ヤンデレ魔王に追い回される日々   作:パ〜ム油

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雪編最終回!
とか言いつつも、また出てくると思われます。


勇者の危機(その後)

「…私は怒ってなどいません、本当に」

「…」

「あなたのような汚らわしいモノに、ユーリが触れられる」

雪の目の前をすたすたと歩き、胸ぐらを掴む。

「そんなことに戦慄が走っているのです、よッ!」

雪が壁に叩きつけられる。

叩きつけられ、力なく体を壁に預けたまま、言い放った。

「妖刀に駆られて、あなたの夫に無礼を働いたのは、確かに非道なことです」

決して目から敵意の光は消えていなかった。

「しかし、今の私もやはり主様が好きです、こればかりはどれだけ殴られても」

乾いた音が響く。

「…殺す」

「お好きに、けれど貴女は私を殺せない」

魔王は禍々しい印の刻まれた鉈を振り上げる。

「彼の中に私は残る、それが妖刀によって歪められた私だとしても、きっと彼は…」

その時。

 

「エメ!どこだ!?」

声が響いた。

「…っ!」

今魔王たちのいる魔王城地下牢、そこにある処刑部屋はあまりに異質な雰囲気だ。

おまけに公開処刑のために、声は筒抜け。

「エメ、もしかして処刑部屋にいるのか!?」

「来てはいけません!ユーリは大人しくケガを治していてください!」

「…」

ドアノブがガチャガチャと動く。

「鍵を開けろ!」

「ダメです、開けません」

「開けないと…」

「何をされても、開けません!」

「嫌いになるぞ」

「今すぐ開けます!」

 

2時間後

「エメ、理解してくれたか?」

「…違いますよ」

「あのな、あれは妖刀のせいであんな風になってただけで、別に雪が悪いわけじゃないんだ」

「違います!この女はさっき言いました!今でもユーリのことを好きだと!そうでしょう!?」

肩を強く掴まれた雪は、俯いてぼそぼそと言った。

 

「…いいえ、私は主様のことを、もう全く好いてはいない」

 

「この女ッ!」

魔王が手を振り上げる。

が、勇者に取り押さえられる。

「もういいだろ!これ以上雪を拘束していたら、ヤマトの国から顰蹙を買うぞ!」

しばらくの沈黙の後。

「…分かりました、消えなさい、二度と姿を見せないで」

雪はよろよろと立ち上がり、夢でも見ているような足取りで魔王城から出て行った。

 

 

「…」

ふらふらと歩く雪を、俺は窓から眺めていた。

地下牢に何日も飲まず食わず。

あんな状態では倒れてしまう。

と、考えている側から地面に倒れ伏した。

「…はぁ」

俺は外に駆け出す。

後で魔王にどれだけヤられるのかなぁ…。

 

 

「…チッ」

倒れた女とそれを追うユーリを、私は城の裏庭から見ていた。

ユーリはきっと、助けるのが遅れていてもあの女の元には行かなかっただろう。

しかし。

「ユーリが手元にいないのなら、心は繋がっていても私は寂しくて死んでしまいそうです…」

ベンチの上で思いっきり伸びをする。

「…お姉ちゃんも、中々に詩人だね」

「ぶっ!?マリン!」

ニタニタしてこちらを見るマリン。

「…お兄ちゃんは、フェロモンみたいなの出してるからね」

「メスの寄ってくるフェロモンなんて、ユーリには必要ないでしょうに」

「…おまけに優しすぎる、だから損をする」

「ユーリはいくらそうして自分で損をしても、それでもズタズタの状態で笑うんです」

言っている内に、涙がこぼれた。

「…お姉ちゃん」

「私は、いくら強くなってもやはりユーリを守りきれません」

「…」

「それでも、それでもユーリを…」

 

 

「…主様、すまぬ」

急いで雪を助け起す。

「平気か?ほら、このカバンに、水とご飯とちょっとだけだけど、路銀があるから」

カバンを押し付ける。

しかし、雪は受け取らない。

「雪?」

「どうしてこう、主様は酷い人なのかのう…」

「え!?す、すまん、魔界の米嫌いか?」

急いでカバンを持つ。が、その時。

「主様、これで最後じゃ」

「え?」

抱きしめられて、唇に柔らかい感触が当たる。

「…!」

「これだけ、言わせてほしい」

ぽたぽたと涙を零して雪は言った。

「わらわは主様を好いておる、身請けではない、これは正式なプロポーズとしての言葉じゃ」

そして、涙の伝う口が開く。

「わらわと、共に」

俺は、なぜか感じた。

 

「これ」を言って、尚且つ断られたら彼女は一体?

 

「雪!」

言葉を遮って、まっすぐに目を見つめる。

「…?」

「ヤマトの国はいい所だった、そこを治める雪を、俺は尊敬している」

「主様からの尊敬ではない、わらわは愛が」

抱きしめて耳元で囁く。

 

「だから、俺がエメとケンカして、顔も見たくなくなったら雪の元に行く、約束だ」

 

すると、雪の目に光が戻った。

「うぅ…ずるいのう…そんなこと言われては、引っ込みようがないではないか」

「な?その時には何でもしてやる、だから今日のところは…」

「主様に、な、なんでも…!?」

食いつく場所は不思議だが、とりあえず落着しただろう。

「分かった、わらわは主様があの女とケンカするまでは、決して死にはしない!」

「あ、ああ…」

 

 

「誠にすみませんでした」

「…」

ここは地下牢…ではないが、それくらいに重い空気の漂う魔王の部屋だ。

「あれは事故だ!俺からキスしたんじゃない!」

「ふむふむ、ならあの女は殺してよいのですね?」

「ごめんなさい俺が無防備でした」

「…はぁ」

魔王が呆れたような、それでいて優しい目でこちらを見る。

「仕方がありません、今日は6回で済ませてあげます」

「本当か!?」

「ええ、骨折以上のケガを負わなかっただけでも、それだけでも無鉄砲なユーリには進歩でしょう」

「ごめんなさい」

 

 

寝室で、俺は震えていた。

確かに今日魔王とは6回で済むのだ。

しかし。

「…お兄ちゃん、さっさとお尻上げて?まだ9発だよ?」

自分の興奮の顕れを俺に押し付けるマリンちゃん。

「マリンってば、さすがは私の娘ね♡」

俺の汗を舐めて笑うルビルさん。

「ぐぬぬ…ユーリ、もう一回ダメですか?」

べたべた貼り付いてくる魔王。

「か、勘弁してくれ、もう穴という穴が…」

「…喋れるなら、まだイケるね」

「ええ」

「ですね」

 

次の日、股間の痛みと恐ろしい下痢で寝込みました。




4Pエンド…イイネ!
雪は陰が薄いですが、これから関わってくる…はず…たぶん…。
次はヤンデレ吸血鬼こと、ミラが出てきます。
乞うご期待( ^ω^)。
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