姫野四葉は勇者である 作:水甲
私は今、歌野ちゃんたちと一緒に遠征している若葉ちゃんたちのところへと向かっていた。交通手段はなく徒歩で行くしかなかった。
四国と違って、敵も普通にいるし、どれくらいの時間がかかるかわからないけど、私たちは勇者に変身して、先へと進んでいた。
「やぁー、こういう時は便利だね~よっちゃん、みーちゃん」
「うん、これならすぐに合流先に行けるね。うたのん」
「ちょっと待って、何だか私のあだ名、変わってない?」
「ソーリー、ひめのんだと私と被るから変えたんだ」
被るっていう理由で変えていいのかな……まぁあんまり気にしないようにしてるけど……
「よっちゃん、四国の巫女さんたちは今何処に?」
「えっと、後何日したら大阪に着くみたいだよ」
「私達もこのまま何事もなければ、すぐに乃木さんたちと合流できそうね」
歌野ちゃん、それ、何だかフラグみたいなんだけど……気のせいだよね
それから何日か進んでいくと、私たちは名古屋にたどり着いた。まだ大阪までは遠いけど何事もなく合流場所につける……はずだったのだけど……
「歌野ちゃん、ストップ」
「どうしたのよっちゃん?」
「あそこのビル、見て」
「どれどれ……あれって!?みーちゃん!?」
歌野ちゃんは水都ちゃんに双眼鏡を渡し、ビルの方を見ると驚いてそのまま固まっていた。
「あれって……卵……」
「みたいだね。バーテックスってあんなふうに増えるんだね」
「歌野ちゃん、素直な感想はいいから……どうする?」
「ここは焼き払ったりとか?」
「そんな事したら、すぐに敵に囲まれちゃおうよ」
水都ちゃんの言うとおり、ここは穏便に済ませないと……
「とりあえず敵を刺激しないように……」
私がそう言いかけたその瞬間、何体ものバーテックスがこっちに向かってきていた。
「歌野ちゃん、水都ちゃんを守りながら、先に進んで!!」
「よっちゃんは!!」
「私は殿を務める!!切り札発動!!リョウメンスクナ!!」
切り札を発動し、迫り来る敵を撃退していった。別に切り札を発動させる必要はないのだけど、ある程度敵を引き付けないと殿の役目にならないもんね。
「ハアアアアアアアアアアア!!」
迫りくるバーテックスを撃退し、ついでに卵も破壊し終えた。これぐらいだったら私の役目も終わりだよね。
私は元の姿に戻り、水都ちゃんに通信をした。
『こちら姫野。今何処にいるの?』
『今、廃ビルの中にいるんですが……ちょっと……』
何だ様子がおかしい。もしかして歌野ちゃんの身に何か有ったのかな?
『今から向かうね』
私はすぐに二人がいる場所へと向かうのであった。
二人がいるらしい廃ビルに入ると二人は特に怪我もなく、私のことを待っていてくれた。
「何かあったの?」
「よっちゃん、実は……」
私は歌野ちゃんが抱えているものをみた。それはボロボロの服に、体中傷だらけの女の子だった。
「死んでるの?」
「ううん、まだ少しだけど息はしてる。でもこのままだと……」
放っておいたら死んじゃうってことか。悩んでる暇はないよね。
「歌野ちゃん、後のことはよろしくね」
「了解」
「ごめんね。よっちゃん」
「大丈夫。見捨てる訳にはいかないから」
私は剣を取り出し、少女に突き刺した。私の中の何かが少女に吸い取られていく感じがするけど、私は気にせず続けた。
「ふぅ」
生命力を送り終えると軽いめまいが襲ってきた。二人を生き返らせた時に比べるとまだいいほうかもしれないけど……
「大丈夫?よっちゃん」
「本当に無理はしないで……」
「大丈夫よ。それで彼女は?」
「怪我も呼吸も落ち着いてきたみたいだよ」
「なら、よかったけど……」
この子はどうするべきか……このまま一人、名古屋に残しておくべきではないし、
「歌野ちゃん、この子も一緒に連れて行っていいかな?こんな場所に一人じゃ……」
「私はOK。元はと言えば私が助けてほしいって言ったからね」
「見捨てられないもんね」
二人の了解も得たことだし、この子を連れてみんなの所に行かないと……
すると少女が目を覚ました。
「ママ?」
「はじめまして」
「ここ……どこ?何で私は……」
この子……もしかして……
「よっちゃん、この子、バーテックスに襲われたショックで……」
「記憶喪失って事だね。ねぇ、名前は言えるかな?」
「名前………四葉……姫乃」
「WAO、よっちゃんと同じだね」
「名字と名前を入れ替わってるけどね。それじゃ姫乃ちゃん、ここは危ないからお姉ちゃんたちと……」
「ママ……」
何で私のことをママって言いながら、抱きついてくるのかな?私ってそんなに老けてみえる?
「よっちゃん、記憶喪失からかよっちゃんのこと、お母さんだと思ってるみたいだよ」
「この歳で母親って……ハァ、仕方ないか」
ごねたってしょうがないし、私は姫乃を背負って、先へと進むのであった。
次回あたり合流する予定です。そして四葉姫乃も後々重要な役割が……