fate/sand rock   作:挨拶番長

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続き

 

[幕末の人斬り]

 

鬼、容赦を知らぬ化生、人の皮を被った畜生

 

生前、私はこうも多く呼び名があったものだが只私は誰でもない彼に認められる為に鈍を振るっていたに過ぎない。

 

土方歳三、私の眼にはこの男の背中が確かに映り続けていた。

 

火に侵される問屋で、死骸の先に立つ穢れた背中は私には大きく見えた。

 

憧れだった。

 

そうだった筈、

 

なのに、

 

________私は刀を置いた。

 

近藤さんほど人望がある訳でもなく、新八ほど忠臣でもない、沖田ほどの腕も無ければ、土方さんほど情に熱くはない。

 

何故だ。

 

あの男はなぜ私を喚んだ。

 

今ここにある私は誰だ。

 

何処の、誰なのだ。

 

なぜ私は、目の前の怯える一般人を。

 

切らねばならぬのだ。

 

[墓荒らしと窮地の鼠]

 

藤木遊作がアサシンに斬られる寸前から時を遡ること1時間前。

 

藤木遊作はある考えで霊地へ来ていた。

 

彼には悩みがあった。そう、魔力が余りにも足りな過ぎる事である。

 

単純な接触供給、関節供給を含め、アヴェンジャーは見た目に会わず、其処に実体化しているというだけで自分の魔力を物凄いスピードで食ってしまう厄介者だった。彼女が気を使って常に霊体化してくれているおかげでなんとか生命活動は保てたものの、申し訳なさと魔力が足りない事による息苦しさが我慢出来ない為行動へ至ったというわけだ。

 

これの解決方法としては召喚地へ出向く、霊地へ行くなどが効果的なのだが召喚地が不明すぎることと、霊地へ出向くことの2択が彼には思いついたが前者が諸事情により余りにも無謀過ぎた為後者を選択せざるを得ない。そこで、近場の墓場へ来たのだが。

 

「...なんだこりゃ」

 

日本式の墓である暮石の納骨所が開いている。しかも、一つや二つではない。

 

全部だ。全部開いている。

 

気になって納骨所の中身を見てみたがやはり、ない。

 

...誰かが持っていってしまったのだろうか?

 

そんな事を考えながら異様な墓場を練り歩いているとある男に遊作は声をかけられた。

 

「つかぬ事をお伺い致しますが、お参りですか?生憎、私もなんですよ。一緒にどうです?」

 

端正な顔には余りにも不恰好すぎるボサボサの赤毛に、センスの悪過ぎる悪趣味なスーツを纏う男からは人間味らしい人間味が感じ取れなかった。

だが、機械とはまた違うような。

 

言ってしまえば道を踏み外した外道。悪道。

 

その様に感じさせる人に対する「悪意に近い善意」が蒼い瞳から感じられたのだ。

 

「結構、墓参りに来たわけじゃない。勿論。墓荒らしにも。」

 

遊作は見抜いていた。当然だ。

 

この男がサーヴァントで、墓を荒らしていたことを。

 

しかし、サーヴァントは拍子抜けした様子もなく淡々と告げた。

 

「オーウ、そうですか。なんなら一緒に墓荒らしなんてどうです?」

 

どこに隠していたのか。古びたスコップを此方へ向けた。YESと答えても墓荒らしは一緒にしてくれなさそうだ。

 

「拒否する。」

 

往々にして応えたものの、対抗する術を今は持たないことを自覚していた為、外へ向かって走り去ろうとしたが巨大な骸骨2名が道を阻んだ。

 

「アヴェンジャーのマスターでしたよね。単刀直入に言います。貴方の死体が欲しい。」

 

20年生きてきて、このレベルでなおかつとても酷い、ある意味ダイレクトすぎる告白は初めてだ。勿論拒否する。こんなダサ男と死のランデブーは御免被る。

 

「ぐふぉ...」

男の不意の一撃に俺は思わず倒れ込んだ。

 

「結構応えませんか?」

 

細身で服がダサいとは思っ[幕末の人斬り]

 

鬼、容赦を知らぬ化生、人の皮を被った畜生

 

生前、私はこうも多く呼び名があったものだが只私は誰でもない彼に認められる為に鈍を振るっていたに過ぎない。

 

土方歳三、私の眼にはこの男の背中が確かに映り続けていた。

 

火に侵される問屋で、死骸の先に立つ穢れた背中は私には大きく見えた。

 

憧れだった。

 

そうだった筈、

 

なのに、

 

________私は刀を置いた。

 

近藤さんほど人望がある訳でもなく、新八ほど忠臣でもない、沖田ほどの腕も無ければ、土方さんほど情に熱くはない。

 

何故だ。

 

あの男はなぜ私を喚んだ。

 

今ここにある私は誰だ。

 

何処の、誰なのだ。

 

なぜ私は、目の前の怯える一般人を。

 

切らねばならぬのだ。

 

[墓荒らしと窮地の鼠]

 

藤木遊作がアサシンに斬られる寸前から時を遡ること1時間前。

 

藤木遊作はある考えで霊地へ来ていた。

 

彼には悩みがあった。そう、魔力が余りにも足りな過ぎる事である。

 

単純な接触供給、関節供給を含め、アヴェンジャーは見た目に会わず、其処に実体化しているというだけで自分の魔力を物凄いスピードで食ってしまう厄介者だった。彼女が気を使って常に霊体化してくれているおかげでなんとか生命活動は保てたものの、申し訳なさと魔力が足りない事による息苦しさが我慢出来ない為行動へ至ったというわけだ。

 

これの解決方法としては召喚地へ出向く、霊地へ行くなどが効果的なのだが召喚地が不明すぎることと、霊地へ出向くことの2択が彼には思いついたが前者が諸事情により余りにも無謀過ぎた為後者を選択せざるを得ない。そこで、近場の墓場へ来たのだが。

 

「...なんだこりゃ」

 

日本式の墓である暮石の納骨所が開いている。しかも、一つや二つではない。

 

全部だ。全部開いている。

 

気になって納骨所の中身を見てみたがやはり、ない。

 

...誰かが持っていってしまったのだろうか?

 

そんな事を考えながら異様な墓場を練り歩いているとある男に遊作は声をかけられた。

 

「つかぬ事をお伺い致しますが、お参りですか?生憎、私もなんですよ。一緒にどうです?」

 

端正な顔には余りにも不恰好すぎるボサボサの赤毛に、センスの悪過ぎる悪趣味なスーツを纏う男からは人間味らしい人間味が感じ取れなかった。

だが、機械とはまた違うような。

 

言ってしまえば道を踏み外した外道。悪道。

 

その様に感じさせる人に対する「悪意に近い善意」が蒼い瞳から感じられたのだ。

 

「結構、墓参りに来たわけじゃない。勿論。墓荒らしにも。」

 

遊作は見抜いていた。当然だ。

 

この男がサーヴァントで、墓を荒らしていたことを。

 

しかし、サーヴァントは拍子抜けした様子もなく淡々と告げた。

 

「オーウ、そうですか。なんなら一緒に墓荒らしなんてどうです?」

 

どこに隠していたのか。古びたスコップを此方へ向けた。YESと答えても墓荒らしは一緒にしてくれなさそうだ。

 

「拒否する。」

 

往々にして応えたものの、対抗する術を今は持たないことを自覚していた為、外へ向かって走り去ろうとしたが巨大な骸骨2名が道を阻んだ。

 

「アヴェンジャーのマスターでしたよね。単刀直入に言います。貴方の死体が欲しい。」

 

20年生きてきて、このレベルでなおかつとても酷い、ある意味ダイレクトすぎる告白は初めてだ。勿論拒否する。こんなダサ男と死のランデブーは御免被る。

 

「ぐふぉ...」

男の不意の一撃に俺は思わず倒れ込んだ。

 

「結構応えませんか?」

 

細身で服がダサいとは思っていたが、大振りのスコップを自分の脇腹にこうも早く叩き込めるとは、流石にサーヴァントと言ったところか。

 

再び立って反撃、と行きたいところだが上手く身体が動かない上に潰れた臓器から出てきた血が詰まり、上手く呼吸が出来ない。

 

「ハゥ...はぁ...!」

 

なんとか逃げ出そうと、ジタバタと逃走を試みるも、まるで飼い猫を扱うように首を抑えられてしまった。

 

「動かないでください。今の不足しすぎている魔力ではアヴェンジャーは顕現不可能な上に逃走も不可能です。諦めて来世の人生楽しみましょうよ。ねぇ?」

 

一緒に墓荒らしやっときゃ良かったかな。行く先々で理不尽な暴力に会いすぎるとこうも人は冷静になれるのか。

 

[祈りを生む]

 

ある日アサシン陣営に一つの手紙が届いていた。

 

「拝啓、浅葱の剣士様へ お日柄も良く施術日和ですね。そう思いませんか?え?思わない?思ってない?まあそうでしょうね。豊胸手術とかしません?やったことないけどチャレンジはしてみますよ。 PSアヴェンジャー陣営一緒に潰しに行きませんか。」

 

本文の内容は兎も角、いやこれ逆だろ。本文とPS逆だろ。本旨がおまけになってるじゃないか。ご飯に紅生姜かけてカレーのルー添えてカレーライスです。と言うくらいには人を舐めている。

 

人を舐めているのだが...我が主従はアヴェンジャー陣営を潰す事に興味津々であった。

 

「良い。交渉次第では協力関係も吝かではない。先ずは一つ山を潰しに行く。」

 

________そういうわけで、藤木遊作を暗殺しに出向いたのだが

 

私の目の前で行われていたのは一方的な嬲り殺しであった。

 

精気溢れる藤木の顔は、今や、スコップで殴られすぎて元の形もない。

 

血を吐きながら、暴力を身に受ける彼は余りにも...

 

自分の心の中で唱えた続きの三文字が斎藤一という人間に似合わずアサシンは考えるのをやめ、刀を抜いた。

 

「キャスターやめろ。私が首を斬り終わらせる。」

 

「始めからそうしたほうがいいと思ったんですけどね。なんか嫌そうな顔してたんでしかたなく。」

 

ああ、真正面から斬り殺したいと思うほどにイラついた人間はコイツと新八くらいだ。

 

ひゅー、ひゅー、と血が詰まった喉で必死に呼吸をする彼の首元に私は刃身を当てた。

 

「言い残すことは。」

 

らしくなかった。

 

今から唯の肉塊になる人間に遺言を聞くなどと。

 

「ィいたグなぃ。」

 

必死に絞り出したその言葉は何を言っているかは分からなかった。

 

ただ伝わったのは

 

「生きたい」という渇望。

 

死という絶望からの逃走。

 

何度も見てきた。

 

斬り捨てた浪士にも、裏切った仲間にも

 

たくさんこういう奴はいた。

 

殺せる。私はいとも簡単にこの男の首を切断できる。

 

震えた右手を左手でしっかりと抑えながら彼の首元へ刃を侵入させようとした。

 

させようとするのだが、する度に奴が問うのだ。

 

「お前は何処の誰なのだ。何のためにここへ来たのだ。」

 

嗚呼、私は

 

 

__________何処の誰なんだ。

 

「意識」という私の中の装置がフラットになる。

 

ボロボロになった血だらけの男に向けていた刃は、

 

墓を荒らす医者へと向けられた。

 

____NEXTて

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