ss投稿したての頃のあの純粋な時に戻りた(ry
えー、相変わらず、文才は皆無ですが、どうぞお付き合いください。では、どうぞ。
第1話:黒澤家にお手伝いする俺はバイト戦士
もう秋が近づいてきている。暖気はあっという間に過ぎ去るのだろう。従来ならそろそろ紅葉のシーズンだ。しかし、例年よりも今日みたいに寒いのでは観光地は過疎状態と化すのではないかと遠い町のことを心配する。
しかし──
ここは他のどの町よりも寒くなるのかもしれない。近くで波打つ沼津の海の音を聞き、ジャケットを翻す。さて、お目当てのタイムセールにも間に合ったことだし、帰るか。
そう今日の成果を片手に下げながら俺はバス停へと近づく。肌寒さに耐えるため、何度も小刻みに足踏みをしているとようやくバスが到着。他に乗るような人はそれほどいなかったのにも関わらず、俺は急いで車内へ駆け込んだ。
暖房はもちろん効いていなかったが、外よりは遥かにマシだろう。おっと、卵をオジャンにしてしまうところだった、気をつけなければ。
そんなことに気を配る俺を乗せたバスはとうとう内浦へと向けて出発したのだった。
◇
「ただいま帰りました」
すぐにジャケットを脱ぎ、台所へと向かう。無人のキッチンには今朝の洗い物がまだ残存しており、冷たい水を使用した仕事をしなければならないことを悲観する。
「昼ご飯は……皆、外出してるからいいか。じゃあ他の家事をしようか」
ううん、と咳払いしてから俺は購入してきた食材をビニール袋から取り出し、冷蔵庫へ収納するためにその扉を開けたのだが。
「……プリン昨日買ったばかりだよな?減り早くない?」
しっかりと3個セットのものを2つも買っておいたはずなのだが……この家の者はどれだけプリンという菓子が好きなのだ。沼津にまで行って買ってくるこっちの身にもなってほしい。
首をパキパキと鳴らしてから、半目になった俺は誰もいないのを良いことに気だるく冷蔵庫へ食材を詰め始めた。
「……俺もプリン貰おうと考えてたっていうのに。てか、アレほとんどダイヤちゃんとルビィちゃんの仕業だよな?なんという暴挙だよ」
「「──ルビィ(私)がどうかした(まして)?」」
「聞いてくれよ2人とも。2人がバカスカとプリンを浪費するから最近俺が糖分摂取不足に陥って──ぅわぁぁ!!??」
「ごきげんよう、冬夏さん」
「い、いいいつの間に?今日は部活じゃ……!」
「ないですわ」
「なんで!?」
「今日は都合が皆さん合わなくって……オフにしようと話し合いで決定したのですわ、昨夜に。お陰で久しぶりにぐっすりと眠れました。怠惰に過ごすのは罪だと分かってはいるものの、疲れを取るには睡眠が一番ですわね」
「る……ルビィもぐっすり寝ちゃったよ」
「そ、そそそうなんだ」
「──で?」
「……」
「……プリンを食べる暴挙を働いてしまい申し訳ありませんね?」
「分かった!ゴメンナサイ!だからルビィちゃんは涙目にならないで!」
さて、これは困った。
「わ、話題変えようか!えと……な、夏のラブライブは残念だった……──あ。ご、ゴメン」
なんて人を傷つけるのが上手いんだろう、俺っていう人間は。しかしこれだけは言っておくが、別に故意にやったわけじゃあ無い。まぁ、天然の方が余計にタチが悪そうだけど。
「もう!今日はお帰りください!」
コラ、人を指さすな。そのまま背を押され俺は家から追い出される。ひどい……一応俺、家政婦じゃないや家政夫って勝手に名乗ってるお手伝い……──バイトなんだけど。
「あー!洗い物残ってるよお姉ちゃん!」
「なッ!?冬夏さーん!戻ってきてください!」
それくらい自分でやってよ……まぁ、バイト代貰っている身としては逆らえないから苦笑いしつつも玄関へ入るんだけどさ。
「あの……お金貰ってる身としてはこんなこと言うの申し訳ないんだけど……たまには自分たちでも家事してみたら……」
おい、ちょっと待って。なんでそんな顔をするんだ?まるで初めてアルマジロを見たかのような表現し辛い表情をやめてよ。なんか、視線が痛いから。
「分かりました……その……やりますから」
「よろしくお願いいたしますわ」
「よ、よろしくね!」
黒髪と赤髪を揺らす姉妹は朗らかに微笑む。
「はぁ……いつもそんなふうに可愛く笑ってくれたらいいのに」
「「ほぇっ!?」」
「え、なに。そのみっともない声は」
「し、失礼ですわね!」
「そ、そうだよ!」
「そうなの?」
なんだろう。別に今回は気に障るようなことを言った覚えは無いんだけど。思春期の女の子って分からないものなんだな。
「自覚……あるんでしょうか?」
「た、多分無いと思うよ?」
「何か言った?」
「い、いえ別に!」
なんだかアタフタしているダイヤちゃん。んー……分からん。
俺は台所に舞い戻り、スポンジに泡を付けて食器を片手に持ち、擦りだした。
「あ、そういえば」
突然、ダイヤちゃんが話しかけてきた。
「お店の方は大丈夫ですの?」
「ん?あ。ウチのこと?」
「えぇ」
「あー……まぁ、閉めてるしね」
「いつ頃復帰いたしますの?」
「……多分もうしないと思う。あそこは両親の遺産だし、いつ再開してもいいようにこうやって料理の仕方を体に叩き込みに来てるけど」
「あ、そ、そういえば冬夏さんのお家ってお料理屋さん……だったよね?」
「うん、ルビィちゃん。家事はついで、なんだ。料理をするには別に実家でも出来たわけだけど……やっぱし誰かに食べて貰いたいしね。それに自分で作って自分で食べても意味無いでしょ?」
「まぁ……確かに」
「……大学へは?確か、料理の専門学校だったはずでは」
「辞めたよ」
「えぇ!?」
「親が死んだんだ。そりゃあ生活費とかは祖父母が見てくれてるけどさ、なんというか……呑気に学校行ってていいのか?って思うようになっちゃって。そうしたら次に生まれたのは『稼ごう』っていう意思だった。なら、店を再開しろっていう話だけどね。色々矛盾してるけど……ゴメン」
別に専門学校に通って専門知識を蓄えてから、稼ぐ道を選べばよかったのだが、祖父母らへの負担と親が亡くなったという事実に気圧され俺は中退した。
入学して半年で辞めた。高校でよくそういう人がいるとは聞いていたけど、まさか俺がその先駆者となるとは思いもよらなかった。
「その……い、いつでも困った時は言って……ね?ルビィ、力になりたいから」
「ルビィちゃん……!」
「私個人としてはお店を再開して欲しいのですが……冬夏さんの意思が何よりも尊重されますからね、これだけは。私もルビィと一緒です。困った時はお力添えいたしますわ」
「ダイヤちゃん……!2人とも、ありがとう!」
◇
「さて」
「もうお帰りですの?」
「まぁ……ね。それに次のシフトも入ってるし」
「またお手伝いの?」
「ルビィちゃん、違うよ。確かに他にもお手伝いのバイトは入れてるけど、今日は夜から沼津のコンビニでバイト。次はマクドで明け方までスマイル振りまいてくるんだ」
「大変ですわね。いつ寝ているのですか?」
「そりゃあもちろん空き時間に」
「そ、その……た、大変だけど頑張ってね?」
「うん。可愛い2人からこんなに素敵なエールを貰ったんだから、それなりの成果は出さないとね」
「……もぉっ」
「へ?ルビィちゃん?」
てか、ダイヤちゃんまで頬を紅潮させてどうしたんだろう。沈みかけている夕日に照らされていても分かるほどに真っ赤だ。
「は、早く行ってください!」
「お、押すな!危ない!あー、い、行ってきまーす!」
俺はそう言い手を振った。後ろに消えていく黒澤姉妹。あんなにも応援してもらったんだ。
──さて、次のバイトも頑張ろう。
今、思ったけどマクドって略称で関西人ってモロバレじゃね?