姫野四葉は勇者である 作:水甲
迫りくる十二体のバーテックスに向かって、私は剣を取り出し、ピスケスバーテックスを切り裂くが、後ろから無数の矢が降ってきた。咄嗟に鏡を作り出し、防いでいくがすぐに鏡は壊れてしまった。
「初代姫野が使っていた鏡の力だけど、すぐに壊れちゃうな……」
守り神様曰く勾玉と剣は初代が持っていたアクセサリーらしい。だけど鏡だけがまだ私の手にはない。だから私は守り神の力で鏡を作り出すけど、完全じゃないか
「それだったら勾玉!!」
勾玉を無数に出現させ、降り注ぐ矢を全て撃ち落としていった。更に剣を手にし、大きく振った瞬間、キャンサーバーテックスとサジタリウスバーテックスを切り裂いた。
「あと9体……うぐっ!?」
体中に痛みが走る。無茶なことをしたからその反動が出てきている。精霊の力があるから死ぬことはないらしいけど、無理やり力を組み合わせたから精霊の力が上手く扱えない
「変身解除したいけど、ここで負けるわけには……」
私は剣を構えた瞬間、ヴァルゴバーテックスとアクエリアスバーテックスがなにかに貫かれた。あれは槍?
「ひめちゃん!!」
「園子ちゃん……須美ちゃんは……」
「聞いて、ひめちゃん。新しい勇者システムと壁の外のことを……」
「何かあるの?」
「満開は私達に絶大な力をもたらすけど、その反動で私たちの身体の一部を犠牲にしていくの……私の目も、腕も……それにわっしーは両足と記憶が……」
「……その身を犠牲に……そうまでしないと倒せないってことなのかな?」
「それにね。壁の外は炎に包まれた世界だった……私達が知っていることとは全然違ったの」
大赦は私達に嘘ついていたっていいたいのかな?でも、それでも……
「園子ちゃん、大赦は満開のことも壁の外のことも隠していた。だけど真実って時には残酷らしいよ」
タウロスバーテックスとスコーピオンバーテックスを勾玉で縛り上げ、バラバラにしながら私はそう告げた。真実を隠していたのはいけないことかもしれない。だけどそれでも私はきっと戦っていた。だって……
「園子ちゃん、私達は何だったっけ?」
「えっ?」
「人間で、勇者だよ。どんな事があっても挫けず戦おう。みんなの笑顔のために……」
「ひめちゃん……うん!!」
私と園子ちゃんは残りのバーテックスに向かっていった。戦いが終わったらまたみんなと笑い会える日々に戻れることを信じて…‥………
園子SIDE
あの戦いから一ヶ月、私は身体の殆どを動かすことが出来なかった。満開と散華……大赦が隠していた真実の一つ。
「ミノさん、大丈夫?重くない?」
「大丈夫だって、園子こそ大丈夫か?身体……」
「私は大丈夫~痛みはないし……」
私はミノさんに車椅子を押してもらいながらある場所に向かっていた。そこは一人の少女が眠る場所………私の親友の姫野四葉が眠っていた。
「来たよ~ひめちゃん」
「まだ眠ってるんだな」
「あの時、ひめちゃんは守り神と勇者の力を無理矢理混ぜ合わせたから、その反動で眠りについてるんだって……」
「四葉も須美も……前みたいに遊べないな」
「仕方ないよ~でもいつかきっと……四人で遊べるように願っていよう」
「あぁ」
あの戦いでわっしーは記憶を失い、東郷美森として生きている。でも私達は会うことすら許してもらえてない。いつか散華で失ったものが戻ってくることを信じて……
「きっとまた会えるよね。笑顔の君に……」
私はひめちゃんにそう言うけど、答えてくれない。もう一度遊んで、歌を聞かせてほしい。
「行こうか」
「うん」
『止めることが出来なかった……無茶したら止めるようにしてたのに……』
「そんな悲しそうにしないで下さい。私は私が選んで道を進んだだけですから……」
『でも……貴方はいつ目覚めるかわからないんですよ……もしかしたら……』
「あのね、何となくだけどこの眠りは反動からきたものじゃないと思うの」
『というと……』
「あの時、無理矢理混ぜ合わせていたけど、いつかまた敵が攻めてくるまで、私が守り神の力と勇者の力に耐えきれるように力を蓄えているのかな」
何となくだけど、そんな気がしていた。この前みたいに体中に痛みが走るようになるんじゃなく、精霊の力も守り神の力も完全に扱える状態にまで、私は眠りにつき成長しようとしている。
「だから大丈夫です」
『四葉……それでしたら眠りについている間、私が色々と教えます』
守り神様が剣を取り出し、私も白い衣装に変わった。
『とある世界である二人を鍛えたくらいですから……厳しいですよ』
「覚悟の上です」
鷲尾須美の章はこれにて終了です。
四葉は眠りにつき、次の戦いに向けて力をあげ、園子は原作通り散華してしまい、銀は園子のお世話係に、須美も原作通りです。
次回から結城友奈の章が始まりますのでお楽しみに