fate/sand rock   作:挨拶番長

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6話 黄金の王

7話 黄金の王様

 

1節 8人目

 

バレットビルの爆炎は使い魔を通さずとも、参加者の耳に伝わった。

 

政府がテロリストの襲撃なのではないかとの公式の見解を示した為に、魔術協会は「神秘の秘匿」の優先し、魔術師達は一旦アーチャー討伐戦から身を引いた。

 

「ビル内にはライダー達がいたのが確認されたが、脱出したのは確認できなかった。アーチャー諸共脱落した可能性がある。」

 

近場のホテルでユウサク達は次の手立てを思案していた。

 

「コトミネ神父の報告を今は待とう。アーチャーが脱落したのが確認されなければ、休戦協定を終わる事が出来ない。」

 

「生きていたの仮定して動くなら次はどうしますか?」

 

ユダは黒服に出されたお茶をまじまじと見つめている。そんなに珍しいものだろうか...?

 

「バレットビルと似た構造を持った建物を探るしかないだろう。奴らの狙いは東京を宝具で狙う事だ。」

 

「なぁ...爺さん。アンタはバレットビルを銃身とし、人間を弾丸として放つ。そう言ったよな?」

 

「左様。それがどうかしたか?」

 

「俺の見解からしてそれは間違ってる。というよりは少し解答から離れているような気がする。」

 

アサシンのマスターは眼を見開き、此方を真摯に見た。

 

「確かに、バレットビルが銃身なのは正解だ。だが人間が銃弾というのは少し違う気がする。例えるなら人間は火薬だ。」

 

「火薬...?」

 

アサシンは部屋の隅にあるウィンチェスターライフルに眼を向けた。

 

「人間ってのはあくまでアーチャーにとってはエネルギーな訳だろ?ということは人間をビルから射出、というよりは人間の魔力を火薬として何かを打つける。というのが正しいはずだ。」

 

「その何か、とは?」

 

一同のユウサクへの期待の眼差しが一枝に向けられた。

 

それに照れたのか恥ずかしいそうに咳払いをしてこう答えた。

 

「...隕石なんじゃないかと思ってる。」

 

隕石、その頓珍漢な答えに最初に反応したのはアサシンだった

 

「マスター、このザリガニ頭はやはり頭がおかしいようです。二重の意味で。」

「おい俺の髪型に文句あるのかアサシン。この地味さを徹底したヘアスタイルに。」

 

「文句以外入る余地ないですからね?」

 

「隕石...あり得んこともないだろうな。」

 

老人の静かに低く透る声は、騒がしい小部屋を鎮まらせるのには充分だった。

 

「うそ!?信じちゃうんですか!?マスター...」

 

「やはり信じてくれますか...と言っても一つ問題があってな。それは隕石が落ちる地点を演算できる機械か人間がいなければならないということだ。恐らくアーチャー単独では隕石を弾丸として発射するには計算能力が足りないはずだ。かといってシムラ所長も生物学専門だし...」

 

ブツブツと語り出すユウサクをよそに、老人は立ち上がった。

 

 

「隕石の受け皿になるビル...これを捜すのが目の前の目標というわけだ。中島、ビルの洗い出しを部下の物に命令しろ。」

 

「了解です。ボス。」

 

黒服の男は命令を受け取ると即座に部屋を去った。

 

「アヴェンジャー、俺たちも出来る事をしよう。」

 

パソコンを開き、ユウサクは使い魔の起動を試みる。

 

町中でアーチャー、もしくはキャスターの行方を探るのが目的だ。

 

〜三井一家邸から2000m先〜

 

「王よ。見つけました。貴方様の預言者にあった裏切り者が彼方に。」

 

男はコトミネ神父からの言葉を聞くと、ニタリと笑った。

 

その男は金色の鎧を身に纏い、眼は蛇のように鋭く、肌は小麦色であった。

 

「コトミネよ。本来ならばあの女は聖杯に誤って含まれた願いに過ぎない貧弱かつ、凡百にも劣る英霊とも言えぬ悪霊のはずだが?」

 

神父は深く一礼をし、金色の王にこう答えた。

 

「王よ。アレは英霊でもなければ、悪霊でもありませぬ。アレは誰しもヒトが持ちうる概念、それの体現者、言うなれば...裏切り者という顔の代表者...でありましょうか。」

 

コトミネ神父の言葉を聞き、黄金の王は自分の宝物庫[王の財宝]を開き、二、三振り、無礼の代償として神父に宝具を喰らわせた。

 

神父は嗚咽の一つもあげず、耐えきった。

 

「戯け。そのくらい分かっておるわ。我を差し置いて何故あの女が英霊としてこの我の許可もなく二本足で立っているのかと、問うておるのだ。雑種。」

 

刺さった槍と剣を抜こうとはしない。抜けばこの横暴な王に殺される事を知っているからだ。

 

「フジキユウサクという何の取り柄もない研究者の中の何かが原因でヤツを呼び覚ましたことが原因かと思われます。」

 

その言葉を聞き、黄金の王は漸く自分の宝具を蔵に収めた。

 

「コトミネは教会へ戻れ。我がアサシンとアヴェンジャーと戯れている間にアーチャーの特定を済ませよ。此れは王の命令である。」

 

コトミネ神父は王からの勅命を聞くと、その場を静かに去った。

 

「さて...」

 

黄金の王の宝物庫の矛先は、三井邸...つまりはアサシンとアヴェンジャー達へと向かっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

2節 星々の光

 

「ああっ...!」

 

ボンっと音を立ててPCがイカれてしまった。

 

マズイな...使い魔達を派遣しすぎてPCがその容量に耐えれなかったか...!

 

「主よ。こういうのは叩けば治ります。」

 

「...それ一番ダメな奴だからな?」

 

さては機械音痴かこいつ...属性盛りだくさんだなオイ。

 

案外脳筋なんだなーとかぼんやりした事を考えていた所にそいつは現れたのだ。

 

黒服の中島さんが慌てて俺たちの部屋へ入ってきた。

 

「藤木様、敵襲です。裏口から迅速に避難を。」

 

敵襲...!?何でこんな時に!?

 

俺は敵襲に焦る情けないマスターと悟られないためにできるだけポーカーフェイスを保ち、

 

「ああ...。」

 

とだけ言い放った。

 

取り敢えず荷物だけは纏めてここから出ようとまでは考えられるくらいにはまだ冷静でいられたのでバッグに必要なものを詰めて、裏口から出た。

 

「あァッ!?ぁぁ...!」

 

壁越しにアサシンの悲鳴が聞こえた途端、俺は脚が止まってしまったのだ。

 

今頃、俺が逃げたせいであの女の子は苦しい思いをしてるかもしれない...!

 

冷徹に徹することができない自分への嫌悪感と、女の子を助けれない自分の上っ面だけカッコつけた薄っぺらい仮面を被った自分から来る情けなさが募る。

 

______限界だ。

 

「アヴェンジャー...アサシンに加勢する。壁を破壊してくれ!」

 

アヴェンジャーは漆黒の二翼で、壁を破壊し、俺たちはアサシンの元へといち早く駆けつけた。

 

アサシンは赤い鎖で縛り付けられて身動きが取れていない。

 

その赤い鎖の主は...サーヴァント?

 

小麦色の肌に金髪の髪、黒いライダーズジャケットを緩く着こなしたその男が鎖の主であることは見て取れた。

 

「我の目論見通り来たようだな...雑種。」

 

家に建てつけてある電灯の上にわざわざ立っているこの男...誰だ?

 

「誰だお前は...」

 

「その不躾な態度...普段の我ならば首を3つほど飛ばしていたが、赦す。その地味すぎる髪型と、薄汚い裏切り者のマスターであることに免じてな。」

 

こいつ...ユダを薄汚いと言いやがった...!

 

いけない。クールを保ち続けろ...!俺...!

 

「質問に正直に答えろ雑種。さもなければアサシンは死ぬ。」

 

鎖で縛られたアサシンの周りには金色の穴みたいなものが現れた。

 

そこの先から剣先やら槍先やらが出ている。

 

アレが奴の宝具か...

 

「この薄汚い女をどうやって呼びつけた?触媒は何を使った?詳らかに述べよ。」

 

蛇のような赤い瞳は、俺のあらゆる感覚を舐るように見ている。

 

...嘘はつけないか。

 

 

「紅い月の夜にいつの間にかいた。触媒は使ってない。本当だ。」

 

あまりにもテキトーすぎたかもな...凄い形相でこっち見てるもん。でも事実だ。ホントにそうなのだ。

 

「ククク...フフフ...アハハハハハハ!!!成る程、成る程なァ...そうか、そうか...単純な絡繰であったか...」

 

男は突然腹を抱え爆笑した後、アサシンの鎖を解いた。

 

そして緩りと、俺の前に立ちはだかった。

 

「お前のような脆弱で、貧弱、そして凡百な男が、この世全ての悪意に耐えうるとは思わんが...フフフ...許す。我をせいぜい愉しませろ。その時が来るまでに尸を晒せばどうなるかを想像しておくことだな。雑種。」

 

そう言い残してヤツは霊体化して消えた。

 

予想はしていたがやはりコイツもサーヴァント...しかしクラスは何だ?

 

というかアイツも合わせたら人数合わないような...?

 

「無事でしたか?マスター。」

 

「何とかな...それよりアサシンを...」

 

倒れたアサシンを担いで何とか部屋まで運び切った。

 

あの爺さん何しに出かけてるんだ...

 

俺はふと思った...

アイツも聖杯に呼ばれたサーヴァントならば...

 

誰が「8人目」なんだ?

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

第三演義 「六王家の呪い」

 

〜5年前〜

 

「ドラ息子、よくぞ戻ってきましたね。」

 

高校を卒業した時、俺は魔術の道へ生きることを捨てて俳優として生きた。

 

一家の伝統を捨て夢を追いかける。

 

当時の俺はソレをかっこいいと思っていたからだ。

あまりにも馬鹿だった。

 

六王家次期当主の俺が後を継がなければ次に刻印を継ぐのは妹の真綾だと分かって居ながらも、夢を追いかけたのだ。

 

真綾は魔術刻印と肉体の相性が良くなく、無理矢理適合させるしかなかった。

 

その結果起きた悲劇は、「呪術反転」

だ。

 

六王家が大体受け継いだ呪術はルルイエ異本の写本の写本から呼び出した外側の神様との契約によるものだ。

 

外側の物を無理矢理体に入れるのだから拒否反応が起こるのは自明の理である。

 

六王家はこの拒否反応を抑えるのが一家の研究課題だった。

 

 

奇跡的にも5代までは拒否反応は起こらなかったものの、六王家で始めて、妹の真綾が拒否反応、「呪術反転」を示したのだ。

 

呪術反転を起こした肉体は破れ、腫れ、肌は裂けまくる。

 

彼女のお腹からはタコのような触手が何本も生え、口からは彼女の体の中で生息している生物の目玉が見えている。

一流の魔術師に解呪を頼んだことだってある...

 

だが解呪を試みた魔術師は逆に呪われかけた。

 

それくらいにヤバい部類の呪いだった。

 

こうやって病院のベッドで無惨にも化け物に犯されている真綾を見るたびに俺は自分の罪の重さを実感する。

果て無き夢への代償は重たい。

 

それを知っていながら俺は全ての責任から逃げた。

 

ごめんよ。真綾。

 

聖杯さえあれば、

 

全ての願いが叶う願望機の力なら、

 

お前を楽にしてやれる。

 

「母さん...俺に魔術を教えてくれ。」

 

_____それが全ての始まりだった。

 

魔術師の地位は魔術刻印の継承階位で決まる。

 

六王家は6代続いているのでなかなかに高い地位を持つ。

 

そのコネで六王家はあるものを手に入れた。

 

中国の大英雄の墓のカケラ。

 

コレを持っていることが中国当局で表ざたになれば騒ぎになりかねない逸物だ。

 

「最強の英雄の触媒を用意しました。ここまでしてあげたのだから貴方がすべきかとぐらいは分かるでしょう?日本の聖杯戦争に参加し、聖杯の力で真綾の呪いを解呪する。コレがあなたの役割ことくらいはね。」

 

「存じ上げております。母上。」

 

真綾...お前を必ず...!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

おまけ 泳げ!キャスターくん!

 

「くそッー!それ返せー!ひよこブスー!」

 

「やだ!やだ!」

 

〜6時間前〜

 

「くそッ...なんでこんな暑いんだよ...」

 

バーサーカーの捜索の為に繰り出したはいいものの、今年は暑過ぎてダメだ。

 

よし決めた。

 

「サボろう。」

 

その判断、甘え、それが今回のドジを引き起こしたのだ...

 

近場にあるわくわくざぶ〜んというプールのチケットを可愛らしい金髪の美少年ギルちゃんから貰い、まんまとバカンスを楽しんだ。骨たちと。

 

そこまでは良かった...!

 

あのひよこ頭が現れるまでは...!

 

「よう2枚目の兄さん隣いいかい?」

 

身体は人間、頭はひよこのぬいぐるみという珍妙な男が突然隣に座りだした。

 

その時俺は機嫌が良かったのと、あわよくばこのひよこを解剖してやろうという魂胆で快諾し、隣に座らせた。

 

たぶん、それがダメだった。

 

「実はさ〜俺の彼女イリヤ...通称銀ちゃんっていうんだけどね?その子とセックスした時のことなんだけども」

 

なんか嘘っぽい自慢始まったぞこいつ。

 

確実にウソだコレ。

 

「あーはいはいそうですかー」

 

とりあえず冷めた目で見守ってやろう。この男の虚言を。

 

俺は右耳から左耳にそのブスボイスを聞き流しながらオレンジジュースを啜ることにした。

 

コップの底の氷まで吸い上げた頃にはこの男の虚言も終わるだろうと思い、啜りながらテキトーに相槌を打っていた。

 

最後から2番目の氷を吸い上げた頃にはひよこ頭はいなかった。

 

「相槌テキトー過ぎたかな〜...ってアレ...ない。」

 

全力で海パンのポケットを弄るが、望みのものはない。

 

「ロッカーの鍵がない」

 

まさか、と思い辺りを見回すと。

 

ウォータースライダーの上で鍵を振り回すひよこ頭がいた。

 

奴は海パンを脱いで尻を出し、ケツドラムをしながらこちらを煽り始めた。

 

「良し。あのブスは解剖決定だ。行け!俺のコレクションたち!」

 

キャスターのコレクションは彼の命令を聞き、自立して動くことができる。

 

出来るのだが...

 

コレクション達はビーチバレーを楽しんでいて一向にこちらを手伝う気配がない。

 

魔力を消費して命令を強制してやってもいいが、このひよこに魔力を使うのはなんか癪に触る。

 

 

奴が全裸で流れるプールに飛び込んだのを確認した時、殺してやろうという気持ちと、公序良俗を守る為に尽力してやろうという思い半々でスコップを構えた。

 

 

「まてゴルルァァァ!!!!」

 

2時間後、プールの監視員に正座で説教を食らう医者とひよこ頭がいた。

 

END




アニャーン(殺意)
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