姫野四葉は勇者である 作:水甲
数週間後のことだった。放課後、私は勾玉を見つめていると端末から耳障りな音が鳴り響いた。
「これは……来るのね」
私はあることを確かめに外へ出ると、舞い散る木の葉や鳥が止まったまま、そして周辺の景色が変わり始めた。
そして気がついた時には、辺りが木々に覆われていた。そっかこれが樹海化……
「みんなと合流しなきゃ……」
私は端末でみんなの位置を確認し、皆が若葉ちゃんの所に集まっていることに気が付き、私もそこに向かった。
「お待たせしました。って何かあったの?」
どうやら私で一番最後みたいだったけど、何故か皆の空気が重い。いや、一人だけは違った。
「あっ、四葉ちゃん。大丈夫?」
「うん、遠い場所にいたから集合に遅れちゃったけど、何があったの?」
「えっとね。とりあえず喧嘩の原因を倒しちゃおうって話になったの」
喧嘩って、私が来る前に本当に何かあったのかな?でも、今は気にしない方が良いかもしれない。
「それじゃみんなで勇者に変身!!」
友奈ちゃんの掛け声と共に、私たちは勇者に変身した。私は灰色の衣装に手には鞭のように繋がった勾玉が装備された。
これならバーテックスを倒せるはずだと思っていたけど、杏ちゃんだけ勇者に変身してなかった。
「ごめんなさい。私……」
「伊予島さん……」
「大丈夫。タマたちだけで十分だから」
「杏ちゃん……戦うのが怖いっていうのは当たり前だよ。私だって戦うのは怖い。だけど、少しだけ考えてみて、何のために戦うかって……」
私は笑顔で杏ちゃんにそう告げた瞬間、先に戦場へと向かった若葉ちゃんの後を追った。
「力を見せて……ハアアア!!」
鞭をバーテックス目掛けて振った瞬間、真っ二つに切り裂かれた。この武器凄い。手足のように自由に使えるし、どこまでも伸ばすことも出来る。
すると心配してきたのか、若葉ちゃんが私のところへやってきた。
「姫野!!大丈夫そうだな」
「若葉ちゃんこそ、一人で先走らないほうがいいよ」
「そ、そうだな」
突然上からバーテックスが襲い掛かってきた。私と若葉ちゃんは立ち向かおうとした瞬間、どこからともなく飛んできた矢がバーテックスを撃退した。矢が飛んできた方を見ると、杏ちゃんが勇者に変身し、私達を助けてくれたみたいだった。
「怖いけど……私も戦います」
「伊予島さん……」
「覚悟決めたみたいだね。おっと、話してる場合じゃないみたいだね。敵が……」
バーテックスが一つの場所に集まってきた。どうやら敵も私達に対して、合体を始めたのかもしれない。
合体し、現れたのは巨大な棒状の姿に変わった。更に棒状から透明な板が現れた。何だか形がよく分からない。一体どんな攻撃をしてくるのか……
「様子見してる場合じゃないよね。ハアアア!!」
私は勾玉で進化体に攻撃を食らわせるが、思いっきり攻撃が弾かれた。更に後方から杏ちゃんと球子ちゃんが攻撃を放つが、透明な板によって、攻撃が反射された。
「厄介な敵だね」
「あぁ、攻撃は弾かれるか反射されてしまう。それだったらここは私が……」
若葉ちゃんが何かをしようとした瞬間、友奈ちゃんが前に飛び出した。もしかして『切り札』を発動させるつもり?
「切り札『一目連』」
神秘的な衣装に姿を変えた友奈ちゃんは何度も何度もパンチを透明な板に喰らわしていった。あれが神樹様に蓄積された無数の概念記録にアクセスして、抽出された力を自らに顕現させる力……『切り札』
友奈ちゃんのは暴風を司る精霊『一目連』。殴り続けていく友奈ちゃん、透明な板は見る見るうちにヒビが入っていく。でも、何でだろう?あの力は………
「友奈ちゃん、それ以上は駄目!!」
私が叫んだ瞬間、鞭状になっていた勾玉が私の両拳に装着された。これって……
「よく分からないけど、喰らえェェェェェェ!!」
私の両拳に装備された勾玉が回転され、私は右拳で進化体を殴った瞬間、進化体は見る見るうちに崩れていった。
「勝ったのね」
「四葉ちゃん、格好良かったよ」
友奈ちゃんは笑顔で私に抱きついてきた。私としては美味しいところを奪ってしまったのでちょっと気が引けてるけど……
「ごめんね。美味しい所だけ……」
「ううん、気にしないで、こうやってみんなで戦ったんだから、手柄とか考えないほうがいいよ」
「そ、そうかな……」
「そうだよ」
何だか友奈ちゃんらしいなと思うと、私が使用した勾玉が元の鞭の形に変わった。何で形を変えたのか気になる。一体この勾玉は何なんだろうか……
それにあの時、友奈ちゃんが切り札を使った時に感じた不安感は一体……
短めですみません。
四葉の武器に関しては、鞭状に出来たり、拳に装着できたりするのですが、まだまだある感じです。
次回は初勝利後の話とグンちゃん関係の話になりますが、タグにある死亡キャラ生存に向けてのオリジナルの話になります