ですからね!」

魔王はフードを被っているからか、俺と腕を組んでべったり歩いていても、あまり気にする人はいないようだ。

「ユーリ!ここにしましょう!」

立ち止まったのは、いかにも高級そうな家具店。

「いつもここで買ってるのか?」

「ウルスラはここに来ていたそうですが?」

「そうか…」

赤い絨毯の敷かれた店内の家具は、俺が今まで使ってきたものとは値段が3桁違った。

「…別のところにしないか?」

「え?でも、これとか…ダメですか?」

魔王が指さしたのは、高級魔界白樺からできたらしい、美しい彫り物が施されたイスだ。

小さな家なら丸ごと買えるような値段。

「高すぎるよ、やっぱり俺は普通のでも…」

「ダメです!ユーリともあろうものが、質の悪いイスに座ってはいけません!」

「質が悪くても座れたら俺は満足なの!」

「木の針がお尻に刺さりでもしたら、後ろの穴虐めができないじゃないですか…」

もじもじしている。

変態だ。

なんども言うけど。

変態だ。

一句詠んでしまった。

「あのなぁ…」

呆れて目を落とす。

と、まともな値段のイスがあった。

腕のところに穴が開いていて、後ろに羽のような飾りがあるが、がっしりした普通のイスだ。

「エメ、あれにしよう、な?」

魔王はそれを見て、思いのほか上機嫌になった。

「あれは、ちょつと訳ありのイスですけど、いいんですか?」

ニヤニヤしているのが不気味といえば不気味だったが、とりあえず頷いて、購入した。

 

魔王城

「エメ、そんなに気になるのか?」

魔王は帰ってからも、俺にまとわりついている。

「早く座り心地を確かめましょう!」

「はいはい」

そして、ゆっくりイスに腰掛ける。

背もたれがカチッ、と鳴った。

「…?」

次の瞬間。

手枷が穴から現れて手を捕え、足枷が足を捕え、後ろの羽飾りは俺をがっちり包み込んだ。

「…は?おい、魔王、これ…」

もがく。

が、抜けない。

「はぁはぁユーリ可愛いですよ拘束されて怯えた顔可愛いすぎます!」

「おい!拘束解いてくれ!」

「ご無沙汰だっただったんですから…この前は13時間で気絶しちゃいましたけど、今日は20時間できますよね?」

膝の上に座り、キスされる。

「エメ、せめてベッドで…」

「だぁめ♡」

この後めちゃくちゃハメられた。




20時間耐久ハメ…。
いくら魔王が可愛くても、ユーリは耐えられるのか…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。