アブない香りしかしませんが…。
「ユーリ、いいですか、サキュバスに捕まえられそうになったら、すぐに助けを呼ぶのです」
「100回は聞いたぞ…それ」
一歩歩けばサキュバスに囚われないよう注意を促してくる魔王。
ここは、サキュバスの盗賊がよく出るという森。
「そんなに恐ろしいのか?冒険してた時に戦った感じ、そうでもなかったけど」
「むむ…ヤツらの恐ろしさが分かっていないのですね」
するとカバンを漁って、何か書物を取り出した。
「ここに生態が書いてあります」
広げられたその紙を読む。
サキュバス
サキュバスとは、一般的に二種類の魔族を指す。
・夢の中に現れ、精気を奪うもの
・現実世界で精気を奪うもの
後者について話していくが、まずサキュバスの戦闘能力は決して低くはなく、また、種や発情周期によっては精気をそれほど必要とせずに獲物を躊躇なく殺害することも。
近年魔族内でサキュバスの性的観念や貞操の見方が変わっており、結婚などもおおいに推奨されていることから、冒険者は気をつけること。
「…これ何だ?」
「魔界出版の冒険者用魔族ブックです」
「そんなものあるのか…不利にならないのか?」
「人間なんて弱いので、こうやってあらかじめ強さを書き記しておいた方が面倒にならないんですよ」
人間なんて弱い。
やはり、事実ではあるがそんな認識なのか。
「で、わかりました?サキュバスの恐ろしさ」
「ああ…誰かれ構わず精気を吸い取るんじゃないんだな、戦闘能力も上がってるってことか?」
すると、魔王の大声が森に響き渡った。
「違うッ!!」
「な、何が違うんだ!」
「よいですかユーリ、ユーリはただでさえ惚れられやすいのにこんな色情魔みたいなサキュバスがユーリを襲ってさらに求婚してくる恐れもあるんですよそれこそサキュバスの真の恐ろしさです!」
「あのな、言っておくけど、エメの性欲もほとんどサキュバスみたいなもんだからn」
言い終わる前に地面に押し倒された。
「ユーリ?誰がサキュバスの性欲ですって?」
「だ、だって現にこうやって襲おうとしてるだろ」
「…ふぅん、それが答えですか、なるほど」
「待て!待て待て!ズボンに手をかけるな!破れる!」
「ユーリが離せば破れません!」
「離したら脱がせるだろ!」
もみ合うこと20分。
俺たちは地面にぐったりしていた。
「…いませんね、サキュバス」
「…だな」
と、半ば諦めかけたその時だった。
「うッ!?」
「エメ?どうした?」
魔王が急に肩を抑えていた。
ゆっくりと手を取ると、そこには細い針の尻に袋が付いたようなトゲが刺さっていた。
「…蜂?いや、これは」
「サキュバスに伝わる媚毒のようなものです…!しかも袋の中のものはかなりの濃度…これではッ…!」
顔を赤く上気させた魔王は、また地面に丸まった。
「エメ!早く逃げないと!」
「ユーリこそ、逃げてください…」
魔王が膝を付いて、俺の目を見て言った。
地面にぽた、ぽたと何かしずくが落ちる音が聞こえた。
「腰が砕けそうなくらい…発情してるんです…」
「エメ…!」
「ここでユーリを襲ってはサキュバスの思うつぼ!ユーリはサキュバス討伐を早く!」
その言葉に押されて、俺は駆け出した。
恐らく一定の間隔で俺たちを見守って、精気を適当なところで奪う魂胆だろう。
「んッふぅ…♡ユーリ…♡愛してますぅ、もっとください…もっとぉ♡」
後ろから魔王の喘ぐ声が聞こえる。
「くそ…どこだ?」
森の奥へ奥へと進む。
と、頭上から何かが降ってきた。
影で察知し、横に転がって避ける。
ガッ!と短剣が地面に突き立った。
「チッ…仕留め損ねたか…!」
そこにいたのは、金髪で黒い肌のサキュバス。おまけに桃色の羽が付いている。
「アンタが…盗賊か?」
すると、そのサキュバスは短剣を腰だめに、突っ込んできた。
「それがなんだ!どうせお前もサキュバス差別で鼻の下伸ばした男だろう!」
それは、勢いと迫力はあるが、実際剣を扱う俺からすれば全くと言っていいほど素人臭い動きだった。
「差別?鼻の下?」
手を掴み、足をかけて地面に引き倒す。
「ぐあっ!?」
「…さて、お仲間にも出てきてもらおうか」
金髪サキュバスに剣を向け、辺りを見渡す。
がさがさと音を立てて、3人ほどのサキュバスが歩いてきた。
全員が手に吹き矢らしきものを持っている。
「アジトに案内してくれ、俺のツレも一緒にだ」
これではどちらが悪か分からない。
「リーダーはいるか?」
金髪サキュバスが言った。
「…アタシだよ」
「名前は」
「ミゼリア」
そう答えると、子分三人に魔王を運ばせるように命令して俺を案内しはじめた。
「…で?なんで盗賊行為なんか働いてたんだ?」
森の奥、キラキラと澄んだ水をたたえた泉の隣に、小綺麗なログハウスがあった。
そこが彼女たちのアジトらしい。
その一室で、ミゼリアに話を聞いているのだ。
「アタシたちは、魔界ではサキュバスの稼ぎが悪いから、人間界で一山当てようと思ったんだ」
「ふん…で?」
「人間の旅団を襲ったら、サキュバスだってこの羽でバレたみたいでさ」
小さな桃色の羽を動かす。
「旅団のやつらが急にニヘラニヘラしだして、早くしろって言い出したんだ」
「…ああ」
「早くしろって言うからさっさと荷物盗ってトンズラしようと思ったんだけどよ、そしたら人間どもが怒り出して」
「…」
「アタシの子分の一人は服ひん剥かれそうになって、肩の生肌を見られたのがトラウマんなってさ、落ち込んでるんだ」
「で、そのまま盗賊に?」
「来るやつ来るやつニタニタして荷物差し出して来るんだよ、で、物分かりがいいなと思って帰ろうとしたら襲われる、んでボコす」
「…なるほどな」
「この前なんかズボン脱いだやついたんだぜ?種族は違うけどレディの前でセクハラされたんだ、これだから人間は嫌いなんだよ」
ケッ、と吐き捨てるように言い放つ。
「あのさ、サキュバスって何食べるんだ?」
「あ?雑食だよ、テメェら人間と同じ」
「精気とか聞いたことない?」
「おとぎ話で読んだよ、なんでも人間のオスが持ってるメチャクチャ美味いものらしいな、アンタも持ってるんだろ?出せよ」
うっとりと言った。
「…あのな」
すると、ドタドタと子分が入ってきた。
「ミゼリア親分!」
「あん?何だテメェら」
「人間生け捕りにしたってことは、あの時の約束、果たしてくれますよね!」
「約束なんかしたっけか?」
目をキラキラさせて詰め寄っている。
「とぼけないでください!何百年と生きているミゼリア親分は精気の吸い取り方はマスターしてるって言ってたじゃないですか!」
「あ、ああ…言った…っけ?」
「美味しい精気を食べさせてくれるって言ってましたよね!お願いします!」
ずいずいとミゼリアの元に寄るサキュバスたち。
対してミゼリアは目をあからさまに泳がせ、適当な反応をしている。
「あ、アタシはもちろん、精気なんか1000人以上食ったことあるさ、でもテメェらにはまだ早いんじゃないか?」
「いいえ!このために、必死で修行しました!」
「お…おう…準備するから、少し出てろ…」
「はい!楽しみにしてます!」
鼻歌を歌いながらとたとた、と出て行く子分たち。
それを見送って、わなわな肩を震わせるミゼリア。
「…はっきり言えよ、私は精気なんか吸ったことないってさ」
「こんなに先輩面しといてそんなこと言えるか!サキュバスが精気がおとぎ話の中のものって思ってて悪いかよ!」
「いやあのな、ミゼリア、お前の人間嫌いの理由にも、サキュバスのイメージとかの問題があるわけで…」
「言ってみろ!さあ、早く!」
すると次の瞬間、扉が開いた。
「ユーリ!欲望を受け入れました!Hしましょう!」
「受け入れんな!抑えろ!」
「邪魔、そこの女どけ」
「ちょ、お前一応アタシたちに捕まってんだぞ!」
ミゼリアを片手で魔王が放り投げる。
「さあHです、サキュバスモードの私に、精気いっぱいください!」
「エメ!待て待て!話を…うあっ…!?」
「んん…サキュバスキメセク最高です♡」
4時間後
「ふぅ…もう1ラウンド行きますか!」
「5回で限界です…許して…」
ぐったり横たわる男と、跨ってぐりぐり腰を振る女。
ちなみにこの女、サキュバスではない。
「だらしないですねぇ♡そこも可愛いところですが」
ふとベッドから外を見ると、ミゼリアが絶句していた。
「ミゼリア?おーい」
目の前で手を振ると、我に返ったようだ。
「精気…精気はどこだ?こんなグロテスクでおぞましいことをしたのだから、美味いのだろうな!」
「グロテスクって…あのな、普通に子供作る時とか…」
言い終わる前に魔王が割り込んできた。
「私のココに、いっぱい詰まってますよ♡」
「エメ、遊ぶな!」
「味見しても、いいか?」
「まあ、お薬のおかげて気持ちよかったですし、いいですよ?」
女が女の股に吸い付くという、かなりアレな構図。
「…」
「どうだ?」
恐る恐る尋ねる。
すると。
「美味いッ!なんだこれッ!?」
「…よかったね」
「ユーリのは、私にとっても格別です!もっとください!」
「あのな、お前はヤりすぎっ!?」
肩を後ろから掴まれる。
「子分たちの分も、出せるよな?媚毒サービスしてやるから」
「いや、無理d」
「交渉成立です!」
固い握手を交わす二人。
「さて、なら、特別にユーリの体を悦ばせるテクニックも教えてあげましょうかね♡」
ベッドに押し倒され、6人ほどの子分が一斉に俺を見下ろす。
「お、お手柔らかに…」
12時間後
死にかけの勇者と、それに群がって仲良く寝息を立てるサキュバスと魔王がいましたとさ。
乱こ(ry回でした。
ネタ?そんなことはございません…たぶん。
12時間ぶっ続けでデキる勇者。勇者だから遺伝子残すのも人以上だったりしてw。