fate/sand rock   作:挨拶番長

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11話 無銘の亡霊

11話 無銘の男

 

 

「シムラ氏無茶ですよ...ハッキリ言って素人の大神を向かわせるなんて...ハッキリ言って自殺です...!」

 

 

網目は必死に私の措置への抗議をしていた。

 

彼女が私のためにここまでしてくれるのは嬉しいが...

 

 

「大丈夫です...網目さん...あの私は大丈夫だから...」

 

 

それらのやりとりを聞いてシムラはめんどくさいと言った感じでおどけた後にこう言った。

 

「100m5秒、握力160キロ、視力はアルプスに住む羊飼い並み、魔力数値はベテランの魔術師と拮抗するレベル。もちろん魔術による肉体強化補正なしの数値でだ。これほど戦いに対して優秀な人間を戦場に出さない理由がない。」

 

いやっしかし、そう網目がいいかけたのを右手で遮る。

 

「経験は今から積め。お前らはそういう風に作られた。わかるな?」

 

 

「あと網目尾骶骨から作った起源弾を大神に渡しておけアレがあれば魔術師はなんとかなる」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

凛、ユウサク、シンジらは暗い地下道に来ていた。

 

 

「前偵察した時は粛清騎士が出回ってたはずなんだけどなんか静かね」

 

 

ーーーイタ。

 

 

「財閥の戦力は軒並み向こうに回してんのかもな」

 

ーーー殺す。

 

 

ユウサクが怪訝な顔をして前髪をねじりながら答えた。

 

 

 

「シンジ生体反応は確認できるかしら?」

 

 

ーーー殺す

 

「いや...魔力数値すら全く感知できない...おかしい...不自然に静かだ」

 

 

ーーー殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

「まるで俺たちを待ち伏せているような...」

 

 

ーーーモラッタ。

 

「ッー!?」

 

 

敵の殺気にいち早く気づいた凛はランサーの霊体化を解く。

 

 

「ランサーお願い!!!」 「あいよぉ!!!」

 

「ヒィッッッ!?」

 

シンジはユウサクに蹴り上げられることにより辛うじて襲撃を逃れた。

 

 

ランサーは霊体化し、シンジを殺害しようとしたバーサーカーを感で蹴り上げた。

 

「ウゥ...」

 

霧が晴れたように透明化が解け、敵は姿を現わす。

 

そこに立つのは全身が血のような色をした鎧で覆われた槍兵であった。

 

 

(気配遮断...だが...アサシンのようには見えない...武器から見てランサー?だが敵のランサーは既にアイツが...)

 

「テメェ何者だ...」

 

ランサーが威圧を含めた問いを掛けるが敵は答えない。

 

「ウゥ...アー...サー......ワガ...オウ...」

 

「なるほどマトモに喋れねえってことはバーサーカーか」

 

ランサーは敵のバーサーカーと向かい合う。

 

「凛達は先に行ってろ。片付いたら追いつく。」

 

「ごめんランサー!ほらシンジ立て!」

 

「いや腰抜けて立てない!!!」

 

涙目で訴えるシンジをバーサーカーが無言で担ぐ。

 

凛とユウサクは全力で撤退し、バーサーカーはサーヴァントの足で逃げる。

 

だがこの判断がレジスタンスの致命傷となったことはこの時誰も知る由がなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

銀髪の少女と桜、鈴木は別ルートから侵入を試みた。

 

「あの門から堂々と入るってまじ?」

 

「変装すれば大丈夫だよ割とあそこの警備は手薄なんだ。」

 

桜は貴夫人の格好、キャスターは霊体化できないので老人の格好、鈴木は馬頭にタンクトップと短パン、私は夫人の格好をした桜が動かしている乳母車に隠れた。

 

「うむ。みんな完璧な変装だ。しかしアレだな。前見た時と様子が違う。」

 

もう馬頭に突っ込むのはやめとこう。うん。ダルいし。

 

「様子が違うってなんですか?キャスター」

 

パイプを薫せ、一呼吸置いた後にキャスターは静かに答える。

 

「まるでロンドンのような霧の立ち込め方をしているんだが、前私が潜入した時はこんな感じではなかった。」

 

「そしてこのようなバイオリンの音色も聞こえなかった。そうだろう?そこにいるのは誰だ?」

 

キャスターが杖で指した方向からゆらりと人影が現れる。

 

しかし、人影が持っているものはバイオリンではなく琴の様な弓であった。

 

「さすがですね。この霧の中から私の気配を見破るとは」

 

こいつ...!

 

 

「私はアーチャー、真名をトリスタン」

 

「待て。」

 

そう言いかけたアーチャーをキャスターは遮る。

 

「君は円卓の騎士トリスタンではないだろう?」

 

キャスターの言葉に思わず反応したのか、肩がピクついた。

 

「君は私たちに近づくときに特殊な足の動かし方をしていたね?足音を空気から消し去るような運び方...それは暗殺者のそれだ。加えて、」

 

名探偵は推理ショーに華を添えるように煙を燻らせながら杖で東の方向を指す。

 

「通常街の中に時計塔というものは中心的な場所かつ、目立つ場所に配置するものだ。少なくとも私が前見たときには時計塔はあそこにあったが、今はない。」

 

回りくどい説明にしびれを切らしたのか、アーチャーは問い詰めた。

 

 

「何が言いたいのでしょう。」

 

 

「ここは財閥の敷地に似せた君の固有結界だろう?」

 

 

「ククク...ハッーハーハッ!!!ご名答!!!我が真の名は死曲のハサン!!!」

 

死曲のハサンは霧を巻き上げ、笑い声を上げながら塔へ飛び上がった。

 

ーーーこの霧もこいつの仕業か...!

 

「銀髪くん先に行きたまえ、ここは彼が相手をする。」

 

彼...?彼って誰だ?

 

ーーーヒュン。

と妙な形をしたナイフが風を切った。

 

このナイフは...!

 

 

「黒より深き黒終焉のハサン参る。」

 

 

「それとわしじゃ!」

 

 

アサシンコンビが駆けつけてくれたようだ。

 

 

「お前たちは先に行け。此奴は俺たちが片付けよう。」

 

 

その言葉に甘えさせてもらう形で私はセイバーのキュライッシュオルタに乗って逃げることにした。

 

 

 

鈴木は徒歩で逃げることになった。

 

 

 

が、バイクに乗ろうとした時、

 

 

「I am the bone of my sword《体は剣で出来ている》...」

 

 

この詠唱は...!が、気付いた時にはもう遅い。

 

セイバーが右腕で飛んできた弾丸を跳ね返そうとするが、弾丸は右腕の装甲にのめり込み、

 

 

 

セイバーの右腕は爆散し、千切れになった。

 

 

「ぐぅ...」

 

だがセイバーは臆せず左手に魔剣エクスカリバーを構える。

 

「さすが最優のクラスセイバーだな?オレの弾丸を直接食らって態勢を立て直すとは...チッ...黙って犬死にしてれば楽だったモノを...なんともウザったいものだ。恵まれた英霊というものは。」

 

セイバーは真っ直ぐ黒い男を見つめて答えた。

 

「犬死にはせんよ。無論私の目が光っているうちはマスターも犬死にはさせん。そして貴様は殺す。単純明快だ。」

 

 

 

「クラスはなんだ?アーチャーか?」

 

 

黒い男は何をそんなバカなことを聞く?と言った顔でこちらを卑下する。

 

 

「クラス?ククク...ないよ...私にそんなものはない。強いて言うなら無銘だ。無銘の男(ロストマン)。今のオレにふさわしい。」

言い終え、ロストマンはこちらを睨みつけた。

 

 

「銀髪の少女よ。お前はここで消えてもらう。人全体の意志だ。悪く思うな。」

 

 

 

がらりと空気が変わった。

 

 

確かに今から私は殺される。

 

そう言った説得力を持つ殺気を彼はこの空気に充満させた。

 

ーーーぬらりと。私の影を何かが踏んだ。

 

 

「シィッッッ!!!」

 

 

50mほどあった無銘と私の間合いを一気に詰められた。

 

 

セイバーは左手のみにも関わらず、恐ろしい反応スピードで無銘に斬りかかる。

 

「くッ」

 

無銘はセイバーの魔力の暴力の連続に堪えかねたのか後ろに下がる。

 

 

その隙をセイバーは見逃さなかった。

 

 

ーーー風よ舞い上がれ。

 

 

セイバーから放たれた黒い魔力が無銘に直撃する。

 

一線級の魔力放出スキルを喰らえば幾ら彼でも...

 

 

無銘はまだ立っていた。

 

 

なんだこいつ...もはや機械とかそういう域に達してるぞ...!?

 

 

ふらふらと覚束ない脚でなんとか無銘は地面に立とうとするが、彼はもう立たなかった。立てなかった。

 

 

無銘にやられた右腕を庇いながらセイバーは銀髪の少女を探す。

 

 

「マスターがいない...!?」

 

マスターの気配がいなくなろうものなら直感スキルで分かるはずなのに...!

 

そう思いながらセイバーは直感スキルを使用し、なんとかマスターを探索しようとした。

 

だが霧の中で直感スキルが無効になっているようだ。

 

 

このままではマズイ...!そう思いながらセイバーは走った。

 

 

だが走った先には運悪く、

 

 

財閥のアーチャーが構えていた。

 

 

 

「アーチャー今だ!奴を狙うのだ!」

 

 

舌打ちをしながらアーチャーは弓を穿つ。

 

焚天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)

 

霧を払う勢いで焔を纏った弓がセイバーに放たれる。

 

 

「今貴様らに構っている暇はないッ!」

 

 

「風よ舞い上がれッ!」

 

 

直感スキルを封じられているせいなのか、

 

 

全サーヴァント中最高峰の魔力放出を持つセイバーの魔力放出は、

 

意図も簡単に敗れ去った。

 

 

「くゥッ...相手がアーチャーとはいえやはり左手だけでは無理か...!」

 

 

「随分と私も舐められたものですね。」

 

 

財閥のアーチャーはゆったりとセイバーの前に立ちはだかった。

 

 

「私の邪魔するな。その首が次の瞬間に繋がっていたければな。」

 

 

「フン。火星の亡霊の宝具を喰らい、右腕が千切れておいてよくそのセリフが言えましたね。騎士王アーサーペンドラゴン」

 

 

「私の真名を言い当てるとは。中々だな貴様。」

 

 

「何その高名な剣を見れば、一発です。」

 

 

 

 

「まぁそれより」

 

 

 

 

「ここで死んでくださいよ。」

 

 

 

アーチャーは瞬間移動で、ゼロ距離までセイバーと距離を詰め矢をつがえた。

 

 

焚天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)

 

先ほどの宝具を今度はゼロ距離で放つ。

 

絶対に仕留めるという殺意が伝わる行動であった。

 

 

魔力放出がダメならば...

 

 

「卑王鉄槌。極光は反転する。」

 

セイバーの剣、エクスカリバー・モルガンに膨大な魔力が集まる。

 

 

「光を飲め。」

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガン)

 

 

 

闇光が霧の街を一閃した。

 

 

 

11話 END

 

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