次回からは筆者の性癖MAXな人が出てくるので、お楽しみにw。
「「「勇者様!お達者で!」」」
俺たちは村人たちの声を背中で聞きながら、何やら照れ臭い思いで故郷から出た。
指を絡ませて手を繋いだまま、魔王はこちらにずいと寄ってきた。
「ユーリ、お墓参りで言うのも不謹慎かもしれませんが…今回の旅は、楽しかったですか?」
「ん、エメと一緒ならどこでだって楽しんぐッ」
言い終わる前にキスされた。
魔王のスキンシップ(セクハラ)は最近激化してきているような気がする。
いやまあ、気持ちいいし、可愛いけど…。
俺はひっそりと腰をさする。
魔王の性欲は俺の数十倍はあるだろう。毎日襲われて、何とか持ちこたえている。
昨日だって「孫の顔を見せましょう!」とか言って10時間ベッドを共にした。
たぶん俺たちの泊まった民家のベッドはぐしょ濡れだろう。
「なあ、エメ…」
「〜♪なんですか?」
少し口に出すのは躊躇ったが、勇気を出して聞いてみた。
「子供、欲しいか?」
時が止まった。
いや、ニコラじゃなくて。
魔王が笑顔のまま固まっている。
「おーい?可愛い可愛い俺の嫁さーん?」
手を目の前で振ると、顔を真っ赤に染めてうずくまった。
「ゆ、ゆゆゆゆユーリっ!どうしました!?ユーリからそんな話題振ってくるって…ッ!?」
「いや、その、ヤりまくるのはヤってるけどさ?そんなに子供欲しいんだったら、俺もきちんと考えないとなー…って」
するとしばらく沈黙して、うずくまったまま言葉を紡いだ。
「ユーリは?」
「俺?」
「ユーリは、私との子供は欲しいですか?」
「…」
子供はいらない、と言えば嘘になる。
確かに親に孫を見せてやりたいし、それに勇者と魔王の間に子供が産まれたら、それは人間と魔族の共存の大きな架け橋になるであろうから。
けれど。
子供が欲しい、とも言えない。
魔王は話を聞く限り、魔族と人間のハーフだ。
ルビルさんはかなり長生きをしていて、その間に夫に逃げられたか、そんなことを言っていた。
俺と魔王が子をなしても、俺はその成長を見守ることができない。
そして何より、俺が死んでしまえば魔王は一人になってしまう。
物心ついた時から母親一人だけで育てられた身だから、俺にはその気持ちがよく分かる。
母さんはいつも苦労していた。
母さんは働いている間、孤独だった。
俺がいたばかりに。
だから、俺は。
「…俺、は」
頭の中がごちゃごちゃだ。
何も分からない。整理がつかない。
「ユーリだって、悩んでいるでしょう?」
魔王は苦い笑みを浮かべていた。
同じことを考えていたのだろうか。
「エメ、子供ができても俺は」
「ユーリは私よりずっとずっと短命です、アシンちゃんにお願いしても、不死の刻印を刻んでも、それでもやはり私と添い遂げることは難しいでしょう」
「…ごめん」
魔王が優しく笑って立ち上がり、また俺の手を握った。
「謝ることではないですし、謝ってもどうにもならない問題です」
「子供がいれば、俺がいなくなっても寂しくないだろ?」
「お母さんは、私の父親がいなくなった晩はずっと泣いていました、本当に、ずっと」
「っ…」
「魔族と人間というのは、子供を作りにくいです、霊力的な確率だけでも1%あるかどうか」
子をなす確率というのは、精が女性の腹部の玉に結合し、そこに神の霊力が加わって産まれるものだと言われている。
つまり、人と構造も違う魔族は結合もしにくく、相対的に妊娠の確率は1%よりずっと低い。
ただ1%という確率は、少ないようで大きい。
なぜなら。
「エメ、俺はもう100回は中に出sぶッ」
すると頭を叩かれた。
わりと、結構強めに。
「こほん、マジメな話をしています」
「…ごめん」
「それで、です」
魔王は不意に俺を抱きしめた。
「私は、はっきり言ってしまえば、子供を宿すことが怖くてたまりません…」
「…怖いって、なにが?」
「出産ももちろんそうです、でも、その前に」
一回短く息を吸う音が聞こえた。
「ユーリの目が、私から離れてしまうような、そんな気がしてしまうんです…」
抱きしめる手に力が入り、強く体を密着させる。
俺を離すまいとするように。
「ユーリ、私は、あなたを守るとは言いました、なのにこれまで、他の女に盗られかけてばかりッ…!こんな私では、ユーリが自分の子供に夢中になって、この距離が遠ざかってしまうんじゃないかって…」
「…エメ」
「醜いでしょう?気持ちが悪いと思いますよね?でも、それでも私はあなたを離したくない…っ、たとえ子供でも、ユーリの目が別の女に向くのを見るなんて、できません…!」
魔王の肩に手を回す。
優しく抱き返す。
「エメ、大丈夫、俺はエメだけ、ずっとエメだけ愛してる、こんな口約束じゃ信用できないと思うけど、それでも約束できる」
「ユーリ…」
「だからさ、その…子供が欲しくなったら、いつでも言えよな…」
なんだか自信満々な自分が恥ずかしくなって、目をふいと逸らす。
口元に、一瞬だけ柔らかい唇の感触があった。
「ふふ、じゃあユーリがその気になった時の子作り、楽しみにしていますね♪」
「お手柔らかに…」
「30時間はぶっ続けですよね♪楽しみ♪」
「え゛」
「うふふ…ふふふ…むふふふふ…♡」
帰りの馬車の中、俺と魔王は沈む夕日をただ見ていた。
言葉もなく、がたがたとした揺れと、互いの温もりだけを感じて。
「あのさ、俺たちの子供が息子だったらどうするんだ?別に俺はそっちじゃないし…」
「息子でもユーリが構ってくれなくなれば、許しません」
「手厳しいな」
「当然です、それに、魔王族は娘しか産まれてませんし」
「ふうん………え?」
「聞こえませんでした?魔王族はこれまで男の子が産まれたことなんてありませんよ?」
「なんだそれ!聞いてないぞ!」
「あ、言ってませんでした?ごめんなさい」
「…子作りは色々と不安だ」
「私は楽しみですっ!」
「はいはい…」
その内一戦おっ始まって、案の定運転するウルスラはぐったりとしていましたとさ。
某所
「…なんだか急にストレートティーが飲みたくなったわね…」
「騎士の休憩所にコーヒーはあったでござるか?」
「う、うぷ、口の中が甘ったるくなりました…」
「あの魔王サマの旦那来てくんないかなぁ…精がほしい…口の中が砂糖の味するし…」
「ユーリ君…久しぶりに会いたくなったなぁ」
「スクープの匂いがするけれど、今日はやめておきましょう…どっと疲れましたわ…」
「ふぇぇ…甘々ですよぉ…」
今回にて完結です。
次回からはオリキャラ編ですが、常時リクエストは受け付け中!