fate/sand rock   作:挨拶番長

15 / 32
5話 奏でるトロイメライ

5話

 

金色の青年の槍は炎を纏い、今にも

わしとセイバーを焼き殺そうとしていた。

 

「ぐっ...」

 

ーーーここで終わりか...!

 

そう思ったときだった。

 

ぷすっ、と軽い音がした。

 

その音と同時に、

 

 

槍を構え私達を殺そうとしていた槍兵は体勢を崩し、地に落ちかけた。

 

 

「なッ...!?」

 

 

なんと鉄の矢が槍兵の心臓を貫いていたのだ。

 

槍兵はすぐさま体勢を整え、辺りを見渡す...

 

だがここは真っ平な荒野、弓兵に隠れる場所などはなかった。

 

ぷすっ、鉄の矢はまた槍兵の身体に刺さる。手始めは槍を持つ右手、次はアキレス腱、と言った風に槍を刺さる場所は槍兵の動きを止めるのには的確だった。的確過ぎた。

 

「些か分が悪いか...」

 

ランサーはすぐさま霊体化し、その場を去った。

 

助かった...マジで死ぬかと思った...

 

ーーーブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

人を馬鹿にしたようなエンジン音が突如響き渡る。

 

「ーーーよう。お嬢さん...」

 

ゼファーに乗ってきたひよこ頭のコスプレ男はまるで耳の中に虫が這いずり回るような不快感を伴う声で、私に手を伸ばす。

 

伸ばした手は仄かにおとこのこの匂いがする。手ぐらい洗えよ...

 

「おい何者だ!ちん...ひよこ頭!」

 

ひよこ頭はおもむろにサングラスを外し答える。

 

「オイオイせっかくお前さん達を助けたのによォ...そんな態度でいいのかい?もっとさァ...感謝とかあるだろ?」

 

あの槍兵を退けたのはこの男だったのか...

 

「その点については感謝します...ありがとう...あの...名前とか聞いてもいいですか?」

 

「そうだなぁ...オレの名前はァ...」

 

「銀ちゃんとおまん...」

 

といいかかけた途端、ぷすっと軽やかな音がした。

 

先程槍兵を射抜いた鉄の矢は、今度はひよこ頭のイカ臭い男の頭部をぶち抜いた。

 

この男の死を悲しむより先にうわぁ...などという間抜けな声が出たのはセイバーと私の秘密である。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よっしゃあ!シンジとバーサーカーは確保!離脱するわよ!!!!あんた達」

 

「鈴木が何故かいないけどいいのか?」

 

「飯食って寝るだけの役立たずはこの荒野で北◯の拳のモブのような生活をしてもらうことに決定したわ!」

 

ああ...リンも相当頭にキてたんだなと察しのいいユウサクは思った。

 

ちなみにユウサクもひよこ頭に出て行ってもらうのは大いに賛成だった。

 

というか北◯神拳でも南◯水鳥拳でもいいから裁きを受けて欲しかった。

切実に。いや本当に。

 

だってアイツ喋れば恐らく96%嘘であろう自分の武勇伝を話し出すし、黙ってればひよこ頭がアンニュイでなんか腹立つし!!!あーこんな時にはライダーに慰めてもらおう。

 

「ってアレ?銀髪の女の子と黒い騎士は?」

 

「ああ彼らならね。君たちがランサーと交戦しているところを襲撃しようとしていたセイバーから君達を助けに向かったようだよ。」

 

「...?私達が交戦したのセイバーだけど」

 

「おや...?分断の壁の護り手のランサーに追われているシンジを助けに行ったと鈴木康史くんから聞いているが」

 

「はぁ...あいつ...というかキャスターもアイツのいうこと信用するなよ...」

 

「おやおや私としたことが...」

 

キャスターはコーヒーを口につけながら落胆する。

 

「君達がランサーとセイバーに抹殺されるかと思って心配して損したよ」

 

「となるとランサーと銀髪の子が闘ってるのかしら?」

 

「そうなるな」

 

「それじゃあ回収に行くとしますか!!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

マスター集合の儀が終わった私は部屋に戻り机の前に置かれたナイフを見つめる。

 

『これはアゾット剣だ。武器などを持てない未熟な魔術師の君にプレゼントとして差し上げよう。』

 

そう言ってシムラが私に渡したのがこのナイフだ。

 

だがこのナイフは私の瞳には魔術師として闘うための武器としては写らない。

 

「今」から逃れるための鍵...

 

私の喉元にぴったり刺さるような鍵としてしか見れなかった。

 

ゴクリ。アゾット剣と呼ばれるナイフを突き立てる。

 

今やっと死ねる...そう自分に言い聞かせる。死ぬのなんて怖くない...獣として自分を失うことに比べたら死ぬことなんてッ...

 

よし。決心はついた。

 

ーーーごめんライダー。

 

こんこん。ノックがした。

 

「魔術師とアミメと申します。

此度の聖杯大戦において同じ陣営のマスターとして挨拶に参りました。」

 

っ...!私は動揺し、アゾット剣を机にしまう。

 

「は...入って...どうぞ...!」

 

「あ...お邪魔しまーす...」

 

「あら?お取り込み中でした?」

 

「いや...ちょ...あの...」

アミメは不敵に笑う。

 

「自殺するつもりだったんですか?」

 

ーーーえ?なんで...

 

「魔術師が集合した時も顔色が良くないようでしたし、何よりーーー」

 

「日記落ちてました」

 

頭に血がのぼる気がした。

カーッと顔が赤く火照り、なんだかテンパってしまった。

 

黒歴史の塊みたいなものをみられるなんてええええええ!!!!!

 

うわうわうわうわうわ

 

どうしようどうしようどうしよう

 

「先生...先生って呼んでいいですか?」

 

テンパりながらも私は答える

 

「え、どうして...?」

 

「机の上に原稿用紙と立派な筆ペンがある。立派な物書きなんでしょうね。きっと...」

 

そう言ってアミメは机の方に向かった。

 

だがアミメが目指したのは机ではなくその隣にあるピアノだった。

 

アミメの恐ろしいほど美しい指は、優しく上品な旋律を奏で始めた。

 

ーーー優雅、という二文字では表せぬほど優しくきらびやかな音は夜風に乗り財閥の敷地に響き渡る。

 

トロイメライは2人の奇妙な出会いを祝福するようであった。

 

 

END

 

 

 




「あっあれ見ろ!凛!」

ユウサクの指差した方向にはひよこ頭が頭を射抜かれて倒れていた。

「セイバー...さっきからずっとこいつなんか変なこと言ってる...」



「止まるんじゃねえぞ... 」

material

ライダー/ユウサク

スキル

騎乗B
対魔力A
単独行動B

宝具

触れれば、転倒!(トラップオブアルガリア)

槍の宝具。真名解放によりサーヴァントの脚を霊体化させ、足止めをさせる

破却宣言(キャサー ディ ロジェスティア)

ある魔女から譲り受けたあらゆる魔術を破却する魔術書

所有するだけで対魔力Aを得る。

真名解放で固有結界や大魔術すら打ち破ることが可能。

この世ならざる幻馬(ヒポグリフ)

グリフォンと馬の間に生まれた幻獣

アストルフォの足として使われる事もしばしば

恐怖呼び起こせし、魔笛(ラ ブラック ルナ)

笛から 超音波を引き起こし、敵を撹乱させる。使用時はライダーを取り囲むくらいの大きさになる。

?

ランクEX

ライダーの切り札

真名アストルフォ

シャルルマーニュ十二勇士最弱の騎士。

理性が蒸発しており、暴走することもしばしばだが

彼の中に芽生える騎士道は本物である。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。