ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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ついに故郷に着いた勇者と魔王一行。
旧パーティとはお別れです。描写省いてすみません…。
今回はガンガンシリアスになるかも?


実家挨拶(その6)

俺が行こうとするのを引き止めるヘイジたちと別れるのに時間がかかり、俺の村に着いたのはすっかり日の低くなった夕暮れだった。

 

目の前には、俺が生まれ育った村がある。

「…っ」

なぜか、足が踏み出せない。

「ユーリ、どうしたんですか?」

「俺は、この村に入っていいのかな」

魔王が怪訝な顔をする。

当たり前だ、結界が張ってあるわけでもないし、そもそもこのために長旅をしてきたのだ。

だというのに、懐かしい思い出が頭をよぎって、そのどれもが俺を拒むように感じたのだ。

 

俺とよく遊んでくれた近所の力自慢のおじさん。

 

王国に行くまで一緒に育った友達。

 

母さんを見てもらっていたお医者。

 

何より、母さん。

 

今俺がここに帰ってきて、彼らは暖かく迎えてくれるだろうか?

「エメ、ごめん、やっぱり俺」

振り向くと、魔王は目をじっと見つめて問いかけた。

「何が怖いんですか?」

「…」

「ユーリ、あなたは魔族の側についたのではありません、私だってそうです」

「でも、俺は」

「魔族と人を繋ぐのでしょう?こんなことで怯えて、一体何になるというのですか?」

魔族と人を繋ぐ。

確かにそうだ。俺がここで隠れても、自体は好転しないだろう。

それは理解している。

それでも、それでもやはり。

「…怖いんだ、俺」

自分が情けない。

道中全く予期しなかった不安が、心を暗くしている。

「…仕方ありませんね、なら今からでも前の街に戻って出直しま…」

魔王はそこで言葉を止めた。

俺の背後を緊張した顔で見ている。

「エメ…?」

恐る恐る振り向くと、そこには。

 

「動くな、どちらにせよ貴様らの魔法は奪われているのだ、抵抗は無駄だぞ」

巨大な鉄の塊のような機械と、それを操作する騎士、そしてそれより位の高いであろう紋章を付けた騎士が5人ほど立っていた。

「このザンダ班、ここで勇者と魔王の二名を待ち伏せていたのだ」

「俺たちを、どうする気だ?」

確かに魔法を使おうとしても、魔力が出ない。

「そうだな…王宮まで連れて行けば報酬は上がるだろうが、変な気を起こされて手負いが出ても困る」

そう言うと、リーダーらしき男が剣を抜き、歩み寄ってきた。

「このザンダが、責任を持って斬首してやる」

逃げられない。

肘でつつき、囁く。

「エメ…エメだけでも逃げるんだ、俺は5人相手なら少しは食い止められるから」

「ユーリ、恐らくあの機械が狂うことを恐れて、彼らは鉄砲を持っていないか使うことを躊躇しています」

「なんでそんなこと…」

「ヘイジとかいう男の見せた紙に書いてありました」

「えっ、読めたの?アレ」

「一瞬でしたが」

すると、剣の切っ先が喉に突きつけられた。

「ボソボソ話す時間は終わりだぜ?あとは地獄でごゆっくりどうぞ」

俺は後ろに跳びのき、剣を抜いて男のそれを弾いた。

「エメ、逃げろ!」

男と向き合ったまま叫ぶ。

が、なぜか魔王はゆっくり機械の方向へ歩いていた。

「エメ!?」

「ふん、女の方から先に始末してやるよ!」

俺と見合っていた騎士含めて5人。

一斉にエメに剣を持って駆ける。

「エメ!?」

自分を囮にする。

魔王ならやりかねない。

「必ず助け…!」

次の瞬間。

 

一人の騎士が宙を舞った。

 

腹を思い切り蹴られ、鎧がべこりと凹んでいた。

 

一人の騎士が宙を舞った。

 

顔に拳を振り抜かれ、兜を変形させ、血しぶきを吐き出しながら吹き飛んだ。

 

一人の騎士が崩れ落ちた。

 

先にやられた騎士の剣を、鎧を貫通させる力技で腹に突き刺された。

 

三人。

三人もの騎士が魔王に一瞬で戦闘不能にされたのだ。

残りの二人、それと機械を操作する一人は、困惑と恐怖の入り混じった顔でこちらを見ていた。

「え…あ…」

「撤退ッ!撤退するぞ!」

機械も置きっ放しで、そそくさと逃げて行った。

「…弱いもんですね」

魔王は機械を蹴り飛ばした。

蹴られるたびにべこべこに変形する塊。

「よし、魔力も戻りましたし」

暗くなった辺りに、魔王の手に灯る赤い光が輝いた。

「行きましょうか、ユーリ?」

にっこりと笑った魔王。

その顔に、なぜか俺は断れなかった。

「ああ、そうだな…」

剣を構えて呆然と突っ立っている自分が滑稽に思えた。

「エメってさ、色々ととんでもないな」

「褒めてるんですか?それ」

「うーん…まあ、そんなとこ」

そうして俺は、村に入った。

たとえどんな困難があろうと、それでもやはり魔王と一緒にいる。

強いから、とかではない。

「エメ、この騎士たちは、殺してないよな?」

「当たり前です、殺したらユーリ怒るじゃないですか」

「えらいえらい」

今でも確かにみんなの反応は怖いがそれでも踏み出せる。

魔王は俺を見捨てない。

そばにいてくれる。

それが分かったなら、俺に失うものなんてない。

「…結構大きな村ですね、お墓はどっちですか?」

「ん、こっちだ、行こう」

俺たちは墓に向かって歩き出した。




なんかシリアス書くとスカスカになりますね(´・ω・`)反省。
お久しぶりです。
魔王がただただ強い回になってしまいましたw。少しは文章力鍛えないと…。
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