姫野四葉は勇者である   作:水甲

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46 残された時間と2本の刀

あの決戦から数日がたった。勇者部のみんなは特に怪我もなく良かったのかもしれない。

だけど私は満開の後遺症で左目、味覚、声帯、左耳の機能を失っていた。

 

「全く、無茶しすぎよ」

 

『ごめんなさい』

 

話すのに不便がないように私はスケッチブックを使って会話していた。

 

「でも良かったね。すぐに退院できるんだよね」

 

『友奈ちゃん、ごめんね。もう少し検査入院が続くみたいなの』

 

「そっか……でも毎日お見舞いに来るね」

 

『ありがとう』

 

私はスケッチブックに書いた言葉と同時に笑顔を向けるのであった。

 

「四葉さん、部室で待ってますから」

 

「まぁ気長に待ってるわ」

 

樹ちゃんと三好ちゃんの二人がそう言って、みんなが病室から出ていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、ベッドで本を読んでいると病室のドアをノックする音が聞こえた。もう面会時間が過ぎてるのに誰が来たんだろう?

 

「お邪魔します」

 

訪ねてきたのは東郷ちゃんだった。こんな時間に一人で病院に来るのは大変じゃないのかな?

 

『どうかしたの?』

 

「……四葉さん、聞きたいことがあるの」

 

私は首を傾げると、東郷ちゃんは私のことをじっと見つめ、あることを告げた。

 

「満開の後遺症……でいいんだよね。それは……」

 

みんなには戦いの疲労でこうなってしまったと伝えたのに……彼女は気がついていた。

私は頷くと東郷ちゃんは悲しそうな顔をしていた。

 

「あなたはそうなると知っていて、満開を使ったということなの?」

 

『そうだよ。私は全てを聞かされていて、知った上で満開を使った』

 

「やっぱり……」

 

『東郷ちゃんはよく気がついたね。このことを……』

 

「体の機能を失ったことについて分かっているはずなのに、貴方は辛そうにも悲しそうにもしていない。ただ私達が満開をしなかったことに関して、安心した顔をしていたことが気になっただけよ」

 

私って、顔に出やすいのかな?もう少し隠すようにしないといけないよね

 

『聞きたいことはそれだけ?』

 

「もう一つ……それは治るの?」

 

『今は大赦が調べてる』

 

「そう……」

 

『東郷ちゃん、もし私のことで悩むようなら気にしなくていいよ。私が望んだことだから』

 

「望んだこと……」

 

私は東郷ちゃんに笑顔を向け、東郷ちゃんは病室から出ていくのであった。

そう、これは私が望んだこと……みんなを守るために……

 

『四葉……それはいけないことです』

 

守り神様……どうして?

 

『そのみんなには……いいえ、これは貴方が自分で気づくこと……』

 

守り神様はそう言い残して行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みに入り、私は未だに入院をしていた。こうまで長引くのがどうしてなのか大赦に確認するが、未だに返事が返ってこない。何か隠しているのかな?

 

病院生活は退屈だけど、友奈ちゃんが毎日のようにお見舞いに来てくれていた。でも今日はまだ来ないけど、部活で忙しいのかな?私はこの間勇者部のみんなが海に行ったときに送られてきた写真を見ていた。

 

そんな時、病室に見覚えのある巫女服の少女と私と同じくらいの身長の大赦の幹部が訪ねてきた。

 

「お久しぶりです。四葉さん」

 

『上里ちゃん、それにあなたは?』

 

「私は上里様のお付きです」

 

仮面越しだから声が聞き取りづらかったけど、どうにも聞き覚えのある声だった。

 

『何か用事?』

 

「お伝えしなければいけないことがあります」

 

『伝えたいこと?』

 

「遠まわしに言うのは私は嫌いなので、はっきり告げると……大赦と病院側で貴方の現状を調べた結果……もう貴方は長くはありません」

 

『そっか』

 

なんとなく理解していた。神様の力は強大だけどそれなりのリスクがあると薄々感じていた。だからこそ今もこうして入院しているんだ。

 

「勇者として戦う分には良かったことだったけど、おま……貴方は満開を使用した結果、体にかかる負担が想定していたものより大きく……その結果が」

 

『私はどれくらい生きれるのかな?』

 

「それは……わかりません。ですが短くても半年……長くても中学校を卒業できるかどうか……」

 

『そっか、十分生きたほうかな?』

 

私はそう微笑んだ瞬間、大赦幹部が私の胸ぐらをつかんできた。

 

「お前……どうしてそんなに諦められるんだよ!!死ぬんだぞ!!怖くないのかよ……」

 

「………」

 

「やめてください。貴方を連れてきたのは喧嘩するためじゃないんですよ……」

 

上里ちゃんがそう告げ、大赦幹部は私の胸ぐらを離した。諦めているか……怖くないか……

 

『怖いよ。あきらめたくないよ。だけどもうどうにもできないと思ってる。だから……』

 

「四葉さん、貴方が生き残れる方法が2つあります」

 

『2つ?』

 

「一つは守り神ヒメノ様が扱ったと言われる神器……今の貴方は剣と勾玉を持っていますね。残った一つ、鏡を手にすれば……あなた自身の体の負担もへり、減ってしまった生命力も元に戻ります」

 

『鏡はどこにあるの?大赦が一生懸命探してるんだよね』

 

「はい、でも、手がかりとしてはヒメノ様……貴方のご先祖様が大切な親友に渡したという情報が……」

 

『大切な親友』

 

それって誰のことだろう?ヒメノ様に聞いて見る価値はあるかもしれない。そして残ったもう一つの方法は?

 

「そしてもう一つは……この2本の刀です」

 

上里ちゃんは2本の刀……一つは水色と白の短刀、一つは真っ赤な刀。これは……

 

「大赦が密かに作った対天の神の武器です。これが完成すれば、失った生命力を元に戻すだけではなく、3つの神器を手にしなくても、貴方は守り神としての力を扱えるようになります」

 

『完成……それはまだ未完成なんだね』

 

「はい、見た目は完成していますが、神に匹敵する力を宿すことができていません」

 

望みはあるけど、期待しないほうがいいかな?

 

『できるだけ頑張ってください。それと私の寿命については彼女たちには秘密に……』

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病室の外

 

「……そんな……四葉ちゃんが……」

 

「こんなことって……」

 

友奈と東郷の二人が四葉たちの話を聞いていたのだった。

 

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