「そらッッッ!!!!」
ランサーの薔薇のような朱槍はセイバーの命をもぎ取らんと穿たれる。
「フンッッッ!!!」
だがセイバーは其れを難なく、しかも真っ向から肉体で受け止めた。
「この程度か?ランサー」
セイバーはランサーを挑発するように不敵に笑う。ライダーの宝具を無効化し、ランサーの渾身の一撃を受けているのに、なんのダメージもないように不敵に笑う辺り本当に余裕そうである。
「てめぇこそ目離した隙に心臓なくなってるかもだぜ!」
ランサーは無敵のセイバーに怯むことなく果敢に立ち向かっていた。
その横でシンジは、化け物同士の打ち合いにただただ圧巻されるばかりであった。
「よし!ランサーが時間稼いでる間にバーサーカーを運ぶわよ!」
「到着したぜいワカメ〜〜」
吹き飛ばされたライダーを抱えたユウサクとリンが駆け寄ってくる。
「おお、みんな……やっと来たのか……」
あのどうにもならない化け物に殺されて終わりというENDはどうやら避けられたみたいだ……
「何で泣いてんの?しかもなんか臭いし……ズボンもビチョビチョ、ってまさかあんた……」
「うわっ……」
はい……そうなんです。あまりの恐怖に漏らしてしまいました……
「ドン引きだわん」
そう小声でバーサーカーが呟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「うわ〜すごいのじゃ〜」
黒いバイクは騎士と少女を乗せ荒野を駆ける。何だかツーリングみたいで心地良さすら感じる。
「フッ、あまり褒めるなマスター」
最近殺されたりだとか、殺されたりしていたので、束の間の息抜きとしてセイバーとこうして触れ合うことで心が休まっていく気がした。
「マスターあれだろうか?」
そこには遠目から見ても分かるほどボロボロに破壊されまくったコンテナと高速で武器を打ち合う戦士2人が見えた。
ーーーそれを確認した瞬間。
黄金の何かが自分達に向かって飛来するのを感じた。
「マスター危ないッ!」
セイバーの直感スキルによりバイクから蹴り上げられ、なんとか無事脱出に成功する。地に転がり落ちるや、すぐさま立ち上がりわしはすぐさまセイバーと乗っていたバイクの跡地を確認する。
陽炎のようなものがうっすらと見える。バイクの残骸から発生したものであろうかと思われた。
だがそれは違った。
陽炎を纏っていたのは人間だった。
陽炎の正体は、黄金の鎧を纏う美少年であった。
美少年は顔のひとつも動かさずに言った。
「マスターからの命により、お前達を排除する。悪く思うな」
そう告げると、間髪入れずその男は黄金に輝く槍で私の命を奪い去ろうとする。
ーーー速い、速すぎる……!
瞠目することしか出来ず、体を動かせぬまま斬られると思われたその時目の前を黒い剣が甲高い音を立てながら通過する。
「なかなかやるな。」
なんとかセイバーが、わしの首を跳ねるとこだった槍を間一髪大剣でギリギリ防いだようだった。
「だがーーーー」
黄金の少年は何かを言いかけながらセイバーを蹴り上げ吹き飛ばす。
なんだこいつ……!?速いし力もある……
いつの間にか黄金の少年は空中に居た。
ーーー日の輪よ……
黄金の槍は陽炎を纏う。
このままではマズい、と本能が告げていた。
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財閥の本拠地大神殿ーーー
ここには欧米財閥当主、グレイ・ヴィスタリオ・ハーウェイに雇われたマスター達が集合していた。
「おや来ましたねシロウ!」
レオが手を振ってこちらに合図をする。レオは私が財閥に入ってからの私の親友であり、またこの聖杯戦争においてセイバーのマスターでもあった。
「身支度に色々と時間がかかってしまいまして……それよりあの人達は?」
にこやかに笑いながら返しつつ、獣と人間を混ぜたような2人組の方を見やる。
「ああ、アレは時計塔の権威者であるシムラ氏の助手達らしいね」
なるほどしかも魔術回路の反応も確認できる……なかなかに面白そうだ。
この獣のような人間も今回の聖杯戦争のマスターであるということか、と自分の中で納得する。
そんな風にオレ達が獣人のマスター達の物色をしていたところにその男は現れた。
「おっとっとォー!遅れて申し訳ないね……グレイ!!!新作のゲームをプレイしていたらいつのまにか集合時刻だったようだ!!!」
その場にいたマスターは突如現れた謎のおっさんに唖然とする。その男の、場に似つかわしくないふざけっぷりに当主としての威厳を保っていたグレイもおもわず顔を緩め、
「まったく君ってやつは……後その格好はなんだね……?」
「うん、これか?!これはだな!!!この場にふさわしい正装と言うべきかな!!!ハハハハハ!!!!」
名探偵コ○ンのコスプレをしている、還暦に近いであろうオッサンは一気に場の視線を一つに集める注目の的となった。
「ハハハハハ!!自己紹介が遅れたなァ、マスター諸君!!!我が名はシムラ・バッカトーノ」
男がその名を放った途端マスター達が騒つく。
「ハハ、アレがシムラ氏か……」
レオの澄み切った碧い瞳はおどけた老人をなんの疑いもなく見ていた。お坊ちゃん体質のレオにはこのシムラの黒い噂も知るはずがないだろう。
シムラ・バッカトーノ、この男はおどけた態度をしてはいるが死霊魔術の第一人者でありながら、時計塔で魔術回路医療のスペシャリストでもあるというトンデモ経歴の持ち主である。
だがその輝かしい経歴の裏には、ある噂が立ち上っていた。
シムラ・バッカトーノに関わった人間の多くが行方不明となっているのだ。
魔術師という、権力に大きく関わりのある職業上行方不明というのは実はよくあることなのだが、キャスター曰くどうにもこいつはいなくなる周りの人間の数が異常らしい。
「そ……なわけで……は一つ……」
考えことしてるうちに当主の話が始まってしまっていたようだ。どーにも昔から爺さんの長話は好きになれないので真面目に聞く気は最初からなかった。
だが次の瞬間、グレイの表情が興味深いものになった。
グレイは苦虫を噛み潰したような顔をしながらトンデモないことを言い出す。
「我々が所持していた大聖杯はレジスタンスに盗まれた!!!!!!」
マスター達からどよめきがあがる。
「それはどういうことなんですか!グレイ当主!」
「話が違う!!!!!」
多大なざわめきと共に抗議の声がグレイに向けられる。
当然だ。大聖杯がなきゃそもそも聖杯戦争してる意味がない。ここに集まったマスター達の言うこともよくわかる。可哀想に。
ーーーああそうだったそうだった。大聖杯が財閥の手から零れ落ちたのはオレのせいだ。
財閥のマスターは混乱し、顔を歪める。親友のレオはオロオロしながら近くにいる他のマスターを宥めている。当主であるグレイは威厳を失うのも構わず、怒号を放つ。
そうーーー全ては自分の仕業である。
嗚呼、嗚呼。余りの快感に自分の脳味噌は機能をほぼ停止し、快楽を貪り喰らう傀儡となる。
嗚呼、嗚呼。ーーーまさに
嗚呼。嗚呼! ーーーこれこそが
ーーー愉悦。
ーーーーーーーーーーーーーー
止まらぬグレイへの抗議に幕を下ろしたのはシムラだった。
「おいテメェら黙ってなウチのグレイちゃんが困ってるだろうが」
いつの間に壇上に上がったのか、シムラは会場に一喝を浴びせ、グレイの方を向く。
「要するにアレだな?大聖杯を盗んだであろうレジスタンスを潰せってことなンだろ?」
肯定の動作を返され再度こちらを向く。
「ハッキリ言って今回の件は余裕だろ?なんせ俺たち財閥は考えうる限りの最強のサーヴァントをそれぞれのクラスに召喚することに成功してるからな」
シムラの演説によって場は静まり返り、一気に注目を集める。どうやら魔術の技能だけでなくカリスマも持っているようだ。
「レジスタンスの古い魔術師を抹殺し、大聖杯を取り返す。」
グレイがシムラに便乗し告げる。
「これが最初の任務である!!!」
さっきまで財閥のマスターの士気が上がっていたような気がしたが、そんなことはなかった。
グレイとかいう爺さんは指導者にあんまり向いてないタイプだな。まあでも今レジスタンスのマスター達が殺されるのは少し困る。
このままだと財閥が集めた一騎当千の英雄達に本当に抹殺されてしまうだろう。
手を貸してやるか……
同じ時、同じ場所にいるキャスターも同じことを考えていた。
どうするの、と私がシロウにアイキャッチを送ると
シロウは不敵に笑った。
なーんだやっぱり悪巧みしてるか。
でも付き合ってあげる。
私シロウのサーヴァントだもの。
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大神の日記 日付(○にち△にち)
しにたい
ただしにたい
シムラにゆうかいされてからだをいじくられて
きづいたらからだはけものになっていて
きづいたらシムラのてごま
もういやだ
しにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたいしにたい
帰りたい。帰りたい
かえらせてよ
グレイが幼女だったら可愛いんですけど
残念ながらグレイはお爺ちゃんです
material
財閥のランサー/番号12(アミメキリン素体)
スキル
貧者の見識A
騎乗A
無冠の武芸
魔力放出(炎)A
神性A
宝具
日の輪よ具足となれ(カヴァーチャー&クンダーラ)
ランク A
黄金の鎧の宝具。
ランサーがこれを着ている間は一部の宝具が制限される代わりにダメージをほとんど通さない無敵の鎧になる。
(ただし露出している部分は少しだけダメージが通る)
真名 カルナ
解説
マスターの魔術回路が産まれつき虚弱なため宝具を一部しか開放出来ず全力を出せないにも関わらず、セイバーを追い詰めるほどの実力者。
別名「施しの英霊」