ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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御墓参り編に移る前に、少しだけ日常を。


束の間の休息

「んん〜っ、はぁ…」

やっと日が出て空が白みはじめた頃、庭で大きく伸びをする。

久しぶりに外に出た。

ミラの一件で、俺は足の骨にヒビが入り、傷だらけになり、おまけに後処理でぎっくり腰と股間が擦れて出血した。

さらに、看病と称した魔王の過保護とセクハラで、ここ何週間もまともに出歩いていなかったのだ。

「…はぁ、久しぶりに剣でも振るかな」

剣の素振りも、さすがに怪我をしていた時にはできていなかった。

その鈍りはフォームにもスピードにも顕著に現れており、振っている俺自身もまともに勇者していた頃と同じとは思えなかった。

「弱くなったなぁ…」

「ですね」

「!?」

振り向くと、そこにはウルスラが呆れたような顔で立っていた。

「いたなら言ってくれよ」

「いえ、お手紙が届いていましたので」

一通の手紙を手渡される。

「ありがとな」

「…エメラル様が守ってくださるのに、そのように剣の練習をすることに何か意味が?」

暗に、下手な素振りになんの意味もない、と言いたいのだろうか。

「キツいこと言うなぁ…」

「ですが力としては」

「あのな、たとえ使わなくても、この練習をサボること自体が心の乱れなんだよ」

「…誰の名言ですか?」

「え?別に名言ってほどじゃ…」

頭をぽりぽり掻いて照れていると、なんだか不機嫌になった様子。

「褒めてません、では失礼しますっ」

すたすたと歩いていった。

「…複雑だなぁ」

いや、魔王が単純過ぎるだけか。

手紙をよく見る。

すると、そこにはミラ=ワイルの名が。

「ミラ…?」

 

俺は、魔王に俺の96時間耐久看病(という名のぶっ続け性的行為監禁)というエサで釣って、なんとかミラの暗殺を止めさせた。

こうも堂々と、実名で手紙が出せるのも、魔王家が今回の事件の主犯である彼女の素性を明らかにしていないからだ。

マリンちゃんとルビルさんは快く思ってはいないが、それでも黙って見てくれていた。

 

手紙を開く。

そこには、綺麗な文字が綴られていた。

 

 

ユーリィ・グレイ様へ

 

御機嫌よう。

その後のお怪我の具合はいかがかしら?

私はあなたと別れて、また新しい職に就きました。

ハザラの街で新聞社を始め、社長となって、あなたを買い戻すために資金をガツガツ稼いでいます。

もしも近くに寄ることがあって、あのおんn、ご夫人が不在でしたら是非お越しください。

またあなたと会えることを、そして欲するままに心も体も独占できることを願って。

 

ミラ=ワイル

 

 

「…ミラらしいな、まぁ、元気そうでよかった」

それにしても、新聞社を立ち上げるとは思わなかった。

魔王とイチャイチャしていたら、撮られてスクープされたりハニートラップとか仕掛けられたり…。

「…いや、こんなの考えてたらエメに怒られる」

背後から声。

噂をすれば影…え?

「誰に怒られるんです?」

「そりゃ、お前に決まっ…」

「お部屋、行きましょうか♡」

 

二発ヤられて、朝ごはん。

「はぁ…」

げっそりした顔でご飯を食べていると、エレナがこちらを見ている。

「どうした?」

「…私、影薄くないか?」

「周りが濃すぎるんだろ」

「それは確かに…そうじゃなくて、人間界から出てきてから、最近全然お前たちに関わってないぞ」

すると、ウルスラが心なしか睨むようにエレナを見ている。

「エレナ、これが終わったら何をしますか?」

「は、はい、まず洗濯、それから掃除と夕食の仕込み、それが済んだらメモにある食料の買い出しです」

「よろしい、まだメイド見習いなのですから、多忙なんかに対して文句を言わないことです」

「…大変だな、エレナ」

「…辛いよ」

メイド修行で忙しいようです。

 

「お母さん!私のユーリに手を出すなとあれほど…!」

「…まぁまぁお姉ちゃん、お母さんは暮石にこもったらしばらくは出てこないしさぁ…?」

「いいえ、マリンのせいで、ユーリはお尻の穴が以前に比べて緩くなりましたよ?」

「…はぁ!?私のせいってなんで言えるの!?なんなら締まり具合確認してあげようか?」

魔王は俺が二人に犯されてからずっとこの調子で、二人に対しては不機嫌だ。

ルビルさんは肉体を半霊体化させて暮石の中に逃げ込み、マリンちゃんはさらりと受け流している。

「ユーリッ!私が確かめてあげます!」

「おい、確かめるってまさか」

「…ズボンとパンツ脱がすよ、お兄ちゃん」

がしゃん!と大きな音が響き、二人に取り押さえられる。

「おい!やめろ二人とも!」

「後ろの具合を確かめるだけです!ついでに前の動作確認も!」

「…私が個別にチェックしてあげてもいいよ?」

「マリンはそこで抑えるだけ!」

「バカっ…そこ触んな…指ッ!」

「ほら、この前まではこんなに簡単に私の指飲み込んだりしませんでした!」

「…あれぇ?これはやっぱり私がコレで締まりチェックしてあげないとねぇ?」

何かがお尻に当たっている。

謎のモノが。

いや、先々週にたっぷりと教え込まれたモノ。

「そんなの入るわけ…!」

ずにゅ、と謎の感触がしました。

死にたい。

 

俺がマリンちゃんと魔王に四つん這いにされてアレコレしてると、急に地面から腕が出てきて俺の顔が棺桶側に引っ張られた。

魔王のお母さんの唇は、魔王のよりもあま〜い匂いがしました。

 

夜になって、自分の部屋。

「死にそう」

ベッドでぐったりしていると、眠そうな目の魔王が横に入ってきた。

「ユーリ、ユーリ、明日は何しますか?」

「…元気だよなぁ、お前は」

「ええ、もちろん!ユーリといたなら、それだけで私は元気いっぱいでいられますから!」

「可愛いけどさ、せめてヤるペースは一週間に20回以下に減らそうな?」

「それでも減った方です、ていうか、今可愛い?可愛いって言いましたよね?ぐへへぇ…」

枕をくんくん嗅いでよだれを垂らしている。

「…」

そんな魔王がやはり愛おしくて、頭を撫でる。

「思えば、もう俺たちすっかり家族だよな」

「ええ、このお城の人々はみな家族です、その中でも、ユーリは私の大事な大事なペッt…夫です」

「おい、今なんて」

「そんなことより!夫婦の営みですよ!」

「やめろ!もう尻も股間も限界だから!」

ベッドの上で跳ね回る影がふたつ。

5分くらい脱がし脱がされしていると、隣の部屋からバンッ!と壁の叩かれる音が聞こえて、すぐに静かになりましたとさ。

 

はぁはぁと二人で息を吐いて寝転がる。

と、急に魔王が跳ね起きた。

「…家族といえば!」

「ん?」

「明日からユーリのご家族に挨拶に行きましょう」

キラキラした目で言う魔王。

裏切るようで悪いが、もう両親はいないのだ。

「…あのさ、悪いけど、俺の両親は」

「亡くなったんですよね?」

「…なんで知ってるんだ?」

「そりゃ、一目惚れしたその時から水晶玉で監s、見守っていましたから!」

「誤魔化せてないぞ」

「まぁ、それは置いておいて」

あからさまに目をそらす魔王。

「お墓くらいは、あるんですよね?」

「…俺の生まれ育った街にな」

「行かなくて悲しくないんですか?」

「行きたいけどさ、でも新婚旅行の時も散々な目に遭ったわけだし、やっぱり今の人間界は危険…」

魔王に顔を覗き込まれる。

真剣な顔つきだった。

「ユーリ、ユーリの目標とすることは、何ですか?」

「人間と、魔族の和解…だけど…」

「なら、あなたが待っていて、誰が世界を変えるんですか?」

正論だ。

「それとこれとは別だ、やっぱりエメを危険な目に付き合わせるわけにはいかないだろ」

「元より、あなたと結婚を決めた時点で、私とあなたは運命を共にしています」

「それは…」

服を掴まれる。

その顔は、優しげではあったが、それでも言葉に硬い芯を感じた。

「いいですか、私はユーリが大好きですが、意気地なしのユーリは嫌いです、あの時の、私を倒そうとした強い目、私を守ってくれたあの笑顔、何よりも他人のことを考えているその優しさ、全てが大好きなんです」

「…」

「それでも、まだ人間界が怖いですか?」

魔王は笑って問いかけた。

ここまで言われて、俺が引き下がるような男ではないって、分かっているくせに。

「行くよ、俺の、世界一強くて可愛いお嫁さんを紹介するために」

「それでこそ、ユーリです」

 

俺に力はない。

ニコラに頼めば、数秒時を止められるだけ。それ以外は多少人より強いだけだ。

でも、意思を通すのに力なんていらない。

何度だって失敗すればいい。

それについてきてくれる人が、理解してくれる人が、協力してくれる人が、たくさんいるのだから。

 

「さて、じゃあ本題に移りますか」

「本題?」

「宿屋のシーツをあまり汚すのはよくないでしょう?」

「…おい待て、話を」

「いただきまぁす♡」

 

夢でニコラが出てきた。

「おアツいことね…全く」

「俺の答え、分かってくれたか?」

「好きにしなさい、ただまあ、お願いしたら力は貸してあげるから」

「ん…ありがとな、いつも感謝してるよ」

笑いかけると、顔を赤くして、悔しそうにこう言った。

「旅に出る前に、その、人を無意識に惹きつける性格、直していった方がいいわよ」

「ん?ああ、いいじゃないか、カリスマ性があってさ」

冗談のつもりだったが、思いっきりひっぱたかれた。

「おい!叩くことないだろ!夢なのに痛いぞ!」

「うるさい、そんなことばっかり言ってるからいつもトラブルに巻き込まれるんでしょ」

夢の中で、その口論は明け方まで続きました。




エレナたん、超久しぶりやん…。
キャラを出すには出したけど、全く使い切れていません。すみません(´・ω・`)。

さて、次から念願の御墓参り編です。
基本的には人間達と勇者とのギクシャクした感じのお話になるかもですが、やはり敵キャラなんかも出した方がよいのでしょうか(シリアス書くと訳わからなくなる恐れアリ)。
出すとすれば女の子以外いないよね(ntr嫌いな人)。
もしリクエスト等あれば、種族や属性だけでも構いませんので、どしどしお寄せください!

※お話的にヤンデレが大量発生してますが、それ以外でも可です。もしかするとヤンデレキャラに埋もれる可能性もありますが…。なので基本的にヤンデレ推奨です。
属性付加(クーヤンデレ、ツンヤンデレなど)でも大歓迎!

感想が100件を超えました!
寄せてくださった方々、本当にありがとうございます。
これからも頑張って期待に応えていきますので、どうぞよろしくお願いします。

長文あとがき失礼しました。
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