あ、あと新キャラも出てくるかも?
勇者の公務(その1)
「…ん?」
「ユーリぃ、もうこんな時間ですし、ヤr…寝ましょうよ」
ウルスラがハザラの街に行ったついでに、人間側の情勢を伝える雑誌があったと言って買ってきてくれた。
しなだれかかってくる魔王を押しのけながら平凡な情報の書かれたページをパラパラめくる。
その中の一葉に、あることが書いてあった。
「ヴァール国王子自ら職業体験!?幼き王の献身的政治に賛否両論!」
「エメ、これ見てくれ」
「え?なんですか?」
そのページをざっと見て、魔王はわなわな震え始めた。
「ユーリ、まさか」
「俺も職業体験をしたら、少しは魔界の政治もわk」
「いけませんッッ!!」
魔王城が揺れるほどのボリュームで魔王が叫ぶ。
ズバンッ!とウルスラの部屋から壁を叩く音が聞こえた。
「え、エメ」
「ただでさえ惚れられやすいユーリが外で働く!?そんなの許しません!欲しいものがあるなら何でもあげますから、そばにいてくださいよ!」
「エメ、俺はこのまま魔王の婿に甘んじていたら、己の存在する意味を失ってしまう、仕事がないと」
「じゃあ今から仕事です、私を癒しなさい」
ベッドに押し倒される。
が、この展開は分かっている。このまま足をかけて逃げ出せばこちらのものだ。
「あのなエメ」
プシュッ、と謎のスプレーをかけられる。
次の瞬間、猛烈な股間の暑さに襲われた。
「うッ…ぁ!?」
「レッツ、キメセクです♡」
「はッ!」
意識を取り戻した時、俺は魔王と合体して一心不乱に腰を振っていた。
「ユーリぃ…もうお腹たぷたぷですぅ…」
びちゃっ、べちゃっ、と水音が鳴り、腰が当たるたびに水っぽい感触の白い液体が接合部からこぼれる。
「うあああああああ!」
一気に抜いて逃げ出す。
部屋を出た矢先、そこには。
「ユーリ…ィ…様……」
「ウルスラ、誤解だ、話を聞けばわかるから落ち着いt」
「このような言葉、不謹慎ですが」
目が冷ややかになり、笑顔で言った。
「お掃除するまで、結界張っておきますね」
「「「…」」」
朝食を黙々と食べる三人。
マリンちゃんがニヤニヤしてこちらを見ている。
「…お兄ちゃん、昨晩はお楽しみでしたね」
「なんで知ってるんだよ!」
「あら?図星だったのね、混ぜてもらえばよかったわ♪」
魔王が色々と言いたいことがあるようで、わなわな震えている。
「エメ?」
「ユーリ、分かりました、外で働いてみてもいいでしょう」
「やった!」
「ただし、条件があります」
魔王から出された条件は二つ。
・仕事を紹介する者は、信用に足る人物であること
・公務として、きっちり魔王族のプラスイメージをアピールすること
「…案外普通だな」
「くれぐれも男娼とか、奴隷とかはいけませんよ」
「…」
魔王の目は厳しいが、かすかにニヤけているあたり男娼になった俺でも想像しているのだろう。
「あのな、そんなことしないし、キチンと紹介するやつも選ぶから」
魔王がジト目でこちらを見る。
「ま、いいでしょう、紹介人を探しに行きましょうか」
見るとウルスラが外出の準備を整えている。
「え?」
「ハザラの街に行きましょうか、あそこなら仕事もたくさんありますし」
「エメも来るのか?」
「行ってはまずいんですか?」
「…」
結局断れなかった。
魔王がいては、とてもスムーズに仕事探しができるとは思えない。
「…俗な仕事ばかりですね」
案の定死んだような目で街の店や人々を眺めている。
「エメ、あれなんかどうだ?」
果物屋を見つけたので、提案してみる。
「店主が女性、ダメです」
「…」
そこから俺の提案はことごとく蹴られた。
魚屋
「海に落ちたら危険です」
行商
「サキュバスの地方を回って、疲れたユーリをふらりと連れ込み宿に入れて、犯されでもしたらどうするんですか!?」
坑夫
「コボルトのメスはオスを手篭めにします、坑道の事故よりもメスに襲われる腹上死の方が確率が高いんですよ?」
宿屋
「個室で襲われたら抵抗できません、ダメです、あ、でも見学はして行きましょうか」
男娼館
「そんな下品なッ!……今日のおかずにします」
レストラン
「お皿を割って、体で弁償になったらどうするんですか?」
「ああもう…」
地べたに座って頭を抱える。
ありもしない妄想を吐いては襲ってきたり、その職業をバカにしたりと、呆れるほどに拒否してくる。
「ふふん、絶対にダメです、こんな仕事に就くなんて」
ため息をついて帰ろうとした、その時。
「ユーリィ殿?」
野太い、懐かしい声。
「ヘイジ!」
笑って歩み寄ると、ヘイジは急に土下座した。
「雪姫様にユーリィ殿のことを話してしまって、本当に申し訳ない!」
「…え?あ、あれはもう済んだことだから!」
「ふん、あんなのもう顔も見たくありません」
「何か拙者にできることはないでござるか?何でもやるでござる!」
足にすがりつくヘイジ。
人がわらわら集まってきてしまった。
「ユーリ、早く蹴飛ばすなり見捨てるなりしないと、このままでは魔王族にマイナスイメージが…」
「と、とにかく家に帰って話そう、な?」
頭を下げ続けるヘイジをなんとか魔王城に連れてくる。
「落ち着いたか?」
「…すまぬ」
紅茶をすするヘイジ。
ふとその鎧に、傷が入っているのを見つけた。
「その傷は?」
椿の花の文様をつぶすように付けてある傷。
「ああ、雪姫様に付けられたのでござる」
「雪に?」
「ユーリィ殿の情報を仕入れるまで帰ってくるな、と、それが拙者の今の仕事でござる」
少し落ち込んだ風に言った。
「仕事…あ、そう、それだ」
「?」
「ヘイジ、仕事を紹介してくれないか?」
ヘイジは思ったよりも魔界にパイプがあった。
そして、俺は特大の爆弾を探し当ててしまったのだ。
魔界出版社
「奴隷さんが私の会社に来るの!?ふふ、急いでおもてなしの準備ですわ!」
「い、いえ社長、奴隷とかじゃなくて勇者様ですよ!」
「そうでしたわね、さ、お仕事しましょう♡」
新キャラは次回になります。
キャラ出しすぎて、皆さんがパンクしないか心配…。