リクエストいつでも募集中( ゚д゚)。
俺は腹の痛みを忘れ、呆然と村人を見ていた。
知った顔がほとんどだ。
その全員から、お帰りなさい、と言われた。
「な、なんのことだ」
すると老人(というかこの村の村長だが)が近づいてきた。
「ユーリィ、お主は昔からちっとも変わっとらん!そんな頭巾でごまかせると思うたか!」
頭巾をするりと剥がれる。
「帰ってくるのにいつまでもこそこそと、その上カッコよく人助けをして覆面ヒーローにでもなろうと言うのか?」
「でも、俺…」
魔王はどうすべきか分からず目をぐるぐる回している。
「あの娘が嫁か?ふむ…」
すると村長はおもむろに魔王に近づいた。
「エメに手は出さないでくれ!悪いやつじゃない!」
すると魔王の手を取り、握手して笑った。
「ようこそ、勇者の故郷のこの村へ、何もないところだが、ゆっくりしていっておくれ」
俺と魔王、二人同時に言った。
「「え?」」
村長宅
「さて、ユーリィ、お主なぜ帰ってきてワシらに顔も見せんかったんじゃ?」
傷の手当てをしてもらい、お茶まで出てきた。
「そりゃ、だって、この村から勇者が出たって話を聞いた時に、みんな喜んでたし…」
「勇者じゃないのか?」
すると魔王が俺の顔を見て首を振った。
「ユーリ…」
「大丈夫、エメだけはなんとかする」
「…」
「俺の妻は、魔王なんです」
「うむ、知っとる」
「「……!?」」
驚いて目をまん丸にしていると、村長が言った。
「そんなことで顔を見せんかったのか?」
「いや、あの、だから、国に認めてもらいはしたけれど、勇者が魔王と結婚するとかおかしい話でしょ?」
魔王に睨まれた。
「ユーリ、あとでたっぷり問いただしますからね?」
「え!?い、いや、そういう意味じゃないんだ!」
「おほん!」
「「ごめんなさい」」
「そういう、仲睦まじいあたり、普通の夫婦となんら変わることではないじゃろう?」
「でも、騎士たちに横暴なことをされていたし」
「ヤツらは元から傲慢じゃ、だから酒には下剤入っとる」
すると魔王ですらも戸惑っている様子で。
「そ、そういう問題ではなくて、ですね」
「勇者が魔王と結婚して、何が悪いッ!ワシはそんなの気にするほど器の小さい男ではないわ!」
逆ギレされました。
宿屋
帰ってきて顔を見せなかったこと、結婚の宴はいつにするか、といった話で、恐ろしく長いお説教をもらい、宿に来た頃には外は真っ暗だった。
「か、変わった村長さんでしたね…」
「…ああ」
二人ともげっそりした様子で扉を開け、ベッドに倒れこむ。
「ダブルベッドですね…」
「なんでもいいよ…もう」
「今日はHする気力もないです…」
「…うん」
それから数分後、部屋ではすうすうと、穏やかな二人の寝息が聞こえた。
6年前の夢を見た。
すっかり忘れていた、母親の死の悲しみで塗りつぶされた暗い記憶が思い起こされた。
村長とした会話、悲しみ、怒り、全て。
「…っ、母さん…!」
「ユーリィ、この村はお主を追い出すことはない、魔王討伐をしなくても、別の道だってあるのだぞ」
「村長、俺は決めたんだ、ずっと前から決まってる」
「確かにお主の父は腕っぷしの立つ男だった、が、何も魔王を討伐しに行かなくてもよいだろう?」
「勇者として選ばれたんなら、勇者として活躍して、みんなに俺の強さを認めさせて、それで…!」
「それで?」
「この村の存在を、母さんとか父さんができなかった分まで、みんなにアピールしてやるんだ」
「これだけは、頼むぞ」
「…?」
「手足の二三本無くなっても、きっとこの村に帰ってこい、顔を見せる程度でも構わんから、棺に入って帰ってくるな」
「分かってる、そのくらい」
「僅かだが路銀だ、持って行け」
「そんなのいらない、施しを受ける必要なんかない」
「施しではない、貸すだけだ、必ず返しに戻ってこい、よいな?」
「…ありがたくもらっておきます」
ふと、頭でニコラの声がした。
「あなたは愛を無下にする天才ね」
「いきなり失礼だな」
「だってそうでしょ?あなた結婚してからも、何度死にかけたと思っているわけ?」
「そりゃ、大事なもののためだから仕方ないんだ」
「あなたの両親も、きっと大事なあなたを守るために命を削っていたのよ、一方的にあなたが怒る資格はないわ」
「でも」
「でもじゃない、村長そんなあなたを心配しているのよ」
「…ごめん」
ため息が聞こえた気がした。
「つくづく、あなたに想われた人は幸せなんだか不幸せなんだか…そうして命を燃やすのは、もうそろそろ卒業しなさいね」
そして、俺は目を覚ました。
「…エメ、起きてるか?いや、起きてないほうが素直に言える」
くぅくぅと寝息を立てる魔王の可愛らしい寝顔を撫でる。
「俺、今までずっとエメのためって言って、かえってエメを傷つけるようなことしてた、ごめん」
魔王は起きない。
「だからさ、俺、変わるよ、本当にエメのこと考えられるように、頑張るから」
恥ずかしかったが、寝ている魔王に優しくキスする。
「だから、その、これからも、側に居てほしいんだ…その、愛してるから、さ…んッ!?んぐぅ!?」
キスした瞬間頭をがっちりホールドされ、ベッドに倒される。
「はぁ、はぁ…ユーリ…えへへ、私も愛してますよ、愛してる同士、確かめあいましょうか」
「今日は疲れてるだろ?な?また今度」
「問答無用です!ユーリの愛を私にぶつけてみてください!」
「待てパンツ返せ、おいそこやめッ…!?」
「うふ♡可愛いですよ、ユーリ…」
その後6時間にわたって、勇者は魔王に(性的に)いたぶられましたとさ。
望郷篇は次回で終わりです、たぶん。
二人の愛は深まる一方ですね…。結局、自暴自棄な愛は控えましょう、ということでした。