ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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連れ去られた勇者は、奴隷と成り下がるのでした。
うらやまし(ry。


奴隷生活(その1)

攫われた先は、古城らしき建物。

 

俺は元々着ていた服を剥がれ、ボロ布のような服を着せられていた。

といっても、汚れは付いていない。ただ、引き裂かれたような、肌の露出が多く、肌寒い服だ。

「ふふ、小汚い洋服がとぉっても似合いますわよ?」

「…」

黙っていると、襟首を掴まれた。

そのまま吸血鬼の怪力で持ち上げられる。

「くッ…あ…!」

「あなたに許された返事は、はい、ご主人様、だけです、わかりましたか?」

「はい…ご主人様…!」

床にそのまま落とされる。

突っ伏していると、顔を覗き込んできた。

「ごめんあそばせ、私、加減が分からないものでして…ね?それと、あなたは愛玩奴隷です、私の望むことをいつでも、何でも遂行なさい?」

「…はい、ご主人様」

そう返すと、ミラはソファに腰掛けた。

「こちらへおいでなさい?奴隷」

そのまま、微笑んで手招きする。

「…はい、ご主人様」

隣に座る、と抱きかかえられた。

「っ…!何を!」

「誰が隣に座りなさいと言いました?あなたは愛玩奴隷、私があなたを呼ぶ時は、可愛がる時なのですよ?」

このままでは、ニコラやアシンさんの二の舞になりかねない。

勇気を振り絞って、反論する。

「ご主人様、しかし、俺にはエメがいます」

「ええ、それがどうしましたの?」

「こんなことをしていたら、エメに合わせる顔がありません」

「心配することはなくてよ?」

俺をさらに強く抱きしめ、部下に何か命令した。

魔王よりも大きめの胸が背中に当たる。しかし、その感触に何も感じることができないほど、俺は逃げ出したかった。

「さ、これをご覧なさい?」

それは、魔王家の会社のリストらしきものだった。

 

・サイプ社

・グリアルス社

・ハウセリア系列15社

・ダリア社

・デリルカンパニー系列3社

・ガロア共同社

 

「これは、何でしょうか?」

「私の傘下に入った企業のリストですわ」

「…!」

この前魔王の部屋で見たリストより、かなり増えている。

「なぜ、なぜまだ買収を…!」

俺が行けば買収は止まるもの、そう、思っていた。

「私は、あなたの色々な顔が見たいのです」

頰を撫でられる。

そして、耳元に口を寄せ、暑い吐息と共に、こう囁いた。

「私の財力で、愛する人も何もかもを奪われるあなたのお顔…想像するだけでも、興奮が止まりません…」

うっとりした、ネジの外れたような顔で微笑む。

「っ…!外道め…!」

俺はさっき脱がされた服に隠してあった、小ぶりの銀のナイフを取り、素早く懐に突撃した。

「あら?まだ立場がわからないのかしら?」

ミラの細い足が、滑らかな動きでナイフを蹴飛ばす。

かちん、と後ろで音がした。

俺の手にはまだナイフがある。

いや、これはナイフとは呼べない。

俺の手には、柄しか残っていないから。

「…何を、した?」

「刃を少しばかりへし折ったまでですわ」

「く、来るな…」

へたり、と、腰が抜けた。

ゆっくりと、ゆっくりと近づいてくる。

「私はあなたが反抗すればするほど、あなたから物を奪うスピードを加速していきます」

「やめてくれ…エメには手を出さないでくれ…」

すると、彼女は俺をまた抱きしめた。

次に俺は、痛みと、脱力感を感じることになる。

「はむっ…ちゅ、ちゅぅぅぅ…」

首が噛まれている。

「ぐッ…!」

血を吸われる。

寒気のような、それでいてどこか心地よい快感がもたらされた。

「んっ…ぷはっ…美味しい血ですこと…」

「俺の大切な物を、そうして奪って、どうするつもりだ」

睨みつける。

しかしミラは笑っているだけだ。

「決まっているでしょう?貴方を手に入れるのです」

「なら、もう俺は…」

「人は、いえ、生き物は、心の拠り所となる物を好きだと認識すると、私はそう考えます」

尖った歯を隠すように上品に微笑む。

そしてまた、俺の顔を撫でる。

「だからあなたの心の拠り所を壊す、そうした先に残っている私の熱烈な愛に、貴方は頼らざるを得ません」

「そうは、させない」

「それはどうかしら?」

俺の顔を強引に引き寄せ、唇を重ねた。

「んっ…ちゅ、んふっ…ちゅぅぅ…」

「んむ!?んッ…んんーッ!」

吸い付くようなキスを、10秒ほどしていた。

暴れても、ビクともしない力だ。

「ぷはっ…キスを、奪いましたわ」

唾液が細く、糸を引いた。

「…これがあんたのやり方か?」

「ふふ、夜はまだ長いんですから、あなたの大切な物をもっともっと奪えますわ」

ベッドに寝転がり、俺を呼んだ。

「さあ、奴隷さん?ご主人様を満足させてみてくださいな」

「…」

「聞こえないのなら、構いません、また魔王グループの経済が厳しくなるだけなのですから」

マントを脱ぎ去り、上着を脱ぎ、白い肌が見える。

「…ご主人様、それだけは、勘弁していただけませんか?」

「嫌です、私の言うことは絶対、いいでしょう?あなたは奴隷なのですから」

ミラの目が赤色に光る。

俺の体は、宙を浮くようにしてベッドに運ばれた。

「さあ、奴隷さん、私と愛し合いましょう?」

ベッドに押さえつけられる。

彼女とキスを交わしながら、俺はエメのことを考えていた。

エメは俺がいなくなった今、どうしているのだろうか。

ミラは俺との口づけに満足すると血を吸い、血に満足すると身体を舐め回してくる。

そして、俺の体に牙の跡を付ける。

がりっ、がりっ、と皮膚が削られるような感触がする。

「さて…そろそろ、あなたの大切な物、いただきましょうか?」

「…やめてください、ご主人様」

「遅かれ早かれ、貴方は私が食べてあげるのですから、気持ちいいことは早く始めましょう?」

そして、俺は、全く力の入らない肉体で、ミラと一つになった。

「ふふ…あははは!気分はいかが?あなたにも、そのお嫁にとっても大切な貞操は、私に食べられてしまいました!私の初めてと引き換えに、あなたも失ってしまいましたねぇ!」

狂ったように腰を振る彼女。

その目は俺の血を吸ったからか、それとも奪ったことに対する興奮か、あるいは俺への興奮か、その全てからか、爛々と輝いていた。

「俺は、エメに…会いたい…」

「まだわからないですか?頭の悪い奴隷ですこと!」

首を絞められる。

そして、暴れる俺を押さえつけて絞めている所より少し上の血を吸う。

頭に、血が回らない。

「あ…ぅぐぁ…?」

目の前が白く染まり、ノーガードの頭にミラの声が響く。

「あなたは私の奴隷…私だけの…私しか頼る人はいない、ふたりぼっちの奴隷!」

その狂笑を、意味も分からぬままに聞いていた。

それから数秒後、俺の意識は闇に落ちる。

 

夢を見た。

魔王と、二人でいる夢を。

とても楽しかった。

けれど、魔王は途中から、俺を拒絶した。

とても哀しかった。

辛かった。

頼れる人はいない。

ひとりぼっちだった。

けれど、遠くから女が歩いてくるのが見えた。

緑色の髪で白い肌の、黒いマントを羽織った女だった。

俺は近づいてくるその女に、言い知れない恐怖と、同じくらいの安心感を感じた。

 

女は、まだ遠くにいる。




いきなりベッドを共にするとは…。
これR18?そんなわけないよね…大丈夫大丈夫…。
運営に消されたらご容赦くださいw。
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