ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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バカップル夫こと勇者は盛大に魔王に愛を叫び、バカップル妻もそれに応えたのでした。
果たしてミラはどうするのか?


奴隷生活(その3)

「おはようございます、ご主人様」

ミラに向かって頭を下げる。

この挨拶も、もうすっかり慣れた。

魔王城に連れて行かれ、俺は自殺覚悟で魔王にメッセージを伝えた。

そして魔王もそれを返してくれた。

これからどうなるか、それは分からないが、あの時叫んだことに対する後悔はない。

思いのほか、ミラは上機嫌な声で言った。

「おはよう、奴隷さん」

「今日のご飯は…」

赤黒く跡の付いた首筋を出す。

しかし、ミラは吸わない。

「この一晩で素直になった…わけはないでしょう?」

冷たい目で睨まれる。

「…当たり前だ、必ず魔王は助けにくる」

睨み返す。

すると、また元の微笑みに戻って、部下に命令し、細長い木箱を持ってこさせた。

「ところで、人間界では、魔物ハンターとかいう職業があるそうですね」

「…?」

「自分よりも弱い生き物を狩って暮らす、原始時代への退行に他なりませんわね」

「…はい、ご主人様」

「けれど私は、ハンターごっこをしてみたいと思いましたの」

木箱から、長い金属の棒を出す。

いいや、棒ではない。

「獲物はもちろん、あなたですよ?」

彼女は説明書を開いた。俺にも読ませる。

 

商品名

かみなりさま

射程

〜4m

使用上の注意

・本商品は獣駆除、保護のため作られたものです。魔族、人間には絶対に使用しないでください。

・エネルギーフルチャージによる最大使用回数は10回です。

・しぼりによって電力を増減させられます。

・本商品により電撃を当てた生物は一時的な麻痺、失神をしますが、過信せず、きちんとトドメを刺して接近するようお願いします。

・魔力によるチャージや、強化は出力が本来よりも大きくなり、安定しなくなる恐れがありますのでご注意ください。

 

「さて…追いかけっこでもしましょうか?」

楽しそうに鳥獣捕獲用の鉄砲を弄ぶミラ。

「ルールは?」

「敬語を忘れていますよ?ルールは…そうですね、このお城からスタートして、魔王城までにします」

「…!」

すると、ミラは俺の顔を手で包み、悪魔のような笑みを浮かべた。

「あなたは私から逃げる獲物、私があなたを捕まえるまでがゲームです」

「もしも、魔王城まで逃げられたらどうなるんですか?」

「その時は、あなたは自由ですよ、逃げられれば、ですが」

にこりと笑って、鉄砲のしぼりを調整している。

逃げる。

ここで逃げられたら、俺の勝ちなのだ。

 

俺はここに来るときに持っていた、盾、鎧、剣、そして指輪を返却され、重装備で立っていた。

「さて…始めましょうか?奴隷さん」

ミラはかみなりさまを高く、空に向かって掲げた。

「用意…」

引き金が引かれる。

「始め!」

ズバンッ!と中に黄色と赤の火花が散った。

スタートにかみなりさまを撃ったのは、余裕からか、出力のチェックなのか。

俺はただひたすらに走る。

魔王城まではここから歩けば1日ほどかかる。

無謀な挑戦かもしれなかったが、幸い野宿はできるし、お金も多少はある。

「逃げなきゃ…とにかく…!」

吸血鬼というのは、長時間陽に当たると弱るらしく、ミラは傘をさして、ゆっくりとした足取りで向かってきた。

逃げられると、確信した。

 

残り9発

 

2時間ほど経ったか。

スタート地点から9kmほど離れた山の中腹。

足を止め、後ろを警戒しながら倒木に腰を下ろす。

「はぁ、はぁ…撒いたか?」

かなりの距離を離したはずだ。

これならば、簡単かもしれない。

油断は禁物と分かってはいるが、あの遅さで追いつけるようには思えなかった。

川に出て水を飲む。

「ふぅ…ここからどれくらいだろうな…」

手を伸ばすと、左手に指輪が光っていた。

「エメ…」

連絡は取れる。

取る気にはなれない。

魔王に頼っても、状況は好転しない。

むしろ俺の位置を知らせるようなものだ。

「…待ってろ、すぐ、行く」

俺は立ち上がり、また歩き出した。

 

 

俺はその時、予想もつかなかった。

ミラは手加減するつもりなどなく、だからこそ追ってこなかった。

その後、俺は、彼女の恐ろしさを知ることになる。




え?短い?
すみません…構想がまとまらないまま、ハンティングされるM妄想を書き出してしまい…。
その4に続きます。
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