姫野四葉は勇者である   作:水甲

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16 堕ちたもの

千景SIDE

 

もうわからない。何が正しいのか、何を信じれば良いのか……

 

『乃木若葉たちはうそつき、上里ひなたはうそつき。このままだと貴方の大好きな高嶋友奈が殺されちゃうわよ』

 

違う。乃木さんたちはそんな事言わない

 

『それは本当に信じられるの?貴方は前から彼女たちのことが大っ嫌いだった』

 

そんなこと……そんな訳ない

 

『周りの人たちだって上っ面はあなた達を褒めているけど、本音は……』

 

私は自分の声から逃げるように無我夢中で走るのであった。

 

 

 

 

 

 

気がついたら自分の部屋にいた。あの声が聞こえなくなった。このまま眠ってしまいたい。だけどあの声が言っていた言葉が頭によぎった。

 

『周りの人たちだって上っ面はあなた達を褒めているけど、本音は……』

 

あの言葉はただの嘘。そう思いたく、私はネットで調べ始めるとあるサイトにたどり着いた。

 

そこにはこの間の戦いで現実世界で被害が起きたことだけじゃなく、私たちの悪口まで書かれていた。

 

「なんで……なんで……」

 

なんで必死に戦っていた土居さんや伊予島さんの悪口まで……それに今も眠り続けている姫野さんのことまで……

 

「どうして……」

 

『それが真実。誰も信じられない。乃木若葉たちは嘘をついている。貴方を褒め称えてきた人たちはあなた達を蔑む』

 

もう私の耳に入ってくるのは自分だけの声だった。そしていまするべきことは……

 

「千景、入るぞ」

 

私は部屋に入ってきた乃木さんを見て、勇者に変身し、斬りかかるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若葉SIDE

 

四葉の見舞いに来なかった千景の事が気になり、千景の部屋に入った瞬間、千景がいきなり切りかかってきた。

私は咄嗟に避け、勇者に変身した。

 

「どうしたんだ千景!!」

 

「うそつき……嘘つき!!」

 

切りかかってくる千景。私は生太刀で受け止めるが……様子がおかしい。何が……

 

「まさか……精霊の……」

 

「聞いたわ。あなた達は高嶋さんを利用して……犠牲にするつもりだって……」

 

「千景!!よく聞け!今のお前は……」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇ!!」

 

大鎌の一撃を受けきった瞬間、思いっきり私を蹴り飛ばした。外まで蹴り飛ばされ、私は周辺に人がいないか確認した。こんな状況見られたくないな……

 

「まずは貴方を殺して……その次は上里さん……そうすれば高嶋さんを助けられる」

 

「千景……話を聞かないなら……」

 

何とかして止めないと……このままだと千景が壊れてしまう。

私は生太刀を構えた。次の一撃をかわし、千景を気絶させる。今はそれしか方法は……

 

「グンちゃん?」

 

突然声が聞こえ、振り向くとそこには友奈がいた。友奈は変身し、私と千景の前に飛び出した。

 

「どうしたのグンちゃん!?若葉ちゃんと喧嘩してるの?」

 

「高嶋さん、乃木さんは貴方を犠牲にしようとしている。私は貴方をたすけ……」

 

「違うよ!!若葉ちゃんはそんな事するわけないよ。グンちゃん、落ち着いて……」

 

友奈の言葉を聞き、千景から感じていた殺気が消えた。これで暴走は止められたのか?

 

「落ち着いて、暴力で解決しちゃダメ。ちゃんと話し合おう。言葉で喧嘩しよう」

 

友奈は優しい笑顔でそう問いかけながら、千景を抱きしめた。友奈には感謝だな

 

「……………がう」

 

「えっ?」

 

落ち着いたと思った瞬間、千景は友奈を突き飛ばし、大鎌を構えた。

 

「違う。貴方は高嶋さんじゃない!!高嶋さんはそんな事言わない」

 

「グンちゃん、お願いだから話を……」

 

「友奈!!下がれ!!」

 

このままじゃ友奈が殺されてしまう。この状態じゃ加減できるかどうか分からないけど、千景を止めるには………

 

「死ねぇぇぇぇぇーーーーーーー!!」

 

「千景ェェェェェーーーーーーー!!」

 

千景を切ろうと前に出た瞬間、誰かに突き飛ばされ、友奈の顔と地面に血がついていた。

 

「な………んで……」

 

そして地面には右腕が落ちていた。いや切り落とされていた。

私を突き飛ばし、右腕を切り落とされたのは見たことのない男だった。

 

「若葉ちゃん!?」

 

「ひなた?」

 

「……神宮さん……」

 

駆けつけてきたひなたは右腕を切り落とされた男のことを知っているみたいだった。男は戸惑う千景の頬を思いっきり引っ叩いた。

 

 

 

千景SIDE

 

 

「千景さん、落ち着きましたか?」

 

「………どうして貴方が……」

 

「だって、貴方のことを守りたいから……」

 

私は自分がしたことを今更後悔した。乃木さんたちを信じられず、高嶋さんも信じられなかった。そして彼の腕を……

 

「私……私は……」

 

私は傷つけてしまった。彼のことを……もう取り返しが……

 

「千景さん、覚えてないですが、僕は一度貴方に助けられたんですよ」

 

「いつ?」

 

「貴方が初めて大葉刈を手にした時、バーテックスに襲われそうになっていた時にですよ……」

 

「覚えてない……あのときはただ呆然としてて……」

 

だけど確かに誰かがいた気がした。それが彼だったの?彼は苦しそうにしながら優しい表情をしていた。

 

「千景さん、誰も信じられなくっても、僕だけを信じてもらえませんか?貴方を苦しめるものは……僕が救いますから……だって僕は」

 

彼は何かを言おうとした瞬間、そのまま倒れ込んだ。血がたくさん出ている……このままじゃ……

 

「ねぇ、ねぇ、起きて……起きてよ。蛍……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うん、書いてて結構辛かったりしました。次回で千景関係の話は終わります
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