姫野四葉は勇者である 作:水甲
目が覚めると最初に目に入ったのは見慣れない天井だった。
「ここは……」
「あっ、やっと目が覚めたみたいだね」
「あなたは……確か……」
何故か一人の女の子が私の顔を見つめていた。見覚えのあるような……たしか私は……
「そうだった……私、諏訪にいたんだっけ?」
起き上がろうとするとちょっとめまいがした。あの時、あの剣を使った後に倒れたんだっけ?それに彼女は私が生き返させたんだった。
「吃驚したよ。バーテックスとの戦いで死んだと思ったら、眠ってただけみたいだし、それに貴方が倒れてたんだもん」
「いや、あはは……」
実際死んでたもん。それにしても気さくな人だな……
「うたのん、あの子の容態は……あっ、起きたんですね」
「みーちゃん。大丈夫みたいだよ。あっ、そうだった。ねぇ貴方の名前教えてもらっていい?」
「私は姫野四葉。四国で……」
「姫野!?」
私の名前を聞いた瞬間、彼女は驚いた顔をしていた。
「姫野って乃木さんが言っていた子だよね!!一緒に勇者やってるっていう……」
「う、うん、その姫野です……あのもしかして白鳥さんと藤森さん?」
「アンビリバボー!!まさか四国の勇者に会えるなんて吃驚だよ」
「あ、あの、姫野さん。どうして諏訪に……」
「それは……」
諏訪に来た理由を話そうとした瞬間、お腹が鳴ってしまった。結構恥ずかしいな……
「あはは、そういえば朝ごはんまだだったね。みーちゃん」
「うん、用意できてるよ」
「何だかありがとう。ご飯まで食べさせてくれるなんて……」
「いいって、食事しながらでもいいからさ。話し聞かせて」
私たちは早速食事をすることになったけど、まさか朝から蕎麦だなんて思ってなかった。でもお腹が空いてるから食べられるかな
「てっきり四国の勇者って蕎麦とか毛嫌いしてるかと思ったんだけど……」
「偏見だよ。私はうどんも蕎麦もすきだから……」
「それで姫野さん。どうして諏訪に……」
「えっと……とりあえず長くなるけどいいかな?」
私は二人にこれまでのことを話した。四国で起きた戦いのこと、そして私の事を話した。
二人は驚きを隠せないでいた。それはそうだよね。神を宿した子だなんて信じて……
「す、凄いよ。ひめのんは凄いよ!!もしかしてひめのんの力で私達を生き返らせてくれたの」
「え、う、うん」
「みーちゃん、良かったね」
「うん、うたのん」
「何だか思っていたより反応が違うんだけど……」
「だって、乃木さんから聞いていた仲間のことを不気味に思ったり、信じられなくなったりとかしないよ」
本当に良い人だな……歌野ちゃんって……
「ひめのん」
「あの、水都ちゃん、その呼び方って……」
「えっ、うたのんが呼んでるから……」
いいのかな……
「その剣の力はあんまり使わないほうが良いかもしれないよ」
「どうして?」
「私達を生き返せてくれた時、何というか身体の中に命が流れ込んできた感じがしたの。もしかしたらひめのんの生命力を私たちに分けたからだと思うけど……下手すればひめのんが……」
そっか……だからあの時……使用はあんまりしないほうがいいかな
「それでひめのんはこれからどうする?私とみーちゃんは畑の様子を見に行くけど……」
「あー、私は四国のみんなと連絡取れないか試してみる」
「でも、通信機壊れてるよ?」
「あの、それだったら神の力を使って、あちらの巫女に……」
その手があったか……ちょっと試してみよう。
二人が畑仕事をしている間、私は水都ちゃんに言われたとおりに、神の力を使って、ひなたちゃんに通信を行ってみた。やり方はわからないけど、ひなたちゃんのことを思いながら……
『もしもし……ひなたちゃん』
『………の声……』
繋がったみたいだ。やり方は合ってた。もう一度呼びかけてみよう
『ひなたちゃん。聞こえる?』
『四葉さん?四葉さんなんですね』
今度はしっかり繋がったみたいだ。
『一体何処にいるんですか!!急にいなくなって、みんな心配してるんですよ!!』
『ご、ごめんなさい。えっと気がついたら……』
私はひなたちゃんに今の状況を説明した。諏訪にいること、剣で死者を生き返らせたことを……そして今、歌野ちゃんたちと一緒にいることを……
『そうですか……死者を生き返らせる……でもそれは四葉さんの命を……』
『うん、あんまり使えないみたい……とりあえず何とかして四国に戻るよ』
『それならどこかで合流しませんか?私達も今、生存者確認などのために遠征に出かけています』
『そうなの?』
『はい』
それだったら合流場所を決めて、私もそこに向かわないと
私はひなたちゃんと合流場所を決め、通信を切った。きっとみんな、心配してるだろうな……
歌野ちゃんたちが畑仕事を終わらせ、私は二人にここを出ていくことを話した。
「そっか、もう出ていっちゃうんだ」
「うん、みんな、心配してるだろうし……一応合流場所も決めてるから……」
「ねぇ、うたのん」
「うん、みーちゃん。ねぇ、ひめのん」
「何?」
「私達も一緒に行っていいかな?」
歌野ちゃんの言葉を聞き、私は驚きを隠せないでいた。一緒に行くって……この諏訪を捨てるっていうこと?それっていいのかな?
「あの、それって……」
「畑仕事をしながら二人で話したんだ。もう諏訪は敵の手に落ちちゃったんだって……二人で再興をしていたらどれぐらい掛かるかわからない。それだったら……今必死に戦ってる乃木さんたちと一緒に戦おうって……」
「でも、一時的にだよ。ちゃんとここに戻ってこようって二人で話したから……」
「歌野ちゃん、水都ちゃん……」
「それに四国の大地に蕎麦を広めるように頑張らないとね」
「頑張って、うたのん」
この二人は……でもありがとうね二人共