fate/sand rock   作:挨拶番長

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19話 KILLER Queen.

19話 KILLER Queen.

 

 

 

 

「この朱槍は我が王が為に!円卓の騎士パーシヴァル参るッッ!」

 

理性を取り戻したバーサーカーもとい、パーシヴァルは大狼に乗ったライダーに向かい、突撃した。

 

 

「今のうちに逃げるぞ。マスター」

 

消耗したのか、目を覚まさない少女を担ぎ、セイバーは退散することにした。

 

 

(すまない...パーシヴァル!今は頼んだぞ)

 

ランサーの高速の突撃を見て、すぐさま、ライダーは垂直に飛び、回避し、大剣を構えた。

 

 

「神狼よ。我が血鎧と成れ。」

 

 

先程まで黒騎士を乗せていた狼は粒子のようなものに変わり、鎧に変換された。

 

__________だが。

 

 

朱槍のパーシヴァルの「突き」は驚くほどに早かった。

 

 

神速、とでも呼ぶべきか。ライダーの甘えた回避に賺さず、槍を叩き込む。しかし、

 

(固い...!この鎧...ギャラハッドの盾並みに硬いぞ...!)

 

紅い槍は届かない。槍に仕込んである毒すら効いている気配はない。

 

 

(あの鎧はやはり宝具か。だとしたら厄介だ。)

 

 

「珍妙な手を使うな?まるであのクソ魔術師のようだ。」

 

 

大剣をくるっと円状に回し、近付いてきたパーシヴァルをいなした後にライダーは指を三本広げた。

 

 

「お前は三手で終わりだ。」

 

 

「フン。舐めるなよ。女騎士ごときに負ける円卓の騎士ではないぞ。」

 

 

(敏捷さなら誰にも負けない自信がある。幾ら騎兵のクラスといえど、走り負けることはない。)

 

 

「一。」

 

 

(なッー!?)

 

__________1発目。ライダーのクラスとは思えない程の魔力放出で、パーシヴァルを吹き飛ばし、

 

 

「二。」

 

 

__________2発目。そのまま空中に吹き飛んだ槍兵を大剣で突き刺し、

 

 

幻想大剣・神王失墜(バルンスタッド)。」

 

 

__________3発目。ライダーが持つ対軍宝具を槍兵の霊基に直接注ぎ込んだ。

 

(嘘だろッ!?こんなの瞬間移動のレベルじゃねえかッー!)

 

「三発ピッタシだな。バーサーカー。」

 

紅く煌めく鎧は砕け、血飛沫は空を舞った。

 

 

「__________いや四発だ。四発目の引き金は俺だがな。」

 

「貴様ァ...!」

 

 

__________王よ。覚えていますか。

 

 

 

貴族の家を追い出され、帰る場所をなくした私に鎧を与え、居場所を与え、そして「栄光」を与えたアーサー王よ。

 

 

カムランの戦いに参加することのできなかった私を、恨んではいませんか。王よ。

 

 

アーサー王。私にとって貴方は紛れも無い英雄だった。

 

 

憧れだったんだ。貴方は。

 

 

__________そうだ。やっと分かった。

 

 

俺が「虚構」の英霊だとしても。

 

 

俺のこの想いは。

 

 

王への忠誠は。

 

 

「虚構」じゃない。

 

 

「喰らうがいい。彼方の王が持ち得る最強の宝具。何者も阻む事の出来ない星の閃光を。その名も。」

 

 

 

最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)

 

 

 

「貴様。自分ごと焼き切る気かッー!」

 

「この距離で対城宝具は耐えきれんだろう?」

 

「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

虚構英霊(オスカーズ・サーヴァント)私は自分の作品達をそう呼んでいます。」

 

 

シムラの次の目的地への道すがら、グレイ当主は自らの能力について語った。

 

 

「彼らは、実際に存在した真実と、全く存在しない虚構が霊基で混ざってしまったという状態なんです。」

 

 

無精髭をさすりながら、シムラは何かを察した。

 

 

「しかし、そこには軸となる真実と虚構を支える白紙のページが必要というわけか。」

 

グレイ当主は面白いおもちゃを見つけた子供のように無邪気に笑った。

 

無論、シムラが虚構への理解者である故である。

 

「左様。虚構、真実、それらは二律背反というわけではないのです。」

 

 

 

「しかし、君の宝具はまるで二律背反になっているではないか。ウソとホントとがだよ。白紙の人間という支えがある故という理由はあっても、理解は全くできんね。オジさんは。」

 

 

「そもそもウソをつく人間に白紙な奴はおらん。ピカソの絵のようにぐちゃぐちゃで意味のわからん奴ばっかだ。」

 

 

「ンフフーン。生まれついて白紙な人間など、そもそも存在しませんよ。シムラ・バッカトーノ。」

 

 

しまった。そうだったとでもいいだけなリアクションを体全体で取り、爺は戯けてみせた。

 

 

「造りすぎて忘れておった。」

 

 

「さて、そろそろですかな。私のライダーがバーサーカーを殺し終わるのは。」

 

 

「ならさっさと急がなきゃだぜ。」

 

 

そう言うと、初老の爺は肩甲骨を鳥の羽根に変化させ、手招きをした。

 

 

「ほら、早く捕まれ。」

 

 

 

「きもちわるっ。」

 

 

「振り落とすぞ。途中で。いや本当に」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜その頃レジスタンス一同は〜

 

 

 

「どうです。私特製のサンドウィッチは。」

 

 

「うまっ!なんだこれっ!うまっ!」

 

「ランサー...二回も言わなくていいから。うまっ!」

 

「凄いですね。これ山菜を使ってるんですか?」

 

狭い艦内でコトミネシロウ特製の朝食が全員に振舞われていた。

 

「おや。どうしましたか。フジキユウサクくん。」

 

そんな中俺は朝食の前で不機嫌な顔で腕組みをしていた。

 

「食欲ねーんだよ。ほっとけバーカ。アーホ。」

 

「おやおや仕方ありませんね〜。ではライダーくん。食べさせたまえ。」

 

「はいマスター♡あ〜ん♡」

 

ライダーは屈託の無い向日葵のごとき笑顔を向けながらサンドウィッチを差し出してくる。

 

その仕草の1つ1つがあざとい。あざとすぎる。

 

 

「フン。騙されねえぞ。どうせ幻術だろ?」

 

 

「えぇ〜!?酷いなぁ...マスター...じゃ〜あ...」

 

 

「い・ら・な・い?」

 

 

頑なにコトミネ国との鎖国状態を貫いたフジキユウサク国の唇はライダー共和国の人差し指をそっと当てられてしまうだけで、開門してしまった。

 

 

「あ〜ん♡」

 

 

可愛い子にあ〜んしてもらうと言う男の夢。浪漫。此れは何者にも変えがたい幸せである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようユウサクくん。」

 

 

これがホームズの変装でなければ。

 

 

「お前の変装かよォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

「HAHAHA!油断大敵だよ少年。」

 

 

「馬鹿馬鹿ァ!ホームズの馬鹿ァ!!!!!」

 

男の浪漫を破壊した罪への制裁に渾身のチョップを食らわす。

 

 

「甘い!必殺!バリツシラハドリ!」

 

だが、名探偵はお手本レベルのシラハドリをしてみせた。

 

「バリツシラハドリって何!?最早バリツ関係ないじゃん!?」

 

「バリツはね、万能なんだよ。」

 

「意味わかんないんですけど!?」

 

「しかし、このサンドウィッチうまっ...ハッ!」

 

_________視線を感じる。このいやらしい視線は。

 

「へェ〜ッ...美味しかったですかァ〜そうですか〜!ありがとうございますぅ〜」

 

こいつぅ〜!ホームズとグルだったのか...!おのれぇ〜!

 

「あ〜美味しかった!で、話って何?コトミネ君」

 

「ああ、そうでした。」

 

「今日は裏切り者の愚かな死を見に行きましょう。」

 

__________裏切り者。もしかして

 

「シンジのことか?」

 

 

「ええ、その通りです。まあ彼を見に行く本来の目的はこの火星の聖杯戦争での<本当の勝利条件>を皆さんと見に行くためでもありますが。」

 

本当の勝利条件...?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

枯れた荒野を騎士は必死に駆けた。

 

 

 

目的地はない。

 

 

 

何処か遠くへ。

 

 

 

彼女と私だけの世界がある場所へ。

 

 

 

枯れた荒野を弓兵は悠々と駆けた。

 

 

 

目標はあの日のカケラ。

 

 

 

彼女の影を辿る。

 

 

 

あゝ。私の剣は彼女を斬りたがって居る。

 

 

 

「あの時の二丁拳銃使いか...!振り切れんな。仕方あるまい。」

 

 

騎士は走るのをやめ、迎撃態勢に入った。

 

 

「それで良い。」

 

弓兵は騎士が戦闘態勢に入ったのを確認しそのまま突撃した。

 

 

研ぎ澄まされた二閃が、騎士を襲う。

 

だが、セイバーはこれを軽く慣れたように去なす。

 

______まるで過去にもこのやり合いがあったような感覚。

 

 

__________いやあったのだ。

 

 

 

__________確かにあった。

 

 

 

「相変わらず踏み込みが甘いですね。シロウ。」

 

衛宮家道場での打ち合い。短いながらもそこにあった暖かい日々は、セイバーの霊基に確かに刻まれていた。

 

「そんな名前だったか。オレは。もう忘れたよ。キミの残像以外は。」

 

衛宮士郎だったものはそう答える。

 

「そう、キミだけは、覚えてた。」

 

 

「だから殺す。キミを殺せば、無銘になれる気がするんだ。」

 

 

「シロウ...。」

 

 

騎士は先程までの虫を殺す程の殺気はもう出せなかった。

 

出すことができなかった。

 

 

自分のマスターが、堕ちた姿を見て剣を握る力が弱まった。

 

 

弓兵の銃口が此方を向いた。

 

_____シロウ...!もうやめてくれ...!

 

 

I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている。)

 

 

彼の投影詠唱が始まる。このままではマスター諸共彼の剣で無茶苦茶になる。それはわかっているのだが、

 

 

足が動くことを許さなかった。どうやら魔力切れ(ガス欠)のようだ。もうダメか。そう思った時である。

 

 

I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている。)

 

 

突如、彼より低い声色の詠唱が脳内響き渡る。

 

 

__________南東4km先か。研ぎ澄まされた直感で察する。

 

 

「もう1人いる」と。

 

 

fin.

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