しかし上手くいくはずもなく…。
「いいですか?ユーリ、何かあったらすぐに扉を叩くか、その指輪に魔力を込めるのですよ」
「わかったよ、それ聞くのもう5回目だぞ」
魔王が告白からぶっ倒れ、結婚した後の話をした。
仲間たちには、直々に話したい。
その旨を伝えはした。が、魔王はなんだかとても心配してくれているようだった。
「ユーリ、やはりウルスラくらいは同席させた方が…」
「俺らの問題は、俺らで片付けるから、心配するな、な?」
「で、でも…」
ふと見ると魔王が泣きそうになっていた。何だかかわいそうなので抱きしめてみた。
「っ…!そ、そういうのは結婚してから…でもユーリがいいなら私も怖くないっていうかその…」
急にわたわたし始めた。デレてるなら好都合だからこのままにしておこう。
と、魔王の部屋がノックされた。
「だれ?」
「ウルスラです、ユーリィ様のご友人が到着されました」
「ユーリ、気をつけてね、その指輪外したらダメだよ?」
「分かってる、じゃ、またあとで」
魔総の指輪
魔王の家に代々伝わる指輪だ。
これを付けていたら、愛する相手と、テレパシーのようなことができる。テレパシーを受け取る側は何も付けずともいい。
そのため、このテレパシーが使えなくなる、ということはどちらかが愛することをやめたとなる。
浮気防止の効果もあるそうだ。
さて、ヘイジ、ネミル、ハルカの居る部屋に入る。
そこには、神妙な顔をした三人。とても空気が重苦しい。
「…久しぶり」
「ねえ、勇者…いえ、ユーリィ、説明してくれるわよね?」
「そのつもりだよ」
そして事情を話す。もちろん魔王を好いていることも。
「ふざけ、ないでください…」
ハルカが怒りを押し殺した声で言う。
「みんな、本当にごめん!けど、魔物と人が和解したらきっと…!」
「ふざけないで!きっとアンタは、洗脳だか魅了だかされてるからそんな考えになるのよ!」
「勇者殿、これまでの、魔族による事件の被害者の顔を忘れたのでござるか?」
「でも、殺しあって、何が変わるんだ!」
「勇者様!私は、何が何でもあなたを取り戻します!」
ハルカが叫ぶところなど、見たことがなかった。
「ハルカもネミルも分かるだろ!俺は魅了魔法も何も受けていない」
そしてしばらく、にらみ合いが続く。
その緊張をなんとかヘイジが和らげる。
「…お二方、今日のところは引き下がるべきでござる」
「ヘイジまで、なんでそうなるのよ!」
「我々は今、解呪道具も大した武器も持っておらぬ、ましてここは魔王城、たとえ勇者殿の魔法が解けたとて、殺されるのがオチでござるよ」
「っ…」
その的を射た意見に、二人がおし黙る。
「勇者様、今日はこれで、帰ります」
「…ごめん」
「今日のことは、王様に報告致します、それでも戻らないようでしたら、全面戦争となってしまいます」
「ハルカ、戦争なんて…」
「やらざるを得ません、帰って来ないのなら」
「きっと、俺は、帰らないぞ」
「馬鹿馬鹿しい、洗脳された勇者と話しても、面白くもなんともないし、帰りましょう」
「勇者殿、すまぬ…もっと止める術もあったろうに…」
ヘイジは申し訳なさそうに、あとの二人はご機嫌斜めで帰って行った。
「…ユーリ、どうでした?」
「…戦争が、起こるかもしれない」
魔王にそれを話した。一つ一つ聞いていた魔王は、頷き。
「それでも、魔族が負けたとしても、私はユーリにずっと付いていきますから」
俺は、勇者失格だ。自分でも思う。
戦争を起こす勇者がどこにいる。
それでも俺は、やはり魔王と共に在りたいと願ってしまう。
なんとか、なんとかしないと…。
久々の登場!勇者のお仲間。
さて戦争は始まるのか…?