姫野四葉は勇者である 作:水甲
千景SIDE
気がついたら私は病室のベッドで眠っていた。あのあと私は大声で泣き叫び、そのまま気を失ったみたいだった。
「起きましたか?」
病室のドアの前には上里さんが立っていた。上里さんは私を思いっきり引っ叩こうとするが……
「ここで貴方を引っ叩いたら……神宮さんには悪いですよね」
「………彼は……」
「郡千景、大社から知らせを預かっています。人々に見られなかったとは言え、勇者に対する暴行、大社幹部に対しての暴行……以上のことを踏まえて郡千景は勇者として失格です」
「……………」
当然の結果だ。精霊の影響とはいえ私は沢山の人を傷つけた。反論なんてするつもりはない。
「そしてこれから先、郡千景として生きていくことは許さないとのことです。ご家族には貴方は死んだと伝えています」
「………誰かに首でも切られるのかしら?」
「…………千景さん」
「これからは郡千景ではないですよ」
突然聞き覚えのある声が聞こえた。私は声の聞こえた方を見るとそこには彼がいた。
彼は私に近づいてきた。
「どうして……死んだんじゃ……むぐっ」
何故か彼は私にキスをしてきた。突然のことで何とか引き剥がそうとしたけど、何だかだんだん力が抜けてきた。
「んん、んむ、んんんんん」
「ふぅ」
「神宮さん、ひと目を気にして下さい」
「あぁ、ごめん」
腰が抜けてしまった。なんで彼が生きているの?
「どうして……」
「それは彼女に助けられました」
彼は剣型のアクセサリーを私に見せた。これって姫野さんの武器のひとつ、能力は人を癒やす……それって……
「千景さんが気を失ったあと、白鳥さんと水都さんがそれを持ってきたんです。二人は突然光りだしたって言ってましたけど……」
「彼女が守ったってこと?」
「そうなりますね。それと大社からの通達、続きを読みますね。千景さん、貴方はこれから神宮千景として幸せになって下さい」
「………神宮千景………はぁ!?」
それってつまり彼と結婚しろってこと?いや、もう結婚しているということなの?何が何だかわからなくなってきた。
「それでは私はお邪魔なので失礼しますね」
「ちょっと待って」
私の声を無視し、上里さんは部屋から出ていった。正直二人っきりにしてほしくないのだけど……
「千景さん、一応まだ結婚してないですよ」
「人の心を読まないでほしいのだけど……」
「形式上は許嫁として僕の家に住むことになりました」
許嫁として……だからって……
「私は貴方のことを傷つけた。幸せにするなんて……」
「前に言ったじゃないですか?貴方が僕のことを幸せに出来なくっても、僕が幸せにするって……」
「………そうだったわね」
何故か私の心は嬉しい気持ちでいっぱいだった。こんな気持は初めてだ。
「千景さん、結婚してくれませんか」
「………約束守ってね」
私のことを幸せにしてくれるって約束してくれたのだから……
彼は笑顔で力強く……
「はい」
「………あとその……」
私はそっと目を閉じた。彼はそっと私の肩に触れた。これで私の恋は終わる
「正直、キスだけで終わらす気ないですよ」
「……好きにしていいから」
キスをされ、ベッドに押し倒され、彼は私の着ている服を脱がそうとした。
「「千景!!」」
そんな時だった。突然乃木さん、土居さんたちが思いっきり扉を開けて入ってきた。
「目が覚めたってひなたから聞いたぞ」
「だいじょう……ぶ……か?」
二人は今の光景を見て、固まっていた。そして固まった二人の後ろから伊予島さんと高嶋さんの二人が顔を赤らめていた。
「タマっち先輩、若葉さん………」
「邪魔しちゃ悪いよ。ごめんねグンちゃん。出直してくる」
「…………ねぇ、大葉刈持ってきてくれないかしら?」
色々と邪魔してくれたお礼をしないといけなくなった。彼はというと笑顔で
「ダメですよ。千景さん」
四葉SIDE
「間に合ったのかな?早く確認しに戻らないと……」
何だか嫌な予感がして、剣だけ持っていってもらうようにしたけど……私はいつになったら目がさめるのかな?
「それは大丈夫ですよ」
「あの、ヒメノ様。私はいつになったら戻れるんですか?」
「………姫野四葉、よく聞いて下さい」
「何?」
「神の力を使い続けた貴方は、もうすぐ死にます。そして私は貴方に力を与え続けた結果、消滅します」
「消滅………」
それって私のせいだよね。何だか申し訳ない。
「だけど勇者たちは戦い続ける。貴方はどうしますか?」
「もちろん、戦うよ。死ぬまで……」
そう決めたんだ。それに守らないと……
「………貴方にある手段を教えます。それを行えば今、このときだけは敵を倒せます。だけど………」
「早く言ってくれない?その方法って?」
ヒメノ様は悲しそうにしながら、口を開いた。
「貴方が守り神となることです」
グンちゃんハッピーエンド!!
次回から乃木若葉の章クライマックスになります。