姫野四葉は勇者である   作:水甲

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26 合宿

「みんな、ごめんなさい。少し遅れたけど個人演習は……」

 

遅れてやってきた安芸先生はただただ驚きを隠せないでいた。何せ、私以外の園子ちゃん、銀ちゃん、須美ちゃんが倒れたまま動けないでいた。

 

「流石は四葉だな。相変わらず化物体力」

 

「徐々にだけど扱えるようになってきたんじゃないのかな?四葉ちゃんは」

 

「う~ん、意識してるわけじゃないから……まだまだかな」

 

何というか私に宿った守り神さまの力の影響なのか、肉体面に色々と作用している。だからこの二人が出したハチャメチャな演習内容についていけた。

ただ問題があるとすれば……

 

「伊予島さん、高嶋さん。これはどういうことかしら?」

 

「あっ、えっと……四人とも演習頑張ったんですよ」

 

「そ、そうそう……」

 

「言い訳はするんじゃありません!!」

 

その後安芸先生のお説教を喰らうことになった二人のおかげなのか、私たちはちょっとした休憩時間をもらえるのであった。

 

「な、何だったんだよ。あの二人……」

 

「無茶苦茶な演習……三ノ輪さんと乃木さんの方がまだましよ。私なんか針が見る見るうちに小さくなっていくんだもん」

 

「あはは……二人は無茶苦茶なことだけじゃないんだよ~出した演習をやらせる前にちゃんとお手本見せてくれるんだよ~」

 

園子ちゃんと私が優くんから受けた演習は、防御に対してどこまで耐えきれるかの耐久力強化だった。何というか木でできた盾で私達の攻撃を受けきったのはすごいと思ったけど、優くん曰く技術が必要だって言うけど……

 

「なぁ四葉。あの二人、普通の人間だよな」

 

「うん、そうだよ。そう見えないけどアレは努力の成果みたいなものだよ」

 

「努力……」

 

「自分たちが勇者に選ばれなくっても、戦いのサポートが出来るくらいに強くなりたいって思った結果なんだよ~」

 

「他の家の子達もね」

 

こうして優くんと桃ちゃんが手伝ってくれているということはいつか手伝いに来てくれるのかな?ただ……神宮家の子だけには会い辛いな……

 

「四人とも、休憩は十分取れたかしら」

 

お説教を終えたのか安芸先生が私達に声をかけてきた。その後ろで正座させられている二人がちょっと気になるけど……

 

「それじゃ連携演習を始めるわよ。四人とも海岸に行くわよ」

 

「「「「はい!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連携演習は銀ちゃんを中心に、園子ちゃんと須美ちゃんの二人で迫ってくるバレーボールの嵐をどうくぐり抜けるかの演習だった。

ただ不思議なのは……

 

「あの先生、私は?」

 

「姫野さん、自分に宿った力についてはわかってるわね」

 

「はい、教えられてきましたから」

 

私には勇者の力ともう一つ守り神の力が宿っている。守り神は人々を守る力ではなく、共に戦う勇者を守る力。

姫野家の長女に代々伝わるこの力を私はまだうまく使いこなしていない。

 

「これから先の戦いは厳しくなっていくわ。そのために力の解放の仕方を覚えられるように瞑想し続けなさい」

 

「瞑想………」

 

「300年間、貴方のご先祖様は瞑想を行って守り神の力を扱えるようになってきたわ。その最初の段階としては声を聞くことからよ」

 

声を聞くってどういうことだろう?とりあえずやってみることにした。

静かに呼吸を整え、何も考えないで居続けると何故か声が聞こえてきた。

 

『………さい』

 

聞こえてきたのだけどとぎれとぎれだった。でも何だかこの声、聞き覚えが……

 

『ちゃんと……すませなさい』

 

だんだんはっきりと聞こえてきた。すませなさいって……耳を?私は言われるまま耳をすませると声が聞こえてきた。

 

『どうやら聞こえたみたいね』

 

誰だろう?聞き覚えがあるけど思い出せない。誰なのか聞こうかと思ったけど話すこともできなかった。

 

『まだ声だけ聞こえるだけみたいだね。それじゃ勝手に話すわ。初めまして姫野四葉……いいえ、本当の名前で呼んだほうが良いけど、今は四葉って呼ぶわ』

 

この声の人、私の事を知っているの?それじゃこの声は……

 

『四葉、貴方は守り神としての力を目覚めるに連れて、自身の……私達の運命を知ることになる。でもね、私は信じてるから……あなたなら』

 

 

 

 

 

 

気がつくと夕方になっていた。どれくらい瞑想していたんだろう?

 

「成果はどうだった?」

 

安芸先生は私が目覚めるのをずっと待っていたくれたみたいだった。私は笑顔でこう答えた。

 

「それなりです」

 

あの時、あの声の主が言った言葉が頭に響いていた。

 

『あなたなら運命を変えられるから……』

 

 

 

 

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