姫野四葉は勇者である   作:水甲

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31 またね

敵の進行もなく、私達はここ何日かちょっとした休日を満喫していた。とはいえ、普通に学校があるから休日と言えるのかどうかわからない。

 

私は家で桔梗からもらったアクセサリーを見つめていた。

 

「神宮家に伝わるお守り……でも何であのとき……」

 

もらったとき、守り神様は何だか懐かしみ、そして嬉しそうに言っていた。

 

『そっか……持ち続けてくれたんだ……』

 

あれってどういう意味なのかな?

そんな事を考えていると端末にメッセージが入った。相手は銀ちゃんからだ。

 

銀:今家族と買い物ちう

 

園子:私はその辺ふらふらしてるよ

 

須美:銀はお疲れ様、そのっちは迷子になったら名前を連呼するのよ

 

四葉:流石に6年生になって迷子には……

 

園子:乃木園子です

 

園子:乃木園子です

 

園子:乃木園子です

 

何で言った側から迷子になってるのよ。これは合流しに行ったほうが良いかな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

園子ちゃんを探しに出かけると銀ちゃんとその家族さんと園子ちゃんが楽しそうに話していた。

 

「あれ?四葉、どうしたんだこんな所で」

 

「どうしたって……園子ちゃんを保護しに来たんだけど、銀ちゃんが保護してくれたのね」

 

「あぁ、偶然な」

 

「ミノさんのおかげで助かったよ~」

 

「というか迷子になるなよ……」

 

「それにしても勇者が集まるって言うと須美ちゃんも……」

 

「そのっち、銀、四葉!!」

 

噂したらなんとやら、須美ちゃんも来てくれた。何だかんだで勇者全員揃っちゃった

 

「須美ちゃんも園子ちゃんが心配で?」

 

「うん、でも良かった。銀が保護してくれたの?」

 

「あぁ、何だかんだで四葉も須美も園子の事心配なんだな。好きなのか?」

 

「好きっていうか……」

 

「まぁ親友だからね」

 

「親友~えへへ~」

 

園子ちゃんが嬉しそうにするのであった。

銀も用事が終わったので、みんなで遊ぶことになった。こうして戦いも訓練もない日々は今日でお終いだけど、またいつかこんな日々があったらいいのにな……

そんな事思いながら、みんなとの帰り道、夕暮れに照らされた銀は

 

「私はここでお別れだな。須美、園子、四葉、またね」

 

銀は笑顔でそう告げる中、突然須美ちゃんが帰ろうとする銀ちゃんの腕を掴んだ。

 

「須美?」

 

「あ、ごめん。ちょっと……」

 

「何だよ。もしかして私と別れるのがさみしいとか言うなよ~」

 

「そ、そんなことは……」

 

「わっしーはミノさんみたいな人が好みなの?」

 

「それは大変ね。桔梗に教えとかないと」

 

「だから違うって……ただその……銀がどこかに行っちゃいそうで……」

 

どこか行っちゃうって……もしかして須美ちゃんが何故かそんな風に思えちゃったのかな?

銀ちゃんはため息をつきながら、須美ちゃんの頭をなでた。

 

「大丈夫だって、私はどこも行かないし、それに明日また学校で会えるだろ」

 

「………そうね。そうだったわ。またね、銀」

 

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな休日から数日後のこと、みんなで遠足に行った帰り道、敵の襲撃が来た。私達は樹海に行き勇者に変身して敵を待っていた。

 

「遠足帰りに襲ってくるなよ」

 

「折角楽しい遠足の最後にこんなのってないよ~」

 

「二人とも、切り替えて」

 

「まぁ二人が怒るのは無理ないけどね」

 

そんな事を話している内に敵が姿を表した。今回は二体同時に襲撃。一体は周りに変な鱗みたいなものを付けたやつと、サソリの尻尾みたいな敵だ。

 

サソリみたいなやつは私たちの姿を確認するやいなや攻撃を仕掛けてきた。私達は攻撃を避けると須美ちゃんが分析を始めた

 

「あの針、どう見ても危険ね」

 

「私達に当てる気満々みたいだしな」

 

「それじゃ~あの針に気をつけて戦えば良いんだね」

 

「針は私の勾玉で縛るとして、もう一体がよく分からないわね」

 

「もしかしたらもう一体は防御中心なのかもしれない。矛と盾みたいなものよ」

 

だとしたら、まずは矛を倒せば良いんだね。盾はみんなで力を合わせれば倒せるし

そう思い、攻撃を仕掛けようとした瞬間、空から何かが降り注いできた。私達は咄嗟に避けるが、避けた方向に針がついた尻尾が私達を吹き飛ばしてきた。

 

「がはっ!?」

 

「うぐっ、四葉……大丈夫か?」

 

「私は何とか……でも二人が……」

 

二人は血を流し、意識を失っていた。そして私と銀は敵の方を見ると奥からもう一体、矢みたいなものを付けた敵がやってきた。

 

「三体か……四葉……二人のこと頼めるか?」

 

「銀?」

 

「見た感じ私が一番怪我が少ないからな。二人のこと頼んだ。四葉」

 

一人であの三体を倒そうとしているの?そんなの無茶に決まっている。でも、あのとき降り注いだ矢が右肩に刺さっていて、私もちゃんと戦えるかどうかわからない

 

「須美、園子、四葉………またね」

 

「銀!?」

 

銀は迫りくるバーテックス三体に向かっていった。駄目だ、銀一人じゃ倒せても死んじゃうかもしれない。こんなときどうすれば……

 

『役割を果たすときですよ。四葉』

 

 

 


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