ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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お墓参り編です。
人間界からはシリアス多めになるかも…?


実家挨拶編
実家挨拶(その1)


「ふぅ…そろそろ出るかな…」

俺と魔王とウルスラとマリンちゃんとで、一晩かけて旅の荷物を整えた。

俺が魔王と戦う時に持ってきた荷物、剣や鎧、5日分の衣服、偽造通行証、携帯食料、媚薬、結構たくさん詰まったカバンを肩に担ぐ。

…え?

「あの、エメさん?」

上機嫌で荷物を持った魔王がにこにこして振り向く。

「なんです?ユーリ」

「媚薬って今回の旅にいるか?」

「毎晩シて、歩いて、その繰り返しが毎日あって、でもヤれる元気があるなら必要ないですけど…」

「どんだけシたいんだよ!」

「ユーリ、私とユーリは子を授かりにくいんです、異種では中々デキないでしょう?」

「た、確かにそうだけど…」

子供、という言葉を初めて聞いた気がする。

やはり魔王もそれなりの覚悟を決めているのだろうか。

「…まぁユーリとの時間が減るなら必要ないですが」

なにか小声で呟いた。

「なんか言ったか?」

「いえいえ!行きましょう!」

魔王城の使用人や住人総出で見送ってくれた。

「行ってらっしゃいませ!」

 

ハザラの街までは馬車で行く。

手を繋ぎ、腕をからめ、二人とも外を見ていた。

「…エメ、ごめんな」

「え?」

「偽りの衣、やっぱり着て行った方がエメも安全なのかもしれないし、取りに帰るか?」

新婚旅行の時に着ていた偽りの衣。

人間側に奪われたが、魔王が遠隔操作で燃やして処分したらしい。

クインちゃんが張り切って二号を作ってくれたが、俺はそれを着て出ることを断った。

ウルスラと散々もめたが、やはりそこで戸惑うようでは人間と魔族が仲良くなれないと思ったからだ。

素朴で、普通の(普通どころじゃなく性欲が強いが)夫婦だと分かれば友好のアピールになると考えたのだ。

ただ、今になって自信が揺らいだ。

「ふふ、ユーリが言い出したんじゃないですか」

「でもさ、いくら人間側が大人しいからって、この前みたいなことになったら…」

「はぁ…前も言ったでしょう?意気地なしのユーリは嫌いだって」

「危険に巻き込まれたらどうするんだ?」

「どんな困難があっても、必ずユーリを守ってみせます」

「でも」

「でもは禁止です、愛し合ってるのですから、苦痛も悲しみも私たちを阻むことはできません!」

自信ありげに胸を張る。

「…わかった」

「うん、それでこそ私の夫です」

にっこり笑う魔王の顔は、とても可愛かった。

「ありがとな、これだから俺は、エメが大好きだ」

しなだれかかる。と、魔王が抱きついてきた。

「私もですっ♡ユーリ!」

 

馬車を操る敏腕メイドウルスラは、ハザラの街への買い出しの品に業務用ブラックコーヒーを付け足そうと心に誓った。

 

馬車が不穏なぎしぎしとした揺れと、喘ぎ声が漏れ出すようになるのはそれから10分ほど後のこと。

「…またイチャイチャと…」

その独り言は、中でのアレコレに夢中の二人には届かなかった。

 

「それでは、くれぐれもお気をつけてください」

少しげっそりした顔のウルスラと別れてツヤツヤの魔王と歩き出す。

「さて、ゲートをくぐる前に観光していきますか?」

「ん、軽くな、夕方までには通りたいから」

 

適当な店に入って、昼食にする。

「ほらっ、ユーリ、あ〜ん♡」

「人前だぞ…エメ…」

「もぐもぐ…んッちゅッ…むぅぅ…はっ…♡」

「んぐぅ!?んッあぅ…!?ぷはっ!」

「美味しいですか?ユーリ」

「いきなり口移しされて味なんか分かるか!」

「…お客様、お代は要りませんのでお引き取りください」

 

服飾の市場をうろつく。

「ほら、見てください!ユーリ!この真っ黒なドクロ可愛いですよね!」

「…う、うん、いいんじゃないか?」

「あっ!ウルスラの好きそうな青色のスカーフです!」

「ああ、ウルスラには苦労かけたし、また帰りにでも買って帰るか」

「私に似合いそうな綺麗なネックレスもありますよ?」

「んー、正直よくわからん」

「…」

「痛ッ!何するんだよ!」

「ユーリのせいです」

「機嫌損ねるようなことしてないだろ!」

「許しません」

「ほら、このドクロ買ってやるから、な?」

「…向こうのグレムアイス、半分こして食べてくれるなら許してあげます」

「わかったよ」

「あ、トリプルサイズのコーンですよ」

「はいはい、仰せの通りに、わがままお嬢様」

「…」

「痛っ!」

 

アイスを二人で舐める。

「〜♪」

「好きなんだな」

「昔ウルスラが、私が風邪でアイスが食べたいって言ったら買って来てくれたんです」

「え?この距離を?」

「わざわざ魔法で冷やしてくれてたみたいで、昔から世話になりましたよ…」

「ふーん…それはそうと、昔からそんな食べ方なのか?」

「はーい、私のだえk…愛情アイス、召し上がれ♡」

「何も全部舐め回しておまけに唾液垂らすことはないだろ!まともに食べなさい!」

「なんならまた口移ししてあげますよ?」

「いらない!」

「遠慮せずに!私の愛情の味です!キスですキス!」

「アイス関係無くなってるぞ!」

「おお…これは癪ですが、新聞のネタになりそうですわ…タイトルは現魔王エメラル・デラルス、夫にまさかの公然わいせつ!?濃厚キスの真相やいかに!これで奴隷さ…ユーリィは私のもの…!」

 

「よく遊んだなぁ…」

市場をうろつくうちに、陽の光は既に茜色に染まりつつあった。

「人間界ではもっともっとラブラブっぷりを見せつけますよ!」

「勘弁してくれ!ただの変態夫婦じゃないか!」

きょとんとした顔で答える魔王。

「変態の何が悪いんです?」

「…もういいや、めんどくさくなった」

「ふふふ、せいぜい覚悟しておくことです」

手を握って、境界の門へ行く。

「おっ、話は伺ってます、ご両人とも頑張ってください」

獣人らしき男がにこにこ笑って、検問を通してくれた。

「ウルスラが話を通してくれたのか…?」

「さあ?そんな話は聞いてませんが…」

何はともあれ、俺たちは人間界に入った。

懐かしい空気。

「んッ〜気持ちいいですねぇ…」

大きく伸びをして魔王が言った。

人間界の検問係は、俺をジロジロ見ていたが、書類に不備はないのでそのまま通してくれた。

しかし。

「お二人さん」

呼び止められる。

「…何でしょう?」

「今はサキュバスの盗賊団が暴れてる地域があるから、気をつけてな」

「あ、はい」

ホッとして魔王を見ると、魔王は楽しそうに笑っていた。

「エメ?」

「ユーリ、お仕事ですね!」

一瞬わからなかったが、すぐにその言葉を理解し、手を強く握った。

「ああ、懲らしめに行くか!」

どうせまだ、俺の生まれ育った街は遠いのだ。

善行しながら行ったって、母さんも怒りはしないだろう。




やっぱり逸れるお話。
シリアス期待してた方すみません。
ただ、二話程度で終わらせますので、どうぞ暖かく見守っていてくださいー。
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