姫野四葉は勇者である 作:水甲
居間の勇者たちに会いに行った私だったけど、どうやら問題が起きたみたいだった。話を聞く限り、須美……東郷ちゃんが勇者部のこと、自分たちが集められたことについて隠し事をされたことについて怒っていたみたいだった。
「まぁ大赦からしてみればみんなに余計な不安を持たせたくないからって言う配慮だからね」
「でもやっぱり黙っていたことについて、東郷が怒るのも無理はないわ」
「いきなり話して信じろって言われてもしょうがないとおもうし、風さんのやり方は間違ってないわよ」
「あ、あの……」
風さんの相談に乗っていると樹ちゃんがおずおずと手を上げて、何か言いたそうにしていた
「どうしたの?樹」
「なにか質問?」
「四葉さん、ものすごく馴染んでません?」
「確かに……初対面じゃないとは言え、会って間もないのに馴染んでるわね」
「それは……まぁ性格上の問題だよ。それにこれから一緒に戦うんだから仲良くならないといけないからね」
「そうですけど……」
「そうだ。樹、どうすれば東郷に謝れるかタロットで占ってみて」
「タロット?」
「樹は占いが得意なのよ。だからどう謝るべきか占ってもらおうと思ってね」
占いか……ちょっと興味あるな。どんな風にやるのか覗き込んだ瞬間、樹ちゃんが持っていたタロットが止まり、端末からアラームが鳴り響いた。
「敵の襲来!?」
「昨日の今日で!?」
二人が驚く中、私は今回の敵の襲撃が早いことに疑問を覚えた。不定期に襲ってくるとは言え、一週間から一ヶ月後くらいかと思っていたけど、なんだか敵も焦っているみたいだった。
「2日連続か……がんばりますか」
私達は樹海に訪れると友奈ちゃんと東郷ちゃんと合流した。
「東郷さん、待っててね。倒してくる」
「っ! 待って、私も……」
東郷ちゃんは自分も変身して戦おうとするけど、昨日の戦いの恐怖を思い出して震えていた。
あの彼女がこんなに震えるなんて……記憶がない影響なのか……でも普通はあんな化物にあったら当然の反応だ。
「大丈夫だよ、東郷さん。……行ってくるね」
「友奈ちゃん……!」
友奈ちゃんは恐怖なんて吹き飛ばすくらいの笑顔を東郷ちゃんに向けて変身した。彼女は強いな……
『どの世界でも彼女は彼女のままですから……本当に強い子ですよ。彼女もそしてあの子も……』
守り神様は何の話をしているんだろうか?どの世界って一体……
『そうですね。あなたはあのときのことを覚えてないですもんね』
一体何の話だろうな?とりあえず私たちは勇者に変身し、敵に向かっていくのであった。
敵は三体……キャンサー、スコーピオン、サジタリウス。あの時銀ちゃんと二人で戦った奴らだ。
「復活したのね」
「復活?」
「なんでもないわ。風さん」
今は伝えるべきじゃないと思った瞬間、空から無数の矢が降り注いできた。私は勾玉で全て撃ち落とし、みんなは精霊のバリアで防いだ。だけど私と友奈ちゃんは風さんと樹ちゃんの二人と分断されてしまった。
「撃ってくる奴を何とかしないと!」
友奈ちゃんはサジタリウスを倒そうと大きくジャンプした瞬間、スコーピオンの尻尾が友奈ちゃんを打ち落とし、地面に倒れた友奈ちゃんに向かって尻尾の針を刺そうとしていた。
「うくっ」
「友奈ちゃん!?」
私は助けに行こうとするけど、サジタリウスの矢が妨害してきた。
「剣で……発動できない!?」
『忘れたのですか?力をつけましたが剣は攻撃用ではないんです。本来の使い方をしないと発動は出来ないです』
「くっ!?」
勾玉でなんとかするしかないのだけど、どうすれば……
「……やめろ」
突然東郷ちゃんの声が聞こえた気がして、東郷ちゃんの方を見ると彼女は何かを叫ぼうとしていた。
「友奈ちゃんをいじめるなぁぁぁぁ!!」
東郷ちゃんの方に向かっていった攻撃が卵型の精霊に防がれた。友達のために戦う決意をしたっていうの……
「本当に変わらないな」
「私、いつも友奈ちゃんに守ってもらってた。……だから、次は私が勇者になって、大切な人たちを、友奈ちゃんを守る!!」
東郷ちゃんはまばゆい光に包まれ、卵型の精霊の他にタヌキ型の精霊と青白い炎の精霊が現れた。
「もう、友奈ちゃんには手出しさせない」
彼女はスコーピオンに向かって二丁の銃で態勢を崩し、更に追撃として散弾銃で攻撃を加えて友奈ちゃんを助けた。
「東郷さん……」
「友奈ちゃん……私も一緒に戦う」
「うん」
「仲いいね。二人とも……」
「四葉ちゃんも一緒に行こう」
羨ましそうに言ったら、友奈ちゃんが手を差し伸べてくれた。優しい子だな。
「それじゃ勾玉で縛り上げて、風さんたちの所まで運びますか」
私は態勢を直そうとするスコーピオンを勾玉で縛り上げ、友奈ちゃんたちと一緒に風さんたちのところへと向かうのであった。