姫野四葉は勇者である 作:水甲
長い、長い時の中、私は目を覚ました。あれからどれくらい経ったのだろうか?
「あれから150年位か……起きた感じ、戦いはまだ続いてるみたいね」
未だにバーテックスとの戦いは続いている。あの時、私がしっかり勝利しておけばこんなことにならなかったのに……
「どうすれば人類は平和を手に入れられるんだろう……」
一人で呟くけど、誰も返してくれない。何というか神様って退屈なんだな……
「ただ待っているだけじゃダメだよね。何か考えないと……」
『それなら世界の可能性を見せる』
考え始めようとしたとき、どこからともなく声が聞こえてきた。この声って、もしかして……
『別の世界で可能性を秘めたものたちが集まっている』
「あなたは……」
その声の名前を告げようとするけど、その前に私はある場所へと飛ばされるのであった。
そこは神樹と造反神との戦いを終わらせるために、時代と時空を越え勇者が集まる世界……
私はそこである人達と出会った。
一人は一人の少女の願いで勇者になり、神樹と天の神を繋ぐ勇者……境界の勇者。
彼から言われたのは私は彼の保護者的な存在であり、色々と辿ってみると、神宮と郡家が結婚し、私は彼女の約束でずっと彼を見守っていく存在らしい
一人は勇者に憧れるが、その願いは叶わなかった。そして悪意あるものにその願いを利用され、魔王システムを使い、勇者と戦った少女。
彼女は戦う力はなかったけど、それでも勇者たちの勝利を願い続けた。祈りの勇者。
一人は仲間を救うためにその生命を捧げ、女神の祝福を受けて勇者………女神の勇者。
彼は人々の思いに応え続け、仲間たちとともにいずれ戦いを終わらせるような気がする。
彼の世界の私は私ではなく、四葉姫乃として生きているみたいだ。
彼らの世界はある分岐点があるみたいだ。その一つとして、神宮家と郡家の関わり……というより結婚しているかしていないかだ。
女神の勇者の方は恋人同士になったけど、結局彼女が死んでしまった。そこから世界の分岐があるみたいだけど……
そしてそこでは更に自分たちと同じ未来を歩ませないように、彼らと戦った者たちのこともいた。
その世界から戻ってきた私は更に考えた。
「世界の分岐……私がいた世界は多分だけど桔梗がいた世界と似ているかもしれない」
とはいえ、どんな運命をたどるのかわからない。今、私が出来ることは私と同じように神の力を扱え、私以上に耐えきれる勇者………守り神の勇者が必要なのかもしれない。
「いつでも待つよ。どんな悲しい結末を見続けても……世界を……人類を………勇者たちを守ってくれる勇者が現れるのを……」
それからまた長い時が流れた。私は私の力を宿した子たちを見続け、彼女たちを遠くから看取り続けた。
どんなに悲しい思いがあっても、それでも私は負けずに待ち続けた。
『その思いがあったからこそ、お前は人の身を捨てたのだな』
またあの時の声が聞こえた。もう何を言われても私は後悔はしない。
「私が託したものを貴方も見届けなさい。神樹」
そして………
「行ってきます。お母さん、お父さん」
墓前の前にある両親の写真に挨拶をする少女、彼女は姫野四葉。本当の名前は彼女が生まれた時に『姫野四葉』と名付けられ、名前をなくした。
彼女からは私が望んだ物を持っている。
『頑張って……貴方なら、全てを終わらせられるよ。守り神の勇者』
短めでしたが、今回の幕間で色んな分岐点の話をしました。
境界の勇者、祈りの勇者の世界では神宮蛍と千景の二人が結婚している。四葉は勇者や神の力は扱えないが、見守り続ける存在。姫野四葉の名前は引き継がれていく。
女神の勇者の世界では、神宮蛍と千景は恋人同士だけど、結婚はしていない。四葉も死んで、名前を引き継ぐようなことはないけど、そのかわりに四葉姫乃という人がいる。
彼女もまた見守り続けていく存在。
四葉の世界と境界の勇者の世界は少し似ている。
という感じでした。
次回からは鷲尾須美の章になります