姫野四葉は勇者である   作:水甲

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33 銀の道

バーテックス三体との戦いから2日がたった。私はあの戦いの後、少しの間眠りにつきていたみたいだ。

先生が言うには今までより強い神の力を使ったことによる後遺症みたいだ。今の所他に変化はないから大丈夫みたいだけど……

 

「………銀ちゃんのお見舞いに行かなきゃ」

 

私は銀ちゃんが入院している病院へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

あの戦いで銀ちゃんは死にかけていた。それを私が剣の力で何とか助けることが出来た。だけど……

 

「銀ちゃん、大丈夫」

 

「よぉ、四葉。お前は無事そうだな。全く倒れたって聞いて吃驚したぞ」

 

銀ちゃんはいつもと変わらない笑顔を向けてくれた。だけど私は銀ちゃんの身体に巻き付いた包帯に目をやった。

 

全治半年。剣の力で治しても、今の私にはこれが限界。そして大赦はある決定を下した。銀ちゃんは怪我が治っても、今後の戦いには参加させない。つまり戦線離脱だ。

 

「ごめんね。私がもっとしっかり力を使えたら……そんな風にボロボロになってなかったよね」

 

「四葉……」

 

銀ちゃんと一緒に戦うことができなくなってしまった。私が頑張っていれば……

泣きそうになる私だったけど、銀が思いっきり頭にチョップをしてきた。

 

「いたっ!?」

 

「何言ってるんだよ。お前がいなかったら私、死んでたかもしれないんだぞ。お前に謝ってもらう理由はない。逆に四葉、助けてくれてありがとうな」

 

「銀ちゃん……」

 

「それにな。大赦の人から聞いたんだけど、私の勇者システム、次の勇者に渡すために色々と改良するんだってさ。そうすればその人が私の分までみんなの事を守ってくれるってことだよな」

 

「そうだね……」

 

「だからお前や須美、園子は私の分まで頑張ってくれよな」

 

「……うん」

 

銀ちゃんの思いは次の勇者に、私達は銀ちゃんの分まで頑張らないと……

 

「そうだ。さっき謝った罰として一個頼んでいいか?」

 

「えっ?」

 

罰ってなんだろう?もしかして物凄く嫌なことでもされるのかな?

 

「歌、聞かせてくれないか?」

 

「歌?」

 

「お前、歌うのが大好きなくせに私たちの前ではあんまり歌ってくれないじゃん。たまには聞かせろよ~」

 

うぅ、歌か……恥ずかしいけど、これは罰だもん。歌わないと……

 

「♪~♪~」

 

私は何も考えず、歌った。病室内に私の歌声が響き、ある程度歌い終えると……銀ちゃんは何故か泣いていた。

 

「ご、ごめん。下手だった?」

 

「いや、何ていうか心にぐっと来てさ……」

 

そ、そんなにすごいのかな?私の歌って……ちょっとうれしくなってきた。

 

「四葉、頑張れよ」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須美SIDE

 

病室の外で銀と四葉の会話を聞いていた私とそのっち。本当に銀は……

 

「私たちも頑張らないとね。そのっち」

 

私はそのっちの方を見ると、そのっちはペンダントを見つめていた。あのペンダント、どうしたんだろう?

 

「そのっち?」

 

「あっ、どうしたの?わっしー」

 

「何だかボーとしてたけどどうかしたの?」

 

「いつもボーとしてるよ私~」

 

そ、それはそうかも知れないけど……でも何だか気になる。本当にどうしたんだろう?

 

「そのペンダント……」

 

「あ、これ?これはね。乃木家に代々伝わる由緒正しきお守りなんだ~」

 

「お守り……」

 

確か桔梗くんが持っていたあの剣の形をしていたペンダントもお守りって……大赦の有名な家系はそういうお守りを持っていることが多いのかな?

 

「わっしー、頑張ろうね」

 

「うん」

 

この時、私はもっとしっかりそのっちからお守りのことを聞いておけば、違った未来へ行けたのかもしれない。




短めですみません。鷲尾須美の章もクライマックスに近づいてきました。
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