姫野四葉は勇者である   作:水甲

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44 樹の歌

四葉SIDE

 

樹ちゃんに呼び出された私。一体何の話かと思うと………

 

「頑張れる理由か……」

 

「はい、私はみんなみたいに世界のためとか平和のためにって思っても頑張れている自信がないんです」

 

「そっか……多分だけど樹ちゃんはまだ気がつけてないだけだよ」

 

「気がつけてない?」

 

「今は焦ることじゃないと思う。樹ちゃんならいつか気づけるよ」

 

「……そうでしょうか?」

 

「そうよ」

 

だって、理由なんて誰にだっていつかわかる時が来る。それは誰かに教えてもらえることじゃない。自分で知ろうとしないとね

 

「あの、四葉さんはどんな理由で……」

 

「私?私は……みんなのためにかな」

 

私はみんなのために、世界のために、守り神としてすべてを守るために頑張っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹SIDE

 

勇者部の依頼で子猫を預けてくれている家に私とお姉ちゃんが来ていた。

 

「すいませーん。讃州中勇者部でーす。仔猫を引き取りに来ました」

 

インターホンを鳴らすと家の中から女の子の声が聞こえた。

 

「やだ、ぜったいやだ。この子をあげるなんてわたしが飼うからぁ」

 

「……でもね、家では飼えないのよ」

 

「もしかして子猫連れて行くのいやだったのかな?」

 

「あちゃーもっとちゃんと確認しとけばよかった」

 

「どうしよう」

 

「大丈夫。お姉ちゃんが何とかするわ」

 

お姉ちゃんは家に上がり込み、あの子の母親に説得をした。やっぱり私はお姉ちゃんのことを後ろからしか見つめることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、何とか説得に成功したことに対して喜んだ私。だけどお姉ちゃんの表情は暗かった。

 

 

 

「ごめんね、樹」

 

「何で謝るの?」

 

「樹を勇者なんて大変な事に巻き込んじゃったから」

 

お姉ちゃん、ずっとそんな事を思っていたの?

 

「さっきの家の子。お母さんに泣いて反対してたでしょ?それで思ったんだ。樹を勇者部に入れろって大赦に命令された時、私やめてっていえばよかった。さっきの子みたいに、泣いてでも、もしかしたら、樹は勇者にだってならずに普通に」

 

「何言ってるのお姉ちゃん! ……お姉ちゃんは、間違ってないよ」

 

「でも……」

 

「それに私ね。嬉しいんだ。守られるだけじゃなくて、お姉ちゃんとみんなと一緒に戦えることが」

 

「ありがと」

 

「どういたしまして」

 

私達は互いに笑顔になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてテスト本番、あんなに練習したのに、やっぱり緊張してしまう。そんな時、教科書から一枚の紙が落ちた。私は慌てて拾い上げると……

 

 

 

『テストが終わったら打ち上げでケーキ食べに行こう・友奈』

 

『周りの人はみんなカボチャ・東郷』

 

『気合いよ』

 

『自分の歌声に自身を持って・四葉』

 

『周りの目なんて気にしない! お姉ちゃんは樹の歌が上手だって知ってるから・風』

 

みんなからのメッセージを見て、私の緊張は和らいだ。そうだ、そうだよね。私は一人じゃない。みんながいるんだから、勇者だって、この歌だって

 

 

放課後になり私はみんなに合格できたことを伝えた。そしてその帰り道、お姉ちゃんにあることを伝えた。

 

「あのね……私、夢ができたんだ」

 

「夢?どんなの?聞かせて」

 

「えっと……まだ内緒」

 

「えぇ~」

 

だってまだ本当に夢と呼べるものかわからない。だけどきっといつか、お姉ちゃんに伝えるからね。私が頑張れる理由を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四葉SIDE

 

「樹ちゃんのテストが受かってよかったな~」

 

私は一人、帰り道を歩いていると突然電話がかかってきた。電話の相手は非通知でわからないけど、試しに出てみると……

 

『四葉……』

 

「その声……もしかして……」

 

聞き覚えが有る。この声は私の大好きな親友の……

 

『よく聞くんだ。今のままじゃだめなんだ』

 

「だめって……何が?」

 

『桔梗や他の人達が頑張って姫野家の文献を探ってわかったんだ。お前はこのままじゃ……』

 

通話が突然切れ、気がつくと私は樹海に来ていた。

 

「……帰ったら話を聞くね。銀ちゃん」

 

私は勇者に変身して、みんなのところに向かうのであった。

 

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