姫野四葉は勇者である 作:水甲
敵を粗方倒し終えた私達。そのためかみんな気が抜けてしまい、若葉ちゃんの後ろに現れたバーテックスに気がつくのに、一瞬遅れてしまった。
「若葉ちゃん!?」
「若葉!?」
私と珠子ちゃんが同時に叫んだ瞬間、ギリッブチッという音が樹海の中に響いた。だがその音が聞こえたのは若葉ちゃんではなく、襲ってきたバーテックスの方からだった。若葉ちゃんはというとバーテックスの肉を食べていた。
「……まずいな。食えたものじゃない」
いや、バーテックスって食べられるものなの?おまけにバーテックスは真っ二つに切り裂かれてるし……本当に若葉ちゃんって色々と凄いな……
「これから若葉の事を怒らせないようにしよう」
「うん」
珠子ちゃんと杏ちゃんの二人はそう呟くのであった。
初めての戦闘も終わり、私たちは祝勝会でうどんを食べていたのだけど、
「変なもの食べちゃ駄目でしょう!!お腹壊したらどうするの!!」
「いや、昔あいつらが友達を食べたから……」
「だからといって食べるのは駄目です」
バーテックスを食べたことをひなたちゃんに怒られる若葉ちゃん。まぁ普通、あんな化物を食べるって言うことは誰もしないからな……
「全く、そういえば四葉さん」
「何?」
「武器の形状が変わったというのは本当ですか?」
「四葉ちゃん凄かったよ~両腕に勾玉がくっついて、回転してたし、火も出てたよね」
あの時は本当に咄嗟に友奈ちゃんを助けないと行けないと思って出来たけど、私の武器って本当に何なんだろう?
「友奈さんの切り札発動……それに伴っての四葉さんの武器の形状変化……本当に不思議ですね」
ひなたちゃんはそう言う中、私は勾玉を取り出し見つめた。何でただのお土産の勾玉がバーテックスを倒す力を宿してるんだろう?もしかしてこの勾玉だけが特別製なのか……それとも……
「あの四葉さん、折角の祝勝会なんですから難しい顔はしないほうがいいですよ」
「あっ、ごめんね。杏ちゃん。そうだね。今は初勝利を祝わないとね」
考えるべきことはあるけど、今は初勝利を祝わないと……
それから珠子ちゃんが若葉ちゃんに暫定的なリーダーじゃなく、本当のリーダーになってほしいと言ったりなどあって、楽しい祝勝会になったのだった。
千景SIDE
『だって、あなたは勇者なのだから……』
『あなたを産んでよかったわ……愛してる……』
母さんの病気が悪化したと話を聞き、私は故郷に戻った。故郷に戻り、今まで私のことを無価値だと言っていた人々が、私のことを誇らしいと告げてくれ、お母さんも愛してるとも言ってくれた……
「私は価値のある人間なのね………」
電車に揺られながら、私は小さな声で呟いた。すると私の前に誰かが立っていた。
「郡千景さんですか?」
「……誰?」
「まぁ僕は………貴方のファンです」
「…………」
私は端末を取り出し、110とボタンを押した。
「すみません。警察ですか……」
「ごめん、警察は勘弁してくれないかな。個人的に困るので……」
私は慌てる男の子を見て、ため息をつきながら端末をしまった。それにしてもファンって……
「私が勇者になってファンになったから声をかけたということかしら?」
「いや、君が勇者になる前から……あとファンと言うのは君に声をかけるきっかけみたいなものだよ」
ファンじゃないとしたら、一体彼は何のために声をかけてきたのだろうか……
「僕は貴方のことが好きです。付き合ってください」
「…………ハァ!?」
いきなり告白されてしまった。
丸亀城に戻り、私は自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。いきなり告白され、戸惑ってしまった私、彼は私の反応を見て困った顔をしていたが、すぐに彼は『付き合うかどうかはいつでも答えを待っているので、出来れば……一緒に出かけませんか』と言われた。これって、言うなればデート……
「どうすれば……」
昔のことを思い返すと恋愛というものには興味がなかったというより、人と接するのを避けていた。そんな私があの彼とデートなんて……断ることも出来たのに……
「こういう時………本当にどうすれば……」
ここは高嶋さんに……でも高嶋さんは恋愛とかは疎そうだ。乃木さんと土居さんもそういったことは苦手だろうし……残った三人は……
「悩んでいてもしょうがないわ」
私は相談するため、上里さん、伊予島さん、姫野さんに連絡を取るのであった。
短めですみません。
グンちゃんの生存フラグと花結の方での桔梗との関係の話が繋がる感じになってます。
因みに生存については西暦組は杏、たまっち先輩、友奈、歌野、水都の四人も含めてあります。
次回もグンちゃんメイン回となります